初心者でもできた外国産カブト飼育レポート
ヘラクレスオオカブト編
by エンダー



<産卵>

 我が家では、系統Aのワイルドのリッキー、系統Bの羽化させたヘラクレス・ヘラクレスのペアリング及び産卵に成功しています。以下、重要と思われる項目毎にまとめてみます。

1.ペアリング

 自分で羽化させたヘラクレス・ヘラクレスは、♀が羽化後4ヶ月、♂が2ヶ月の時点でハンドペアリングを一度だけ実行しました。写真のように、囲った中に材を置き、材に♀を乗せてから♂を覆い被さるように置きました。瞬間的に♂は♀を動けないように固定して、しばらくすると交尾を開始しました。約2時間程で離れました。翌日も同様の行為を試みましたが、♀は激しく拒否するようになったので、そのまま♀を産卵セットに入れました。

 ワイルドのリッキー♀は一応2〜3日♂と一緒に入れただけですが、特に交尾を確認する前にマット内に潜りましたので、交尾は済んでいるものと判断しました。

2.産卵セット

 現在までに2種類のセットを試していますが、両方とも正常に産卵しています。

 ■ 系統Aワイルド・リッキー
     50Lの衣装ケースにZマットを30cm敷き詰める。底から10cmほどは上から押し固めてガチガチにしました。マット上には材のカスなどを転倒防止用に敷きます。また、ヘラクレスの幼虫飼育で得た糞をフルイにかけて保存してあったものを、20粒ほどマット内に埋め込んで置きました。ただしZマットでは直ぐには産卵せず、セットから1ヶ月ほどしてかなり黒化してから産卵を開始しました。最終的には60卵を回収し、全てを孵化させることが出来ました。
 ■ 系統B羽化させたヘラクレス・ヘラクレス
     50Lの衣装ケースに幼虫飼育と同じPCファーブル社の「黒クヌギオーガニック・マット」を敷き詰めます。その他はリッキーと同じにしました。ハンドペアリングした♀は、産卵セット内に直ぐに潜り始め、10日後には8卵の産卵を確認できました。この卵は直ぐに取り出して、下記のようにプリンカップに保存して毎日観察します。だんだん膨れて内部に幼虫らしきものが形成されていましたので有精卵であると判断し、産卵を継続させています。もし膨らまないようですと無精卵の可能性があるため、再度ペアリングを行います。とりあえずは羽化後2ヶ月の♂でも生殖機能はあるようです。

産卵セット(50L衣装ケース)

3.卵の取り出しと孵化

 卵については、取り出さずにそのまま孵化させて幼虫で回収するべきという方もいらっしゃいますが、私は定期的に卵を取り出して、プリンカップ内で孵化させています。有精卵であればまず確実に孵化しますし、50Lの衣装ケースといえども50以上産めば♀に卵が壊されてしまうこともあり得るので、孵化数を増やすためにも卵は取り出すべきと思います。

 卵は殆どがカチカチに固められたケースの底部分にありますので、丁寧に探していき、見つかったら1個ずつプリンカップに収納します。この時気を付けているのは、卵はどんどん膨れていきますので、予め膨らむスペースを作っておくことです。希ですが、卵にマットが付着すると、腐ってしまうことがあります。私はプリンカップの側面から見えるように卵を収納し、毎日観察できるようにしています。この方法だとダニが湧いて危ない時には直ぐに交換ができます。プリンカップの蓋には0.5mm程度の穴を一つ開けています。

プリンカップによる卵の保存

 卵は約1ヶ月で孵化します。孵化してもプリンカップのまま2令直前くらいまでは大丈夫ですので、乾燥しすぎないように注意しながら飼育します。

 

<おわりに>

 今回ご紹介したヘラクレスの飼育は、私が経験したことを述べただけであり、多様な選択肢の考察や検証を行った飼育法研究ではありませんが、初心者でもブリードで立派なヘラクレス成虫を出すことが可能だし、累代もできるという事実をお伝えすることで、クワカブ愛好家なら誰でも飼っている普通の種として根付いていくことに少しでも貢献できれば嬉しい限りです。



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