象気功
象気功

本日の御神託


注射


まあ、小学2年生のころ、あたしはものすごいアホの子供で、勉強なんかまるっきりする気もなくて、毎日、遊びほうけていて、それで、もっと遊びたいので母親に「おなかが痛いので学校を休む」といったら「じゃあ、医者に行こう」とつれて行かれたのである。

そのつれて行かれた医者は家から2kmぐらい離れたところにあって、バスが行かない地域にあるので歩いて行く以外ないのであるが、まあ、ぐあいが悪いのに2kmも元気に歩いて行くのもなんであるので、とにかくちょーしが悪いふりしてトコトコついて行ったのである。


その医者は今考えると小児科だったせいであると思うのであるが、子供がごった返すほど混んでる医者で、そこでえんえん待たされて、診察して、母親が「おなかが痛くて今日は学校を休んだんです」といったら、聴診器を当てられて、そのあと診察台に寝かされて、おなかをあちこち押されて、あたりまえであるが、どこをどう診てもなんともあるはずもないのであるが、眼鏡をかけたゲーハーのおじさんの医者が、「まあ、一応、注射しておきましょう」なんてコントのネタみたいなことを本当におっしゃったのである。

それで、わけのわからない無意味な注射を左腕にされて、「よくもんでください」なんていわれて、脱脂綿でふくらんだ左腕をもんでいたら、「あしたも学校が終わったら来て下さい、注射しますから」というのである。


そのおじさん先生は予想に反して「学校を休め」とはいわないので、あたしは「あらら、なんだよ、注射までされたのに学校を休めないのかよー」とものすごくがっかりしたのであるが、それで、次の日もその医者に行くことになってしまったのである。

これ、子供心にも、成り行きとはいえ、ものすごくめんどくさいことになったのがわかるのであるが、今更ここで嘘だなんていえたもんではないのも、アホ丸出しの子供であるあたしにもよーくわかるのである。

それで、次の日に学校から帰ってきてから、その医者までえんえん歩いて行って、その子供でごった返す待合室でえんえん待たされて、名前を呼ばれて診察室に入ると、診察なんかなくて、すぐそのわけのわからない注射をされて、「よく、もんでね」といわれて、「痛ててて」なんて思いながら脱脂綿でふくらんだ腕をもんでると、「あしたも来てください」なんていわれて、お金を払って家に帰ったのである。


それで次の日もえんえん歩いてその医者に行くと、えんえん待たされて、名前を呼ばれて診察室に入るとすぐ注射されて「よくもんでね」といわれて、「あしたも来てください」といわれて帰ってきたのである。

それをしばらく毎日続けていたのであるが、いっこうにその注射が終わる気配はなくて、ある日、子供心にも「これはいかん、なんの意味もない、これは医者にいくよりもこの金でなんか食おう」ということで、途中の店で菓子を買って食って、途中の公園で時間をつぶしたりして帰ってきて、その後はしばらく医者に行くという名目で母親からお金をもらって菓子を買って食って帰っていたのである。

しかし、さすがにこれも、「これはいかん、自分がだめになる」と子供心に気がついて、母親に「注射がきいたので、ぐあいが悪くなくなった」と言って、そのわけのわからない注射事件は終了したのである。


まあ、いま考えると、あの注射はいったいなんの薬だったのかわからんのであるが、まあ、べつにあの注射でどこかちょーしが良くなることもないし、具合が悪くなることもなかったので、おそらくビタミンかなんかの注射であったと思うのであるが、まあ、あたしみたいな学校を休みたい子供がけっこうたくさん来るので、あのおじさん先生はこの手でお茶を濁(にご)して、ついでに売り上げアップに利用していたのかもしれないのである。

てなことである。

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