「怪説・世界のクワガタ」 第14回 フタマタクワガタ 【3】

- A.CHIBA -




fig 5

fig5 Left(左) Hexarthrius melchioritis Seguy,1954

【分布】 N.MYANMAR,ミヤンマー北部(カチン)
【体長】 ♂ 65mm〜
ミャンマ−北部産で、載せた写真程度の大きさの個体だとオオフタマタ H. mandibularis の小型と良く似て いるが、次のムニスゼチィフタマタに近い種と思われ亜種とされる場合も ある。ミャンマー北部は地理的にも厳しい場所で近年になり調査されているそうで、 珍しい虫の宝庫らしい。

fig5 Center(中) Hexarthrius mniszechi Thomson,1857

【分布】 NE.INDIA, 北東インド
【体長】 ♂45−75mm
体色は頭部と胸部が艶消しの黒で、上翅には少し艶がある。80mmは越えない ようで、見かけるものも小さい個体が多く70mmあれば大きい方。

fig5 Right(右) Hexarthrius howdeni Delisle,1972

【分布】Philippines, フイリッピン(ルソン島、ミンドロ島)
【体長】 ♂40−53mm
フタマタクワガタの仲間では、一番小型種。最近になりミンドロ島産が入って 来るまで、なかなかお目にかかれなかった。




fig 6

fig6 Left(左) Hexarthrius mandibularis mandibularis Deyrolle,1881

【分布】 BORNEO, ボルネオ
【体長】 ♂50−112mm
フタマタクワガタの仲間では一番大型(全長)になり、昔から オオフタマタクワガタの名でおなじみの種で体長は割と簡単に100mmを越える。 全身黒色だが上翅が赤っぽくなる個体もあり、更にこのボルネオ産のもの ではパリ−フタマタに似た上翅の色になっている個体を見た事がある。

fig6 Center(中) Hexarthrius mandibularis sumatranus Mizunuma,1994

【分布】 SUMATRA, スマトラ
【体長】 ♂50−115mm
1994年に世界のクワガタ虫大図鑑において水沼哲朗氏により亜種とされた種。 スマトラ産の本種は現在ボルネオ産よりも多く入ってくるようで、100mmを 越えるものもこの産地の方が手に入りやすい。

fig6 Right(右) Hexarthrius rhinoceros rhinoceros Olivier,1789

【分布】 JAVA,ジャワ
【体長】 ♂60−90mm
写真はジャワ島産のもの。他にスマトラ島とその南西に位置するメンタワイ諸島にも 分布しておりそれぞれ亜種となっている。スマトラ島のものが H. rhinoceros chaudoiri Deyrolle,1864 メンタワイ諸島 のものが H. rhinoceros sadaoi Mizunuma,1994 この種も世界のクワガタムシ大図鑑で記載されている。体色は黒だが中に上翅が 綺麗な赤色になるものがいる。ジャワ島産のものが一番オオ顎の湾曲が強い。


【参考文献】

NOTES ON EURASIAN INSECTS No.2
世界のクワガタ虫大図鑑
月刊むし No.328 June 1998


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