8/26 信越オオクワ 4連発編(5/5)


00/8/27

新潟県某所、長野県某所

【泣いても笑っても・・・】

さあ、泣いても笑っても、これが最後の夜だ。採集記を書くのも疲れてきたぞ〜。(^^;)

これまで通った場所は、大きく分けて3つのエリアに分かれる。

1つは、これまで実績がいちばん多く、当初は重点を置いていた新潟のエリア

2つめは、やっとシーズンインして、昨日感動のオオクワを採った新潟のエリア

3つめが、長野である。

今日もスタートは1つめのエリアから入ることにした。エリアといっても、そのエリア内での移動距離はハンパではない。

今日は時間がないので、何度も何度も回ることはせずに、1回だけで見切ろうということになった。

期待の外灯を中心に、その近辺の外灯を回る。

・・・・・・・・・ボロボロ。(ToT)

近隣の市町村に移動して、これまで実績のあるポイントを回る。

・・・・・・・・・ズタズタ。(ToT)

本当に、ここは終わってしまったのか?

それとも去年みたいに騙されてるだけなのか???

昼間に続き、あまりにもお粗末な結果に、すでに二人は文句を言う元気もなくなっていた。

何の未練もなく、ここを見切って、また大移動をすることにした。


【期待のエリア】

さあ、いよいよ期待のエリアに突入だ。

6月から通い続けて、夏も終わろうというこの時期にやっとシーズンインした、変なポイントだ。(^^;)

灯下のエリアに入った時に、新人K君が、

「あ〜さん、あの外灯どうですか〜?」

と聞いてきた。確かにあそこに外灯があるのは知っていたが、行くのは怖かったし、開けてそうにないので一度も行ったことはなかった。

「あんなとこ行って、帰られへんことなったらどないすんねん?」

などと、ぶつぶつ言いながら、結局車は外灯の方へ行ってしまった。(^^;)

案外あっさりと外灯までたどり着き、助手席側(外灯側)の新人K君に確認を入れてみる。

「何かおるか〜?」

「いませ〜〜〜ん」

な〜んだ、無駄足じゃん。まあ、これまで何万回もの無駄足を踏んできたので、そんなことは何とも思わない。(^^;)

車を切り返して、今度はあ〜が念のため外灯の下を確認。

 

あっ!!

 

思わず声が出た。灯下に生えている草の葉っぱの下から、点刻の入ったクワガタのケツがのぞいていた。

目を疑ったが、間違いない。

ただならぬ気配を察知した新人K君に向かって、いきなり右手を差し出した。(^^;)

 

「まぢっっっすかぁ〜〜〜〜〜〜???!!!」

 

声が裏返って、右頬が引きつっている。(^^;)

採れる前から握手をしたのは初めてだ。

「これ!これ!!」

とオオクワを指差した。

 

「うわぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 

ここでようやく車を降りて、新しいポイントでのオオクワをゲットした。41.3mmの♀だった。

これが新人K君のおかげで採れたということは言うまでもないだろう。オオクワ採集にいちばんありがちなパターンだ。こういう時は、絶対に同行者の言動が影響を及ぼしているものだ。だから自分が採っても同行者の実績にもなると思うし、同行者が採っても自分の実績になると思っている。

41.3mm

これまたピカピカのド完品だ。(^o^)

うれしすぎる!!再びテンションは一気に上昇した。来てよかった!!(^o^)

さらに、この電柱につくノコ♂を見つけ、その上に、また怪しい♀がいるのが見えた!

もうオオクワに間違いないと思い、電柱によじ登ったら小さなアカアシの♀だった。(^^;)

そう簡単に行くわけないっちゅーの。(^^;)


【昨日の場所】

わずかに5分ほどで、いよいよ昨日オオクワを採集した場所に到着した。新人K君が、昨日採れた奥の方にすっ飛んで行った。(^^;) 早くも何かをどかす音が聞こえてくる。

あ〜はすっかり満足モードなので、余裕をぶっこいて、ROMに書き込まれている動作を繰り返すだけだ。(^^;)

まず花壇・・・・

花壇???

あれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜???

花壇の上に、鎮座していらっしゃるのは???

36.1mm ♀

なんと、オオクワの♀であった!!

またまたピカピカのド完品である。

まさか、こんなに簡単に採れるとは思ってもいなかったので、随分びっくりした。

今までの惨敗は何だったの???

などと思いつつ、新人K君の方を見る。一生懸命探している。自然に頬がにやけてくる。

さあ、握手の準備だ。万全の体勢で純正握手をかまさなきゃ。(^^;)

たるんだ頬を元に戻す。(^^;)

ああ、またたるんでくる。(^^;)

一生懸命元に戻す。深呼吸をして、平静を装う。

じゃあ、行こうか。(^o^)

あんまり勇み足で行くと悟られるので、ゆっっっくりと近づき、新人K君がこちらを向いた瞬間に、目を見てそろぉ〜〜〜〜っと右手を出した。相手の視界の隅に、ちょこっとだけ右手が見えるところがミソだ。(^^;)

 

「まぢっっっすかぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜???!!!」

 

左の頬が引きつっている。(^^;)

すでに泣きそうな顔をしている。(^^;)

それ以上何も言わせないぞと言わんがごとく、右手にもう一回力を込める。

喜びが沸き上がってくる。(^o^) 笑いが止まらない。純正握手はきっちり決まった。(^o^)

