珍動物の館

DAY7 後編


ふと左を見ると・・・・

リチャードソンハイウェイを40分ほど走ると左手に「Alaska Rendezvous HeliGuides」なるヘリカ
ンパニーが見えた。Rendezvousって何て読むんだろと辞書を引くとフランス語でランデブー.。
意味はアラスカの溜り場ヘリガイド?

広瀬さんが「あそこは1Dayもやっているらしいよ」と教えてくれた。

何気なく・・・本当に何気なく・・・「今日滑れたりして」とつぶやいてみた。

その瞬間・・・広瀬さんの足がアクセルから離れたのを感じた。
そしてゆっくりと落ちてゆくスピード・・・。

時刻は14時半、今からアンカレッジまで450kmを走なければならない。
ウェアーやブーツはスーツケースの中だし板だってエアキャップでぐるぐる巻きだ。

でも・・・みんな同じ事を考えていたらしい。

「じゃあ聞いてみようか?」と広瀬さん。
「滑れなくてもいいから、どんなところか記念に見てみましょう」と俺
「滑れるかな」となんちゃん

思った通り、誰も反対をしない(笑)。

Uターンをして受付に行くと朝からヘリ待ちをしている連中が4グループいたが
5グループ目としてならエントリーできるらしい。

まさかアラスカに来てヘリのはしごとは・・・。



受付を済ませるとすぐ準備をしろと言われ駐車場でスーツケースを広げて着替える。
みんな顔がニヤついている・・・病気だ(笑)。

という自分も昼にシャワーを浴びた後、キネシオテープを張り直しCWXを履いてインナーシャ
ツも着込んでいた。いつでも滑れるようにと・・・あきらめないでよかった。

Gr5はカナディアンが一人合流し4人になった。合流した彼はモーターハウスに寝泊りをしなが
らもう6日間もヘリ待ちをしているとの事。3日間滑れた僕らはまだラッキーな方だったらしい。

17時:Gr1が離陸してから2時間も待たされたがやっと僕らの番が回ってきた。

ヘリに乗り込み大空に飛び立つ。「また滑れるんだ」と一気にテンションが上がる。


1Run目はメローな斜度にひざ上のパウダー。


  ガイドが真ん中に写っているが・・・見えないほど遠い

巻き上がるパウダー、流れる景色、熱くなる太もも、いいじゃん、いいじゃん。


ヘリが迎えに来てすぐに2本目、出だしは40度ぐらい。

滑りはじめると・・・Deep・・・&フェイスショット。

自分の巻き上げたパウダーで前がまったく見えない・・・
たぶん過去最高のDeepパウダー!

あまりにも前が見えないので途中で怖くなってしまったぐらいだ。

さらに太ももが熱くなりそろそろ限界ってところでプチクリフ。
ふわっとした後にバフーンと着地!
「さ、最高だ!」

同じラインを通った広瀬さんもパウダーダ〜イブ!


 hiroseさん
■雪が深すぎて映像的にはあまり良いものが取れなかったのが残念!
 ガイド


3本目はさらに急な所に連れて行ってくれた。
出だしで45度ぐらい。

ガイドがドロップインすると2ターン目にはもう見えなくなった。足元から「岩があるぞー」って声
だけが聞こえる。しばらくするとはるか下の方から出てきたガイドの両手が上る。


■3本目はたしかここ。もしかするとこの裏側かも?

斜面に飛び込む、板を真下に向ける、自分のスプレーで前が見えない。
またしてもオーバーヘッドだ。

自由落下をすると巻き上がるパウダーにささえられゆっくりと落ちていく感じがする・・・

例えるとふかふかのベットに倒れこむその一瞬に似ている。
それがターンをするたびに繰り返される。
ふわん・ふわん・ふわん・・・気持ちいい〜

滑っていると頭の中が痺れてくる・・・脳内麻薬ってやつ?

もう何度ターンしたかわからない・・・ただ太ももが熱かった。

ガイドまでたどり着くと雪まみれの二人が笑っている・・・



VALDEZに残っている二人はきっと俺らは今頃アンカレッジに向けて車を走らせていると思っ
ているんだろうなあ?まさか数十km先でヘリスキーをしているなんて想像もしていないんだろ
うなあ・・・。

受付に戻り支払いを済ませると再びアンカレッジに向けて出発した。


30分もしないうちに日は傾き始め、
そして太陽がゆっくりとアラスカの大地に吸い込まれていった。

フロントガラスの向こうにはアラスカの夕焼け・・・



ビデオクリップのエンディングはこの景色で決まりだ


さようならVALDEZ、さようならアラスカの大地。

またいつの日か・・・


−後書−

思えばAKの斜面を滑りたいというただひとつの共通点だけを接点にネットを介し集まった5
人。でかい4WDをレンタルし走ったアンカレッジからVALDEZの風景もすごかった。たった8
日間だったけど一緒に過ごしたVALDEZの素朴な人々。そしてたぶんスキー人生最大のイベ
ントであろうアラスカでの滑走。50度を超える斜面こそ滑れなかったが、それでもアラスカは凄
かった。挑戦意欲を掻き立てる斜面にすばらしい景色。行けば滑れば一生の宝になると思う。

そんなチャンスを与えてくれた妻と4人の仲間にお礼を言いたい。付き合ってくれた読者の
方々にも。親にも、友人にも、会社の人にも。「ありがとうございました」。

2007アラスカレポート 終わり


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