TATUYA ISHII
EXPO ISHII 1999
SPACE HAWAIIAN SHOW

あくまでも、「私の記憶」だけをたよりに書いているので、
せりふとかもぜんぜん違うかも〜ってことで、雰囲気だけ感じていただけたらと。(^^;)
(コータロー扮するマスター登場。)
(店の鍵をあけ、エプロンをつけ、神棚に拝み、店支度をするマスターの姿)
ナレーション ここはバー・ペパーミント。
この店のマスターは今年三十路を迎えたばかりのこの男。
過去に傷もつ男だが、とあるバーのオーナーにその正直さを買われ、
今ではこんな小さなバーをまかされるまでになった。
今日も不安と焦燥を心にぶら下げた人々がこのペパーミントにやってくる・・・
(会社員のびゅーちーとりゅーちゃん、ドアから登場。びゅーちーはかなりの酔っぱらい状態。)
びゅーちー もう一軒つきあってくれよぉぉ・・・
俺さぁ、もう部長やだね。あの部長の言い草なぁ・・・
あ、ビールもらおうか・・・おいおい、サンピン!!
(マスター、むっとする)
びゅーちー あ・・・マスターか(笑)ビールくれる?
マスター アサヒ、サッポロ、バドワイザーとございますが。
びゅーちー オリオンくれよぉ
マスター アサヒ、サッポロ、バドワイザー・・・
びゅーちー 君、エビスがいいよな。じゃエビス!
マスター アサヒ、サッポロ、バドワイザー・・・
びゅーちー 君、ハイネケン好きだったよなぁ、じゃハイネケン!
マスター アサヒ、サッポロ、バドワイザー・・・
りゅーちゃん バ、バドワ・・・・
びゅーちー んじゃ、そのバドワイザーでいいや
マスター バドワイザーでございますね
(マスター、缶ビールをとりだす)
びゅーちー だからよぉ、おれはさ、この仕事、最初っからやりたくないって言ったんだよ。
誰だってさぁ、できるもんとできないもんがありますよ。なのにあの部長ったらよぉ・・・
マスター お客様、缶のままでよろしいでしょうか?
びゅーちー あ、いいよ最初は缶でなぁ
(プシュ!カン。びゅーちーとりゅーちゃん乾杯。グビグビ・・・)
(びゅーちー、缶を力任せに床に投げ捨てる)
びゅーちー いいんだよぉ、こんな缶なんか捨てちゃえよ
(びゅーちー、りゅーちゃんの缶も奪って捨てる)
(マスター、むっとした顔で缶を拾いに行く)
びゅーちー あ、サンピン・・・
(マスターむっとして振り返らない)
びゅーちー じゃなくて、マスターか。ははは。ビールもう一杯くれる?
マスター 同じ物でよろしいですか
びゅーちー あぁ、いいよ。今度はコップでくれない?
(マスター、上の戸棚からグラスを取り出す)
マスター こちらのグラスでよろしいですか?
びゅーちー グラスなんてっちゃって、コップじゃん、はっはっは。
あぁ、いいよいいよそれで。サッポロビールって書いてあるよぉ、安モンの・・・
(マスター、むっとする)
(マスター、グラスを拭いてカウンターに置くとビールを開け、缶を高々と持ち上げてビールをつぐ)
びゅーちー おいおい、そんなに・・・泡だらけじゃん
(マスター、ビールのグラスの周りを拭いて、二人の前にグラスを置くく)
マスター どうぞ
びゅーちー あ、マスターこれさぁそっちからこう投げてくんない?さーっとさぁ
りゅーちゃん 映画みたいに
びゅーちー そうそう、映画みたいにさぁ。俺さ、やりたかったんだよぉ。やってよぉ。
マスター でもお客様
びゅーちー 大丈夫だぁぁぁぁって、だって俺、野球部だったもん幼稚園の。
○ッチーの少年野球団入ってたからよぉ〜
マスター あの・・・お連れ様、かなり酔ってらっしゃるようですけど・・・
(マスター、りゅーちゃんにたずねる)
びゅーちー だぁぁぁいじょうぶだぁぁってぇぇぇ〜
マスター それじゃ、ちゃんと受け取ってくださいよ
びゅーちー あぁ、OKOK〜、びしぃぃぃっと受け取っちゃうから〜
マスター じゃ行きますよ
(マスター、カウンターの上にグラスを滑らせるが・・・)
びゅーちー あ、フケついてるよ
(びゅーちー、りゅーちゃんの方に歩み寄り、肩のフケをはらう。)
(ガシャン!!グラス、テーブルから落ちて割れる。)
びゅーちー ・・・君が悪いんだぞ・・・フケなんかつけてるから
(びゅーちー、りゅーちゃんを責める)
びゅーちー 謝っといたほうがいいよ。怒ってるから。そうそう。
りゅーちゃん すみません
びゅーちー 謝ってるからさ、許してやってよ。かんべんしてやってよ。ね。
(マスター、むっとしつつグラスを片付けに行く)
びゅーちー そうそう、次に来たお客さんケガしちゃうといけないからね〜ちゃんと片づけておいてね〜
(マスター、むっとしている)
びゅーちー いいのいいの、彼もプロだからさ。
あ、サンピン!・・・じゃなかったマスターか。はっはっは・・・あの、あたりめくれる?
