ノコギリタテヅノカブト飼育奮闘記
by エンダー
ender@ad.wakwak.com
 
 


 
 

永かった…
幼虫時最大体重59g、蛹長95mm


<はじめに>

私の記録によれば、ノコギリタテヅノカブト(以下、ゴロファ)の3令幼虫を購入したのは、クワ歴2ヶ月記念日の99年11月28日であった。当時はヘラ・ネプとオオカブト初令を立て続けに購入したものの、亀有カブトさんの掲示板で「ネプ・ヘラ2年…」という岩手のGOさん(多分)の書き込みを見てショックに打ちひしがれている頃でもあった。毎週のようにショップを巡っているうちに、ふと見つけたのがゴロファ3令幼虫であり、プリンカップ特大の中には巨大な幼虫が見え隠れしていて、「これなら直ぐにも成虫の姿を拝めるのでは?」と思った瞬間4頭を衝動買いしてしまったのは言うまでもない。
購入後も幼虫たちはみるみる大きくなり、私にとっては誇らしく、一番可愛い虫となっていった…
 
 


ゴロファ幼虫で遊ぶ馬鹿な筆者


購入後約3ヶ月の2月18日に65g、59g、56g、40gと最大体重を記録した後は、どんどん黄色く変色して蛹化の間近さを感じさせるようになった…しかし、それが悪夢のような日々の始まりであろうとは予想だにできなかったのである。以下はただひたすらゴロファ3令幼虫を1年間飼育し続けた、あるクワ馬鹿の回想録であり、飼育レポートというのはあまりにも稚拙なものであることを予めお断りしておく。


<飼育環境>

クワ馬鹿本号に掲載されている、ヘラクレス・ゴホンヅノの飼育レポートにおける飼育環境と基本的には全く同じなので参照されたい。ケースは小プラケのままで最大体重までもっていけたのであるが、以後はいろいろな環境に移すことになった。


<最初の脱走>

99年3月頃、帰宅して虫部屋に入り照明をつけたとたん、そこには驚愕すべき光景があった…
 



脱走中のゴロファ


6畳間の中央のテーブルの上には、180cmのラックの最上段にいるはずのゴロファ幼虫がまるでモスラ幼虫のように這っているのであった。慌ててケースを見ると、ビニールの防虫シートとキッチンペーパーを丸く食い破り、小プラケの蓋が持ち上げられてずれている状態であった。とすると、このゴロファは脱走後180cmのラックから落ち、さらに30cm程のテーブルを這い上がってきたとしか思えない状況であった…
その後はプラケの上に重しを置いて、低い場所に移したのであるが、他の幼虫達も次々とビニールシートを食い破り、プラケの蓋を囓っているところを発見されるにいたり、大プラケへの移住を決意することとなった。


<2度目の脱走>

大プラケでは防虫シートからマット面まで10cmは空けておき、容易には脱走できないようにしたのであるが、僅か1週間後にはシートと蓋の間に挟まってもがいているところを発見されることとなった。再び戻して観察すると、棒状に硬直して垂直にもたれかかり、鋭い顎でシートにかじり付いてよじ登ろうとしているのであった…


<果てしなき暴走の日々>

大プラケでも効果はないと悟り、次は漬物用タッパ密封、衣装ケースといろいろな蛹化作戦を試みたが、幼虫たちは黄色くなりながら餌も食べる様子もなく、ワンダリングはとどまるところを知らないのであった。最後にはマット上に出てもがいていても見て見ぬ振りをする有様であり、完全なお荷物扱いになっていったのであった。この辺りの試みに関しては、同時掲載のヘラクレス・ゴホンヅノの記事や、「まちかね掲示板」にポストした「暴れるカブト幼虫対策募集!」に詳しいので参照されたい。


<終わりの始まり>

前記のような、試行錯誤を3ヶ月あまりも続けた後、ようやくゴロファ達が落ち着く環境を作ることが出来た。ゴホンヅノカブトの飼育レポートにもあるが、4Lの梅酒ビンに微粒子の堀江マットを水分やや少な目でガチガチに固めたところ、夏の訪れを感じる頃にはゴロファ達はビンの底で蛹室を形成して静かに横たわったのであった…
 



最後の決め手となった梅酒ビン


しかし、蛹室は作ったものの、1ヶ月過ぎ、2ヶ月が過ぎ、3ヶ月が過ぎ…もう夏も終わってしまってもゴロファ達は動かず横たわったままであり、いつしか梅酒ビンは棚の奥の目立たないところに忘れ去られたのであった…


<そして1年が過ぎた>

3令で購入した99年11月28日から1年が経過した2000年12月2日、前日からクワ部屋の整理をしていて相変わらず横たわった幼虫をみたばっかりであったが、ふと移動しようとして蛹室を見ると、ただならぬオレンジ色が…そしてヘラやグラシロの蛹化で見たにょきっと長い角が…全くあっけない蛹化であった。そして他の2頭も同時に蛹化(恐らく同日)していたのであった。
 



堀江マットもいつしかこんな色に…


本稿執筆中の2000年12月6日現在の状況は下記の通りであるが、羽化そして累代へと成功していくのかは全く不明である。続編を皆様に報告出来る日が来ることを切に願うばかりである…

@幼虫時最大体重 65g:2000年12月2日蛹化♂(蛹長100mm超)、梅酒ビン内で保管
A    〃      59g:2000年12月2日蛹化♂(蛹長95mm冒頭写真)、オアシスに移動
B   〃      56g:2000年12月6日蛹化性別未確認(蛹長不明)、梅酒ビン内で保管
C   〃      40g:2000年12月2日蛹化♀、梅酒ビン内で保管
 


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