rain、危機一髪!

 後日談

 台湾から帰国した翌朝、目が覚めて、いろいろな事があったなぁ..と思い出しました。 うっかり直射日光に虫をおいて気がついたら全滅しており呆然とした事、言葉が通じず苦労した事などを振り返り、いい経験したなぁ、と感じていました。と、その時、 母親が慌ただしくちょっと<テレビ、テレビ!>と部屋に入って騒ぎました。 なんと!台湾で大地震があったと報道してます!まさか、南投県じゃないよね、見ていると 驚く事にその南投県が震源地でした。まさに危機一髪です。普段は厳しい母親も この時ばかりは<あんた、運がよかったねぇ〜>と声をかけてくれます。やっぱりこういう 時は心配してくれるんだと、しみじみ感じてますと<だって、あんたが行方不明になったら あんなにたくさんの虫の世話に困るからねぇ..>やはり、うちの母親でした.....

 とにもかくにもWASHIさんに無事を電話で報告しました。 <あっ、昨日無事に戻りました><いや〜、危なかったねぇ><ほんと、危機一髪でしたよ> <採集はどうだった?><う〜ん、まぁ珍品は駄目でしたけどそれなりに....> などと話しているうちにWASHIさんの恐るべき計画が明らかになりました。

 実は7月頃、はじめてお会いして採集に連れていってもらったのですが、その時すでに私が 台湾で採集できるかどうかチェックしていたそうです。そして、資金面でも問題ないように 梅田の昆虫展のバイトを入れさせ、さらに、行かざるをえないような状況まで作っていたの でした。まさか、そこまで計算済みとは....

 しかし、この後さらにとんでもない話が! <うん、うん、それなりにいい経験したみたいだね。ところで、オーストラリアにはいつ行くの?><オ、オーストラリアですか!!??>なんと、いつの間にやらオーストラリア へ行くことになってたのです!!<だって、ニジイロ見たいって言ってたでしょ?だったら、 オーストラリアに行かないと。そのために台湾で修行したんでしょ?>

 なんとも、恐るべき計画であった....台湾行きはオーストラリア行きの布石でもあった とは...<ですけど、ちょっと...><行きたくないの?ムナコブやパプアキンイロ がいるんだよ〜?><うっ....>この言葉に少し心が揺らぐ。 <あ〜あ...ニジイロが待っているのにぃ〜>悪魔の囁きである! しかし、死力を振り絞り<い、いきません!>と断りました。今、ここで断らないと 次はアフリカの奥地にでも送り込まれそうです.....

 とまぁ、こんな感じで行きも帰りもどたばたした、採集旅行でしたが、いい経験を つましてもらったなぁ、としみじみ思いました。採集に必要な情報などを教えてくれた WASHIさんや梅田で知り合った方々に心から感謝しています。台湾は人は親切、 気軽に旅行できる、採集は楽、とすばらしい所です。是非一度、皆様もいかれてくださいね。 しかし、最近、<オーストラリアかぁ....、悪くないかもしれないなぁ> と、思い始めてる自分が怖いです....
 

rain
 
 

追記 WASHI

rain君の台湾行きを後方支援しまして、彼が無事に帰ってきたのはなによりなのですが、 僕は何一つ彼からお土産をいただいておりません。それどころか彼は、「虫は全部 死んじゃったんで、捨てちゃいましたぁ」と、のたまわれました。 それがほしかったんじゃぁ!
その代わりに彼には、この冬にでも何か採ってきてもらいましょう。
 

台湾の震災にあわれた方々へ謹んで哀悼の意を表すると共に、心からお見舞い申し上げます。
また、1日も早い復興をお祈り申しあげます。


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