マダラクワガタの蛹と新成虫
by えりー


昨年材採集で得たマダラクワガタの幼虫が蛹になっているのに気づき,掘り出して撮影してみた.マダラクワガタの蛹は図鑑などの生態写真でみたことがあるひとも多いかもしれないが,羽化が近づくと,蛹の表面からでも鞘翅の黒毛が透けて見えるので,マダラクワガタであることは一目でわかる. 今回,蛹後期の写真を撮るのが目的であったが,掘り返しているときに既に羽化していた成虫2♀♀と羽化直後の新成虫1♀が出てきたので合わせて報告する.
標高1100m付近のブナ林内でコルリクワガタの材採集時に得られた幼虫である.ちなみに福井県のマダラクワガタの記録はこれが3例目である.福井には材割りをする虫屋さんが居なかったためであって,潜在的にはかなり幅広く存在すると思われる.

マダラクワガタの蛹(後期).鞘翅にマダラに黒い斑紋があるのが見える.他のクワガタ虫の場合はこのような斑紋は現れないので一目瞭然である.前胸背板にも同様の剛毛が生えているのが見て取れる.それにしても小さい!わずか7 mm!!
成虫1.レフ板を使ってマクロ撮影したんだが,なかなかピントが合わない・・・.体長は頭部をのばして4 mm.
成虫2.おそらく♀だと思うが自信はない.なにしろ羽化している3匹とも♀らしい.一応♂♀の区別は大顎でするらしいのだが,基準となるものがないので大きいのか小さいのかよくわからん.蛹の交尾器を見る限り他の種類で見えるような輸精管構造が見あたらないところを見ると,蛹も2匹とも♀のようだ.残る1幼虫は?
成虫3.羽化したてと思われる個体.まだ腹部は白く,鞘翅は薄く透き通っている.つまり,微毛束だけは羽化の前に着色,黒化するが,羽そのものは羽化後着色するようだ.脚もまだ透き通っ茶色である.折線方向に見ると黒い微毛束の起立がはっきりと分かる.

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