この顔にピンと来たら
この顔にピンと来たら、、、
全国共通指名手配犯人顔写真
by coelacanth
鉈や網を片手に日夜全国の凶悪昆虫を探して悪戦苦闘を繰り返している捜査官の皆様、ご苦労様です。さて、かねがねご要望の高かった指名手配犯人の顔写真集を試作いたしましたので、ご参考にしつつ、犯人の検挙に全力を尽くして下さるようお願いいたします。
全国のアジトに潜む彼ら凶悪犯は、探す者を虜にし、中毒患者となった者が家庭を顧みずにますます熱中してゆくなど社会問題化するケースが多発しており、一刻も早く凶悪犯の発見、検挙が望まれております。
最大の障害となっておりましたのは、彼らが非常に似通った影武者を使うなどして、識別が難しく、市販の写真集や人相描き、特徴の記述などを読んでも素人にはほとんどわからない、という点でありました。今回は犯人の人相をより正確に撮影したものを入手すべく最大の努力を傾注し、これまでに言われていたような特徴の記述と合わせてより一層一般市民による犯人の発見、識別、通報が容易になるよう工夫したつもりであります。
しかしながら犯人の顔写真撮影は困難を極めるものでありました。何しろ相手は動くし、接写2cmなどという世界は、隙間から照明を入れるのが難しく、デジカメ(DC-2E)の前に撮影助手となったピーコ捜査官作成によるアルミ板を張りつけたレフ板(レンズの部分に穴を空けてある)を取り付け、インバータ蛍光燈2基を使って間接照明したのであります。
これで十分な光量がようやく得られ、シャッターも十分早く切れ、ピントも合ったのでありますが、今度はまた犯人の体の白っぽい部分や犯人の首根っこをつかむ為にはめていた軍手の白い部分に露出が合ってしまい、肝心要の顔のディテールが失われる始末。軍手で掴めば犯人の動きはそれほど問題とはならなかったのですが、苦しがって途中でゲロはくは、アゴの形状をはっきりさせるにはその下に白い紙を挟むのが理想だがとても2人じゃそこまでできないは、軍手の白さをごまかそうと黒い布を手に巻いて益々動き難いは、、、何度も何度も撮り直して丸半日が経過しました。
という具合で結局市販の本の写真よりうんと良い物を!という目論見もすっかり意気込みだけに終わってしまい、それほど分かり易いとは言い難いのであります。せめて肉眼でもっと差を見ようと思ったのに12倍の強力宝石鑑定虫眼鏡をどこかに紛失したまま見つけられず、、、次回また機会があれば必ずやもっとマシなものを完成したいのですが、今回はもう時間もないのでとりあえず参考まで。深山は3齢のものにやや難があり(ものの本によれば特徴の4つ穴がないものもいるとかで)仕方なく2齢を使いました。それでも4つ穴がはっきりしていたのは唯一の収穫です。後は各自で特徴を見つけていただけるとありがたいです。なお、参考文献として以下2冊を挙げておきましょう。
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カラー図鑑クワガタムシ・カブトムシ「日本産のクワガタムシとカブトムシを完全網羅」
吉田賢治著 成美堂出版 ISBN4−415−08156−8 1200円
巻頭に16種のクワガタ幼虫写真がある。全体、顔、尻、が全て載っているが、やっぱりどう見ても似ていてよくわからない。
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クワガタ虫 平成元年6月1日「クワガタ虫」編集部発行
2500円 虫研 吉田賢治著と思われるが何せISBNもないシロモノ
後の方に「クワガタムシ幼虫の肉眼での同定法」という記事があり、白黒イラストで13種のクワガタ幼虫に関する住環境も含めた同定法が解説してある。
- 大桑型雄
大型で、雄の頭は8mmから12mmにも及び、この大きさだけでほとんど小桑と区別する。クチビルの上に深山以外と同様、2つの鼻毛穴があるが、その周りに更に細かい毛が取り囲むように並ぶ。顔色が小桑よりずっと濃く、顔中央の山の字型の線がより強く濃く縁取られている。アゴはスッキリと伸び、先端の曲がりも少ない。
- 平田桑次郎
大桑同様大型で、雄の頭幅は8mm以上。えりー捜査官によれば、「頭部正中縫合線から前方に左右に分かれた(人の字のような)前側縫合線を前後にはさんで大(前)小(後)の凹みがあるのがヒラタ(眉毛みたい)複数の点刻が並ぶだけで凹みが小さいものがオオクワと私は思っていたのですが,♀とか若終齢ではあまり明瞭にわからなかった」との事であるがなかなか難しいようだ。この人というか山という字の縫合線は平田の方が太くつぶれているような感じもする。またアゴもいくらか大桑のような力強さがない。鼻毛の周りの毛も少ないかも知れない。
- 鋸桑之
これも大型だが、やや大桑や平田より小さい。顔色がかなり濃いのとアゴが若干波打っているように見え、その先端が強く曲がっているのが特徴。潜伏場所は平田と似て、大桑よりもより湿度の高い、根のような部分を好む。顔全体が大桑や平田よりも正円に近いという話もある。
- 深山桑蔵
鋸同様、やや大型で湿った根の部分に潜伏する事が多い。まず一目見て毛深い印象があり、更に最も特徴的なのは鼻毛がこいつだけは4つ明白にきれいに並んでいる点である。ただし、中にはこの鼻毛が明瞭でない深山もいるという情報もある。なかなかやっかいだ。今回はたまたまカビるんるん捜査官提供の前科3犯の深山がそのようなものだったので、あえてあいあん捜査官提供の前科2犯のものを撮影してみたが、これでもちゃんと4つの鼻毛が見えた。
- 小桑型助
大桑の影武者として至る所で発見される犯人である。人相は極めて大桑に似ているが、やや黄色く、小さいのが特徴である。頭幅は5mmから8mm程度。大桑を検挙したと思ってもほとんどの場合こいつである事が多い。前科3犯で体重が10gなければまずこいつだと思って間違いない。大桑のくせに10gない場合は、かなり貧弱な大桑になってしまう。
各方面の捜査官の皆様、ご協力ありがとうございました。軽視庁では全国の皆様からの更なる情報提供をお願いいたしております。最近では不法在留外人による犯罪も多発しており、一刻も早く完全な識別情報大全を完成させんものと日夜努力しておる次第であります。
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