珍動物の館

断裂日記03


**前回のおさらい**

右足に走った「ぶちん」という感触。「こりゃ切れたな」そう思い病院に行くと医者の判定は異常
なし。たしかに普通に歩ける。痛みもない。じゃあ、あの感覚は??不安を残しながらも計画は
止まらない。20連休スキーツアーに出発する管理人であった


12月27日(金)。数日の出勤を終えいよいよ出発。心踊るとはこの事。すでに板や大物の荷
物は宅急便でM脇宅に送付済み。デイパックひとつで新幹線に乗り込む。一眠りするとそこは
もう北上。外には雪が降り積もり、人々は白い吐息をはく。M脇宅に到着すると明日からの計
画について最終打ち合わせ、そして無理の出来ない事を伝える。とうとう20連休、スキー三昧
な日々が始まる、そう思うとなかなか寝つけない。アルコールの力を借りてなんとか眠りにつ
く。


12月28日(土)。5つの目覚ましで目を覚ます(M脇は異常に寝起きが悪い)。三菱ランサー
エボルーションW通称ランエボがM脇の車だ。280psのパワーを4輪で伝えるモンスターマシ
ン。これなら八幡平のきつい登りも平気そうだ。軽い朝食(通称カロリーメート)を取るとまずは
予定通り夏油高原スキー場に向けて出発する。最初はゆるい斜面から徐々に難度を上げ
る・・・「あれなんか大丈夫そうだな。でもしばらくはおとなしく滑っていよう。」無理をしないよう気
を使いながらリフト30本程度で切り上げる。


今夜の宿は八幡平山頂にあるユースホステル。安く滑るにはユースが一番。もっと猛者になる
と仲間内でアパートを借りて一冬を過ごしたりするらしい。俺らはせいぜい10日間なのでそこ
まではしない(軽自動車の中で寝泊りしながら一週間のスキーをしたことはあるが)。八幡平は
独特の雰囲気がある。景色を見ながらビールを飲むだけでも気分が良い。そうM脇とは毎年
こうやって正月を過ごしている。もうかれこれ5年目?このローカルさが好きで毎年東北にやっ
てくる。さすがに5年目ともなると行きつけの店(俺の場合は薬屋。毎年湯冷めをして風邪をひ
く)があったりして楽しみの一つになっている。


さて次の日、目を覚ますとまずまずの天気。いきなり八幡平はハードなので、今日はおとなしく
安比を滑ることにする。八幡平ユースから車で40分程度だ。一日券を買ってさっそく滑る。お
お全然問題ないじゃん。スピードを上げてみる。うん大丈夫だ、何も起こらない。天気も良いし
気分も盛り上がる。吸いこまれるように上部バーンに向かう。上部はコブだ。もう大丈夫だ、す
っかり安心しきった俺がコブを飛ばす。その時だ。「ぱかん」膝がありえない方向に外れた。
「え?!何でそっちにひざが???」異常事態にがくんっと力が抜け斜面に滑りこむ。あわてて
立とうとする、大丈夫である事を確認するための本能だろう。「いたたたた、だめだ立てな
い。・・・・やっちまったあ」。それでも頭の中はわりと冷静である。「こんどこそやっちまった、や
っぱり切れていたんだな」。


ゆっくりと両手を上げるとバッテンを作ってアピールする。気がついたM脇がパトロールをつれ
てくるのに時間はそうかからなかった。俺もとうとう救助ボートに乗る時がやってきた。



・・・・次回に続く

次回は乗った人しか知らない救助ボートの世界をお届けします


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