マスター あたりめでございますね。
びゅーちー ・・・でさ、今日こんなに君にさぁ、何軒もはしごして付き合ってもらってるのはさぁ
部長のことだけじゃないのよ・・・俺、悩んでんの。これ(小指を立てる)のこと。
(マスター、あたりめをカウンター下の棚から取り出し、調味料をかける。)
マスター あたりめでございます
びゅーちー あ、なんだか俺、この話したらさぁ・・・胃が痛くなってきちゃった。
あたりめなんか食べられないよ。君も食べたくないだろ?あたりめ。返しちゃえよ。
まだ口つけてないし、大丈夫だよ。君から返してよ。君ならいやみがないから大丈夫だって・・・
(おろおろするりゅーちゃん)
びゅーちー あの、これ彼が返すって。食べないって
(あたりめを返す)
マスター でも・・・あなたが頼んだんでしょうが
びゅーちー 食べられないからさ。いらないんだよ・・・
(びゅーちー、あたりめ投げかえす。ビチャ!なぜか妙に水っぽい音(笑))
(あたりめ、マスターにあたる)
マスター 何も投げなくていいじゃないですか・・・
びゅーちー あ、ごめんねごめんね〜そうだ、ピニャコラーダ作ってよ。ピンニャッコラーダ
マスター ピナコラーダでございますね
(ガチャ!マスター、下からボトル取り出す。カウンターに置く。ドン!)
(マスター、精神統一・・・)
びゅーちー なんだか気合入ってるねぇ・・・
(マスター、ボトルを手に持ち・・・シュシュシュシュシュシュ・・・ボトルを振り回す・・・
(そして、ボトルを高く放り投げ・・・一回転!キャッチ!)
(シュシュシュシュシュシュ・・・ジャンプしてカウンターにボトルを置く。ドン!)
びゅーちー おいおい、何もそんなにおおげさにやらなくても
(マスター、荒い息)
びゅーちー 何もそんなに息切れるまでやらなくても
(マスター、ボトルを持ち上げ背中越しに注ぐ。水の音)
(ボトルを床にたたきつけて割る。ガシャン!)
びゅーちー おいおい、自分で割ってんじゃないの
(マスター、シェーカーを手にとり・・・ヒュン!ヒュン!)
びゅーちー いいんだよ、普通に振ればさぁ・・・
(シャカシャカシャカ・・・マスター、シェーカーを上下に振りながら店中を歩き回る)
びゅーちー おいおい、西川○リオじゃないんだからよぉ
(マスター、グラスをカウンターに置き、左手を前に添えてシェーカーからつぐ。水の音。)
びゅーちー なんだよ、その手はよぉ
(マスター、グラスのまわりを拭く)
びゅーちー なんかもっとさ、なんかのっけてくんない?
(マスター、パイナップルのしぐさ)
びゅーちー パイナップルとか・・そうそう。
(マスター、冷蔵庫からパイナップルを取り出す。ドン!)
びゅーちー おい、何もまるごと1個置かなくても
(マスター、カウンター下から日本刀を取り出す。神棚に拝む。)
びゅーちー まてよ、おい、あぶねぇよ。そんなもん取り出して
(マスター、日本刀抜く。シャキン!気合入れて・・・・)
びゅーちー あぶないって居合い抜きじゃないんだからさぁ・・・
(サクサクサク!小さく3回切る)
びゅーちー なんだ意外にやることちいせぇなぁ・・・こいつよぉ
(マスター、パイナップルのせる。)
びゅーちー あとよ、もうちょっと彩り欲しいよなぁ。赤い・・・さくらんぼとか・・・
(マスター下から取り出す)
びゅーちー そうそう、赤いのね。へ?プチトマト?さくらんぼじゃないの?
