昔々‥南青山に小さな中古カメラ屋さんがありました‥縦目のメルセデスが好きな店長と‥二人の若い女性店員が‥おしゃれなブティックを思われる雰囲気を醸しだし‥クラシックカメラブームの最中‥話題のお店となりました‥
このお店では‥主に舶来の中古カメラを中心とした品揃えで‥店名であるレチナにとどまることなく‥ライカ、ハッセルはもとより‥当時珍重されたアルパへの対応にも力を入れており‥1998年には店長自ら手掛けたアルパ−L39マウントアダプターを販売することになりました‥
しかし‥このマウントアダプターは手作りの削り出しで‥41000円という高額にもかかわらず人気があり‥注文してから手にするまで時間がかかり‥1998年秋‥私が手にしたときは店長自らが目の前で最後の仕上げをしてから渡してくれました‥
何故このアダプタが重宝がられたかというと‥アルパはスイスのウォッチメーカーが手掛けた精密機械で‥当時‥そのメンテナンスには相当の費用がかかり‥10dのオーバーホールは45000円‥9dは他店で65000円もしました‥
ボディより魅力のがあるアルパのためにラインナップされたレンズを活用したい多くのユーザーは‥ハードユース向きでないアルパのボディはそっとしておいて‥41000円という価格に悩むことなく‥これを注文したのでした‥
望月さんが好きで始めたお洒落な中古カメラ店は諸事情により長くは続かず‥現在の南青山にそのお店を見ることはできませんが‥距離計連動型のマウントアダプターは今でも当時の輝きを保っており‥あの頃を思い出させてくれます‥
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