フェモラリスのペアリング&産卵&幼虫飼育 byたこすけ

卵産まない、幼虫育たない…と悪評高いフェモラリス。

実際、自分も去年1回挑戦して敗れている訳ですが、性懲りも無く今年の夏も挑戦してみました。

とは言え去年飼育して何かコツを掴んだと言う訳では無く…ま、適当にやりゃ何とか成るだろ

そう言う男が飼育した結果の報告を読まれたい方は読んで下さい。

『ツヤクワ…マット産みである!!』

と、詳細なデータを検証した結果、産卵セットはマットのみで行く事にした。

(過去にスチーブンスが材に産んだ事例も確認されているらしい)

『マット…水分多め!!』

と、詳細なデータを検証した結果、マットは水分を多めにしてみる事にした。

(『グチュッ』とかいう擬音が聞こえそうな程)

『ツヤクワ…♂は気性が荒いので同居は避ける!!』

と、詳細なデータを検証したにもかかわらず、ワイルドのペアを同居させてみる事にした。

(何が原因で産卵しないのか不明の為、取り敢えず同居させる)

7月上旬

 上記の3点を踏まえ、大ケースに岡山クワガタワールドのクヌギナラMIX醗酵マット

(クチキバエ発生の為、黒のゴミ袋に入れて屋外に放置していた)をケースの1/2程度に

水分多めで固めに詰め、

餌として昆虫ゼリー、サムライゼリー、ドルクスゼリー、ヨーグルプリンゼリーと4種類与えてみた所、

昆虫ゼリー、サムライゼリーを好んで食べる事が多い。

室温はエアコンで24〜25℃程度に温度管理をしてみる。

 さて問題の同居ですが、目の前で交尾さえしてくれれば無理をする事も無いと思い

♀に覆い被せるように♂を乗せてみたが交尾させることは出来ず、凶暴な性格を再確認するに留まった。

そこで♂の顎にABS樹脂製の円筒形のカバーを付け、念の為に自分の小指を挟ませてみたが痛くない…

♀のツルツルしたボディーを挟む事も不可能に違いない…実際1ヶ月以上の同居でも♀は無事でした。

こんな感じのABS樹脂製の円筒を♂の顎にギュッと被せていました

何に使うかは秘密の某パーツからの流用

8月中旬

いい加減に同居を止めようと思い、♂を取り出し一応マットをスプーンで掘ってみたところ、

20個程の卵と2頭程の幼虫が確認できた、粒子が細かく泥っぽいマットに産卵するらしい。

この後、7日〜10日おきにマットを掘り返すとコンスタントに10〜20個程度採卵する事ができ

幼虫での回収は殆ど無かった。

 採卵した卵の保管ですが…フェモラリスは『卵の時点で取り出すと溶ける』と良く耳にします。

が、湿らせたティッシュやマット上に置いておけば、溶けたのは、採卵した時点で既にブヨブヨしている卵や

孵化の時に殻を破って出てくる事が出来なかった幼虫などで8割ほどは無事孵化しました。

(それでもDorcus系に比べるとかなり高い確立で溶ける事には間違いない…)

こんな感じで保管していると…(左端の中央が駄目そうな卵)

ツヤ系独特の変な幼虫が産まれます(右上2番目の卵が孵化しました)

 次に幼虫の飼育ですが…これまた良く溶けると評判です。

実際、順調に溶けています。孵化した幼虫の内、約1割〜2割溶けています。

無駄な餌替えを避ける為に、孵化した直後から大きめの容器で飼育した個体と、1齢時は小さい

仕切付きのケース(卵を保管していたケース)で飼育し1齢後期〜2齢の時点で大きめの容器に移した個体、

2通りの飼育法の内産卵をしたマットと同銘柄のマットを与えた個体、異なる銘柄のマットを与えた個体と

4グループに分けて飼育した結果、小さい仕切付きのケースで飼育している間に溶ける事は殆ど無く

餌による差異も若干成長の度合いが産卵マットの方が遅い程度でした。

2齢に脱皮直後の幼虫を2L瓶に移したところ

大きめの容器に移した後、及び最初から大きめの容器で飼育した個体はよく溶けます。

幼虫の性質として、深めの容器や瓶で飼育してもマット表層部に洞を作って生活するので

少しマットを掘れば生存が確認できるのは、溶けやすい幼虫なので便利と言えば便利かも…

3齢幼虫の生存を確認!!(瓶の口の位置からマット表装部で生活している事が分かる)

スチーブンスが材にも産んだと言う事例を検証すべく、3頭と少ないデータですが、

ナラ材で材飼育を試みた結果、1頭は溶けたものの内2頭は他のクワガタのように材に

穿孔してしまう事も無く、幼虫を投入した際のドリルの穴を2回りほど大きくしただけで

2齢に育っているのもいます、基本的にはマットで飼育が適しているようですが、

マットと違い余り環境の変化が少ない材で案外良い結果が出るかもしれません。

約3ヶ月程経過した材を掘り返してみました。

今現在、通算100個程採卵していますが卵で2割、幼虫で1〜2割と4割近くは溶けている事になり、

さすがに幼虫飼育の方は噂に違わず難しいようですが、産卵が始まると体力の消耗が激しい

材産みのクワガタと違い、大量の卵を産んでくれるようで、今現在も元気に産卵しています。

12/17現在の♀
 
 

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