この光景は一生忘れることはないだろう。オオクワを採集したシーンより、握手をした時のシーンの方が印象に残る。

さっきの握手から、わずかに10分後の出来事であった。


【ヤナギ爆弾再び・・・】

さて、いよいよこのエリアで一番オオクワの期待できる場所までやってきた。今日飛んでいることは確認できているので、ちゃんと探せば見つかるだろう。

丹念にライトで照らして草むらまで見ていく。

しかし、採れたのはコクワ、アカアシ、ノコ、ミヤマといういつもの面々ばかりだ。ここではミヤマの♂も絶好調で飛んできている。

ヤナギ爆弾はさすがに昨日よりは数が多い。期待通りの成果が出た。本命を除いては・・・


【長野へ】

さて、これで最後の大移動だ。大移動と言えば、ほんとに大移動なのだ。通常の「移動」は10km単位だ。これは檜枝岐→舘岩への移動のようなイメージである。これはエリア内の移動だ。大移動となると、100km単位になる。山梨→茨城という感覚だ。ポイントを明かせないのが残念だが、地図でこれを見ると、この距離を移動して採集しているなんて信じられないと思う。

帰り道に長野のポイントへ行くことにした。

オオクワを採っているので気分は軽い。

ここで狙うメインの獲物はオニクワだ。(^^;)

サクっと採って、さっさと帰ろう。明日は仕事だ。

ポイントに向かっていたのだが、ものすごい風が吹き始めた。灯下採集の敵は、雨よりも風だ。こんな風ではクワガタは期待できない。かなり怯んできた。

それでも途中まで来てしまったのだから仕方がない。一応見るだけ見てみよう。

途中の外灯でコクワを拾った。何とか飛んでいたみたいだ。というか、コクワ1頭しか拾えなかったという方が正しいのだろう。虫は薄い。

次の外灯を通過するときに、コンクリートに不審なを発見した。

車から見ていて、かなり距離があったので、何かは確認できないのだが、どうやら昆虫らしい。クワガタならすぐわかりそうなものだが、ちょっと違うような気がする。相変わらず風はびゅんびゅん吹きつけている。

車を降りるのが面倒なので、行こうか行くまいか、しばらく悩んでいたのだが、こういう時はこれまでも必ず車を降りて確認してきた。念のために行ってみることにしよう。

 

・・・・・・・・・・・・ミンミンゼミだった。(ToT)

 

ああ情けない。車に戻る前に一応他もチェック。

 

あっ!!

 

ミンミンゼミからわずかに50cmのところに、大型のクワガタの♀がとまっている。これを見間違えるはずはない。どう見てもオオクワの♀だ!

こ、これって長野産? まじ? まじ?

やった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

 

もう、これしか表現が思いつかない。完璧な新規開拓の成功だ。あまりにも嬉しすぎて言葉にならない。

 

一旦、興奮を押さえ付けて、平静を装って車に戻った。

「あれ、何でした?」と、新人K君。

「ミンミンゼミやったわ」と、落胆のふりをするあ〜。

そして、助手席に向かって右手を差し出した。

 

「ま、まぢっっっすかっ?!」

両頬が引きつって、完全に真顔になっている。

 

「ミンミンゼミの横に、こんなんおったわ!(^o^)」

「う、うぉわ〜〜〜!!!」

長野産オオクワ38.4mm ♀

ピッカピカのド完品

もう一回握手した。(^^) 本当にうれしい。

握手4連発もきっちりと返すことができた。(^^;)

さっきから仲間に経過をメールで入れているのだが、全く反応がない。これはまだ檜枝岐で採集しているに違いないと思った。

新人K君がすっ飛んでオオクワを探しに行っている間に、嬉しさのあまり、メールのないr.matsudaさんに電話をしてしまった。圏外かと思ったが、意外にも電話は繋がり、寝起きの声が聞こえてきた。しまった!!と思ったときにはもう遅い。起こしてしまったらしい。ごめんなさい。(ToT)

次の外灯では、狙っていた?オニも採れて、今晩は大満足の成果を残すことができた。

オニ♂

オニ♀

その後、二人は期待の外灯に到着したのだが、あまりの風の強さにクワガタの数は思いっきり少なかった。こんな状態で、よくオオクワが採れたと思う。


最後はズタボロの状態で帰京。よく事故らずに帰ってきたものだ。

総走行距離は、実に1,500km。人間業とは思えない。

今回はちょっとのタイミングが合って、オオクワを採ることができた。これまであれほどタイミングを逸してきたのに、どうして今回だけタイミングが合ったのか、よくわからない。

狙ってた場所で惨敗したり、諦めていた場所で2頭も採れたり、やっぱりわけがわからない。

しかし、やっぱり今回も思ったのは、頭でっかちにならないこと。決めつけると視野が思いっきり狭くなって、採れるものも採れなくなる。考えたってわからないことが多すぎるのだ。

採れた順に左から並んでいる

昼間の惨敗はあったものの、新人K君のおかげで楽しい採集をすることができた。これまでの苦労が一気に酬われたという感じだ。

ありがとう!>新人K君


【今回の成果】

コクワ:14♂♂、39♀♀

スジ:1♂、2♀♀

アカアシ:31♂♂、43♀♀

ヒメオオ:8♂♂、3♀♀

オオクワ:4♀♀

ノコギリ:43♂♂、62♀♀

ミヤマ:20♂♂、6♀♀

オニ:2♂♂、1♀

合計:279


本稿は2000年8月26日付で掲載した採集記に加筆・修正したものです

2000.9.5

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