仕事疲れに一句


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ボーナスや、          
ああボーナスや、ボーナスや

<読み人知らず>

 

 

    <解説>
冬はボーナスの季節でもある
作者はまず、はじめの”ボーナスや”でボーナスの出たことに対し、素直な喜びを100%表現してるといえるだろう。
しかし、ここで情景は一変する。
次に”ああボーナスや”に込められた心象風景は、我々にもみな思い当たる節があるであろう。そう、せっかくこんなにも一時的に増えた口座残高に襲いかかる出費、出費。
最初のボーナスに対してここでのボーナスは、まさに人生の悲哀を如何なく表現しきっている。
もちろんこの2つのボーナスが鮮やかなコントラストを形成していることはいうまでもない。
最後につぶやきのように語られる”ボーナスや”。
作者がついに人生の高見に達したことが読みとれる。
このような怒濤の人生の幸・不幸劇の嵐にみまわれて、彼がつかんだもの、そう、それは生きることのはかなさに対する悟り、そしてその中で生きる人々への慈悲の心ではなかっただろうか。


現代のサラリーマンの心境を見事に表した名句である。

1996.12.10


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