蛹化・羽化(あまり手を出すとろくな事はない)

蛹室の大きさですが、しっかりとしたゆるんでいないマットや菌糸の場合70mm台 の♂で85mm〜90mm程度の大きさの蛹室を作りました。900ccの瓶でも縦置 きで作れる大きさです。最初は大型種の割に小さい蛹室しか作らないと感じました が、83mmで羽化した幼虫でも蛹室の長径は90〜95mm程度ものしか作りませんでした。 このサイズで問題なく羽化してます。
初めシェンクリンり蛹室の大きさはもっと大きくないと羽化不全するとの 話しを聞いていたので、心配でみんな蛹室から引っ張りだして人工蛹室で羽化させた りしたものでしたが、あまりいじりすぎては良い結果には成りませんでした。 虫は自分で無事羽化出来る蛹室を作るわけですから、心配にはおよばなかったわけです。 その後はマットや菌糸がゆるんでしまい幼虫が上手く蛹室を作れなかった場合や、カタチが変な 場合(蛹室のカタチになっていない)のみ人工蛹室にしました。人工蛹室は当時 トイレットペーパーの芯(香り付き、笑い) で作っていたのですが、現在はオアシスなど良い素材が有りますね!



これは結局どの種にも言える事ですが、しっかりと詰まったマット等で良い蛹室 (卵型で体をくるくると回転出来る) を作らせれば結構上手くいきそうです。
飼育始めた頃はなんと無事羽化する♂は50%、♀で70%程度で、大型が羽化不全し て落ち込んだ事も多かったです。何でこんなに羽化不全するのか?この種が産地でも多く採集 されないのはそんな事が原因?元々そういう種なのだろうか?色々考えたものでした。



当初、飼育の仕方も悪かったのでしょうが、それを差し引いても国産オオと比較する なら蛹化不全、羽化不全等がかなり多かったのは確かです。蛹室のカタチも問題なく、温度も管理し、 むやみにあたらず触らずしても、蛹化不全、羽化不全等するものがありました。
ところが何代か飼育を続けて来て最近になり以前よりも羽化不全の確率が低くなって 来たと感じてます。始めてからある程度の飼育方法を確立し、それ以来方法を 変えたわけではないのですがそう見えるのです。飼育の腕が上がったわけでもありません。(笑い)
自然淘汰とか遺伝とかの話しは全くど素人ですが、1ペアから飼育して来たので 羽化不全する要素を持った個体は 当然淘汰される事になり、羽化不全をしにくい個体のみが今残っていてそういう結果になって いるのかな−、などと思うのですが、、どうなんでしょう? これは、あらためて新しく採集してきた個体を累代してみたい気もします。
それに、まだ1ペアから累代 (いつからやっとんじゃい何代目かは次の機会にでも) し世代を重ねた 悪影響は現れていない様に思えます。里子に行ったモノも無事産卵の報を聞く事が多いし、 クワガタの類はどの程度同じ親からの累代を重ねると悪い影響が出るのかも興味が湧きました。 この先もこのまま累代続けてみるつもりです。



終わりに

以上、シェンクリンをどのように飼育したら良いか、今まで模索してきた事を 書いてみましたが、飼育を続けて行くうち最初の頃とは違った面が見えて来て、 またおもしろいものです。それにこの種は発酵マット、菌糸、それに材 と、どの方法でも大型個体が出ているようで、かなりの大型個体(90mmじゃ!)を 羽化させる事が出来ると期待を抱かせ、飼育はとても楽しみな種です。
希種とされていたクワガタも、採集方法が分かったり多産地が見つ かったりする事が結構ありますが、このシェンクリンは昔から多くは採集されず、 今まで沢山採れたという話しは聞いた事がありません。現在の産地の状況も考えると 永遠の希種になりそうです。


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