外国産くわがたむし輸入解禁申請記(後編・その1)




去年の1月に農林水産省に解禁申請して以来、ほぼ2年の年月を経て1999年11月24日、 待望の外国産クワガタムシ・カブトムシの生体輸入が一部解禁されました。 この間、ほぼ毎月のように農林水産省植物防疫所に電話をかけ、あるいは直に出向いて審査 経過を伺ってきましたが、そのほとんどが「まだわかりません」という返事ばかりでした。

しかし、今年(99年)になって解禁近しの憶測が飛び交うなか、10月に出向いた際の応対が いつもの「なんとも言えない」から「検討中」という表現に変わったことで、私自身としては 解禁間近の手応えを感じていました。

そして11月24日午後1時過ぎ、待望の解禁のお知らせを頂いたわけです。 受話器を持つ手が震えていたかもしれません。

さて、今回の解禁結果についてですが、個人として農林水産省に申請をしたのは私だけだそうです。
私の申請20種の他には某業者等が通商産業省へOTO(輸入市場開放)関連で計7種。 (私の申請分と重複分があると思われます)
また過去に博物・展示目的などで特別に農水大臣許可された実績がある数十種を加えた計45種が審査対象になりました。

この中で唯一許可が下りなかったのは「ヒメカブト(Xylotrupes gideon)」ただ1種のみでした。 「明らかに害虫である、という文献が存在する以上、現時点での解禁は無理」ということでした。

すなわち今回解禁された種は合わせて44種。従来からの4種を加え、計48種が輸入可となりました。

以下は、その48種です。青字は私の申請分、赤字 は従来からの許可種です。



クワガタムシ
和     名
Allotopus rosenbergi オウゴンオニクワガタ
moellenkampi モーレンカンプオウゴンオニクワガタ
Cyclommatus metallifer メタリフェルホソキバクワガタ
(メタリフェルホソアカクワガタ)
Dorcus alcides アルキデスヒラタクワガタ
antaeus アンタエウスオオクワガタ
bucephalus ダイオウヒラタクワガタ
curvidens
= parryi
= hopei
= grandis
オオクワガタ
(パリーオオクワガタ)
(クルビデンスオオクワガタ)
(インドオオクワガタ)
(タイワンオオクワガタ)
(グランディスオオクワガタ)
kyanrauensis ミヤマヒラタクワガタ
montivagus ヒメオオクワガタ
rectus コクワガタ
reichei ライヒヒラタクワガタ
rubrofemoratus アカアシクワガタ
schenklingi シェンクリンオオクワガタ
titanus オオヒラタクワガタ
(ヒラタクワガタ)
tityus ティティウスヒラタクワガタ
Hexarthrius parryi
= deyrollei
パリーフタマタクワガタ
(セアカフタマタクワガタ)
buqueti カニガタフタマタクワガタ
(ブケットフタマタクワガタ)
mandibularis オオフタマタクワガタ
(マンディブラリスフタマタクワガタ)
Lucanus cantori カンターミヤマクワガタ
cervus ヨーロッパミヤマクワガタ
maculifemoratus ミヤマクワガタ
Neolucanus maximus マキシムマルバネクワガタ
Odontolabis alces アルケスツヤクワガタ
dalmanni celebensis
= celebensis
= dalmanni
= dalmanni intermedia
インターメディアオニツヤクワガタ
(セレベンシオニツヤクワガタ)
(ダールマンツヤクワガタ)
femoralis フェモラリスオニツヤクワガタ
(フェモラリアツヤクワガタ)
(フェモラリスツヤクワガタ)
stevensi ステベンシオニツヤクワガタ
(スチーブンスツヤクワガタ)
Phalacrognathus muelleri ニジイロクワガタ
Prismognathus angularis オニクワガタ
dauricus キンオニクワガタ
Prosopocoilus confucius コンフキウスノコギリクワガタ
giraffa キバナガノコギリクワガタ
(オオキバナガクワガタ)
(ギラファノコギリクワガタ)
inclinatus ノコギリクワガタ
javanus
= astacoides
ジャワアカクワガタ
(フタテンクワガタ)
(アスタコイデスノコギリクワガタ)
lumawigi ルマウィギィノコギリクワガタ
(ルマウィノコギリクワガタ)


カブトムシ
和    名
Allomyrina
=Trypoxylus
dichotoma カブトムシ
Allomyrina pfeifferi サビイロカブトムシ
(サビカブトムシ)
Chalcosoma atlas アトラスオオカブトムシ
caucasus コーカサスオオカブトムシ
moellenkampi モーレンカンプオオカブトムシ
Dynastes hercules ヘラクレスオオカブトムシ
neptunus ネプチューンオオカブトムシ
Enema pan パンカブトムシ
Eupatorus gracilicornis ゴホンツノカブトムシ
Golofa porteri ノコギリタテヅノカブトムシ
Megasoma actaeon アクタエオンゾウカブトムシ
mars マルスゾウカブトムシ
elephas ゾウカブトムシ
Trichogomphus martabani メンガタカブトムシ


この中でグランディスやパリー、タイワンなどが広義のオオクワガタとして1つにまとめられたことは お役所の粋な計らいとでも言えましょう。

また、カブト解禁に関しては我々くわ馬鹿界では「意外だった」という声が少なからず挙がりましたが 「解禁されたカブトムシは他のクワガタムシと同様の扱い」というのが農林水産省の見解のようです。

なお、実際の輸入に際しては以下の農林水産省からのご注意をご覧下さい。



カブトムシやクワガタムシを持ち込む場合の「注意事項」

  1. 輸入する種名(学名)が記載された,輸出国公的機関発行の証明書を取得してください。複数の種類を同時に輸入される際には,1枚の証明書に複数の種名が記載されたもので構いません。
  2. 輸入時に植物防疫官による確認検査が必要です。植物防疫所で検査を受けて下さい。
  3. 植物防疫所(検査カウンター)では,「昆虫類等輸入検査申請書」(様式)に必要事項を記入の上,証明書を付けて,輸入したいカブトムシ・クワガタムシ類と共にお出しください。
  4. 証明書の記載内容に間違いがなく,輸入可能な「種」であることが確認ができれば輸入できます。
  5. 確認が終了したものは,「確認済み」の印が押されます。この印がないと,輸入可能な種類であっても通関できませんので,必ず植物防疫所で確認検査を受けて下さい。
  6. カブトムシ・クワガタムシと同時に輸入される飼育資材(例:果実等の餌,腐葉土,木材腐朽菌等)の中には輸入できないものもあります。
 なお,輸入可能な種類として申請があっても,植物防疫官による確認検査の結果,当該種であることの確認ができないことがあるので,その場合には輸入ができません。特に,証明書がない場合には卵,幼虫,蛹雌成虫の輸入はできませんので,証明書を必ず取得してください。



さて、解禁とはいっても千数百種あるとされているクワガタムシ全体から見ればまだまだわずか数十種です。 ということで早速第二弾に行ってきました。

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