ツヤハダクワガタの産卵

tsuu3@田中


 お盆帰省ついでの採集の際に、栃木県県北の地でツヤハダクワガタ(原名)の産卵を目撃したので報告しておく。2000年8月11日の気温32度と非常に暑い日の出来事である。ツヤハダクワガタの産卵状況の報告はまだ少ないと思われるのだが・・・?
 

1.状況
 ツヤハダクワガタの産卵を目撃したポイントは林道沿いの小さな沢沿いのブナ林である。下草が少なく、ブナの倒木は充分に見られた。山肌は南斜面で有るが、前にも山が有るため日当たりは悪い。標高は1000m〜1100m間である。私のPRO TREKは1050mを指していたが、±50mは誤差が有るだろう?
 材は直径約50cmで、長さは約2m。私はツヤハダの材を探す場合にはいつも材の下を見る。ツヤハダの好む赤く朽ちた材は、表面が固く中が柔らかい場合が多く、表面を見ただけではそれとわからない場合が多いが、材の下の地面に接した部分は中の赤く朽ちた部分が露出している場合が多いのである。そして、その部分を削って幼虫が出てくれば当たりである。今回もそんな感じで幼虫が出てきた。今回新成虫が出るかどうかは時期的に懸けであった。
 

2.観察
 材を削っていると終齢、初齢幼虫が見られた。さらに材にぽっかり穴が開き、成虫の♀を発見した。一瞬新成虫かと思ったが、お尻から黄色い卵が今まさに出た所であった。びっくりしたが、写真を撮った。
 まず全体像をfig.1に示す。
 注意)写真を見て変なことを想像しないでもらいたいのだが・・・(^^;;;

fig.1

 ♀が産卵の為に入り込んだと思われる入り口は材の側面下側にあった。材と垂直に約1cm程度進み、その後材と並行に約7cm程度進みその先に丸い直径が3cm程度の産卵室の構成である。
 次に産卵室の写真をfig.2に示す。

fig.2

 この写真は削った直後の写真であり、卵は数個吹っ飛ばしてしまった(^^;;;
削った直後♀は写真の一番右斜め上の位置にお尻を向け産卵していた。上の位置を更に削ると卵が出てくる。もう少し深く削っていたらと思うと・・・危ない、危ない。なお、卵は一旦集めて、違う幼虫の穴に埋め戻している。写真のようにツヤハダクワガタは産卵室の回りに小さな穴を掘り卵を産卵するようである。
 なおこの材からさらに1♀の成虫と1♂1♀の蛹を採集している。1♀は体に赤見が有り明らかに新成虫とわかる個体であった。

3.まとめ
 ツヤハダクワガタの材採集を試み産卵を目撃した。幼虫、成虫も採集した。産卵の為の坑道は幼虫の食痕と殆ど同じ感じである。この坑道は♀が掘って開けたものなのか、或いは幼虫の開けた坑道&蛹室を利用しているのかは不明である。もし、幼虫の開けた坑道&蛹室を利用しているとしたらば非常に面白いと思われるし、それは否定出来ない。

 1.産卵は坑道を掘り産卵室の回りにさらに小さな穴を掘り行われる。
 2.産卵の為の坑道は幼虫の開けた坑道&蛹室を利用している可能性が有る。
 3.産卵と初齢幼虫も見られたことから、成虫は7月中旬から8月中旬に活動していると思われる。
 4.終齢幼虫、蛹と成虫も見られたことから、羽化は8月中旬から9月中旬に行われると思われる。
 5.ツヤハダクワガタは良い虫である(^^)

 以上簡単ではあるが報告を終わる。

 

つーさんの森 !
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