マスター うちはイタリアンのピニャコラーダですから
びゅーちー あぁ、イタリアンね。イタリアンって・・・プチトマトなの?
(グラスに狙いを定め・・・マスター後ずさりしながらグラスから距離をとっている)
びゅーちー なんだよ、別にただ入れりゃいいんだよぉ?
(マスターさらに遠くに・・・)
びゅーちー おい、隣りまでいっちゃってんじゃないの?
(マスター後ろを向いてしゃがむ)
びゅーちー なんだよ、後ろ向いちゃって
(後ろ向きにグラスに向かって投げる。ヒュンヒュン!)
(ボチャ!ボチャ!)
びゅーちー おぉ、入ってるよぉ!
(会場拍手)
マスター ピニャコラーダでございます
びゅーちー マスター、今度は俺がこっちから投げるからさぁ。うけとってよ。
大丈夫大丈夫、俺野球部だったもん
マスター 本当に大丈夫ですか?
びゅーちー だぁぁいじょうぶだぁぁって〜いくよ〜
(ガチャン!びゅーちーグラスをカウンター横に落としてしまう。)
びゅーちー ・・・・・君が悪いんだぞぉ!
(りゅーちゃんのせいにする)
びゅーちー 今、ちらっと俺の事見ただろ。それに気を取られちゃったんだよ。
君のせいだぞ・・・ほら、謝っておきなさいよ・・・
りゅーちゃん すみません
びゅーちー 謝ってるからさ、許してやってよ。ね。
(マスター、グラスを片づける)
びゅーちー そうそう、それでさ、女の話。
俺の付き合ってる女がね、過去があるのよ。
俺さぁ、何、学○院だから。俺自身がブランドなわけよ。
俺もさ、未来あるしさぁ、困る訳よ・・・
それが俺の付き合ってる女さ、昔、
西日暮里のペパーミントとかいう暴走族の頭とつきあってたんだって。
それがね、敵対するブラックキャッツとかっていう族があって、そっちの頭とデキちゃったんだって。
で、その一人になっちゃったヤツ、嫉妬して、バカだからよぉ
こっちの男を刺しちゃったんだってさ。こ〜わいねぇ〜
今は出所してきて、バーかなんかやってるらしいんだけどよぉ
そいつから、俺の付き合ってる女のところに毎日電話がかかってくるんだってよ、そのバーから。
あきらめきれなくて。こえ〜よ〜
だからさ、おれさ、もう、今日はスッパリ別れようと思ってさ。
マスター ・・・あの・・・お客様・・・失礼ですが・・・
お客様の付き合ってらっしゃる女の方ってお名前はなんと・・・?
びゅーちー 君には関係ないだろ。
マスター そうおっしゃらずに・・・お名前はなんと・・・
びゅーちー 八千代千草
マスター ちぐさ・・・・・
(マスター、呆然として、持っていたコップを落として割る。)
(戸棚から次々グラスを投げ捨てる)
びゅーちー おいおい・・・大丈夫かよ全部割っちゃって
(びゅーちー、マスターのことなど気にせずまたりゅーちゃんと話している)
びゅーちー んでね、とにかく今日はさ、
もうバカヤローって叫んじゃってさっぱりしちゃおうと思ってさぁ。なぁ。
こっち向かって叫ぼう。
(背後では、マスターが日本刀を取り出し、神棚に拝んでいる・・・)
びゅーちー まずは、部長の
二人 バカヤロー!
びゅーちー あとさ、あの男!あのバカ!あいつがいなかったら、俺も別れなくていいのにさぁ!
あの男に、あのバカに、バカヤロー!!っだぁ〜
二人 バカヤロー!
マスター ・・・あの・・・お客さん・・・
びゅーちー へ?
(マスター、振り向いたびゅーちーを切る)
りゅーちゃん 僕は関係ない・・・
マスター あんたもだよ・・・!
(マスター、りゅーちゃんを切る)
(呆然とするマスターを残し、りゅーちゃん、自分のポジションへ移動・・・びゅーちー扉から退場)
びゅーちー どこいくんだよ・・・
りゅーちゃん ちょっとアルバイト・・・
(日本刀を持った手をふるわせるマスター)
マスター ・・・またやっちゃった・・・・
ちぐさぁぁぁぁぁ〜
「女嫌い」に続く・・・
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