わたしはこーして馬鹿になった

 by きよまる

 私が育った川崎市中部東横線沿線の町には、クワガタはおろかカブトも生息していなかった。夏場の昆虫採集といえばアブラゼミばかりだった。父の実家のある葉山でミンミンゼミやツクツクボウシといった羽が透明系のセミを捕らえることが毎夏の最大の目標だった(クマゼミは生息しておらず、ヒグラシを捕らえる技術はなかった)。

 月日は流れ、3年前の夏、場所は鹿児島県某農村地帯にある女房の実家所有の畑。以前から農業生活にはかなり興味があったのだが、結婚後は毎夏、水田の草取りをしたり、牛のセリ市について行ったり、牧で風呂を焚いたりと手伝いという名目の邪魔を次々と行い、自分の興味を満たしていた。その日は耕作機に乗せてくれるというのでいそいそと畑に出かけた。少しばかり作業して涼をとるために木陰に向かったその時、6cm弱のノコギリ♂だったが、生まれて初めて野生のクワガタを見たのだった。

 翌年夏は子供たちにせがまれ、同じく鹿児島で実家近くのクヌギ植林地でノコギリ、ヒラタ、カブトをゲツトし川崎に持ち帰った。ホームセンターでプラケースやゼリー等の飼育用品を買入れたものの、基本的な知識は皆無だった。秋が過ぎ、冬が来ても死なないヒラタクワガタが不思議でならなかった。この疑問を解くため本屋に走ったのが運の尽きだった。

 翌年(昨年)は、事情があり鹿児島には行けなかったが、川崎の公園でカブト、ノコギリ、コクワをゲット、越冬したヒラタが産卵。極めつきは10月になってもホームセンターで売れ残っていたオオクワのペアと菌糸瓶入りの蛹(商品名は幼虫)2体を格安の値段?で手に入れた。

 そして今年6月、ついにこのホームページを知り、興味と期待は日に日に高まっていった。まだ、オオクワをゲットしたことはないが、この夏ヒラタ65mmをゲットした。目の前のカブトやコクワをやり過ごすという贅沢な体験も出来た。成虫は4種類20匹を超え、幼虫は確認済みのものだけで30を超えた(この他にカブトあり)。

 会社では、幼虫ばら撒き作戦を展開する一方、人事部次長(蝶狂い)と来年度の昆虫部結成を誓い合うなど今まさに絶好調といったところだ。また、犬好きの長男は喘息持ちで飼えないことに不満タラタラだったが、妹とともにクワガタ飼育にのめり込み、今は犬のことに言及しなくなった。
 
 
先々に不安を感じつつも、この趣味に出会えて本当によかったと思っている。