象気功


五禽戯



五禽戯・鳥戯




五禽戯のうちの鳥戯である。

しかし、鳥の真似といっても、鶴でなければならないのである。

だから鶴戯と称する場合もある。


しかし、他の4禽が虎、鹿、熊、猿とおおまかな表現であるのに、鳥だけさらに細かく鶴と限定しては不公平であるので、まあ、鳥戯とするのが妥当であるわけである。

なぜ鶴かというと、漠然と鳥の真似というと、ダチョウだのニワトリだのアヒルだのを真似をすると、どう見ても間抜けであるので、さらに恥ずかしい動作になるからである。

まあ、鶴は日本のみならずちゅーごくでも長寿の象徴あるいは神仙に縁のある鳥としてたいへんめでたい鳥とされているので、それにあやかろうてな意味合いもあるわけである。

五禽戯の動作には、虎のように勇猛になりたい、熊のように力強くなりたい、鹿のようにしなやかで強靭になりたい、猿のように敏捷になりたいてな気持ちの現われもあるのは想像に難くないのである。

その伝で行くと、鳥戯は鶴のようにご長寿になる功法であるわけである。


気功法の目的は何はなくともご長寿であるわけである。

ご長寿であるためにはご健康でなければならないのである。

どんなにえらそーなホラを吹いていても、短命であればなのこっちゃである。

そこへ行くとあたしの前世であるお釈迦さんはホントにえらいのである。

誰が釈迦の生まれ変わりだ、お前がホラ吹きじゃねーかてな新鮮味のないツッコミはご勘弁いただいて、まあ、いろいろな説はあるとは言え、紀元前500年でこぼこという、平均寿命が30歳でこぼこてな時代に、80歳というとんでもない記録を打ち立てているのはどなたも認めるとおりである。

今で言えばギネスである。


その極端なご長寿という伝承から、存在がでっち上げという説もあるとは思うが、存在が事実とすれば、生活が実に垢抜けていたわけである。

まあ、あたしら普通の低能無能力脳なしゴミクズのその他大勢は長生きしてなんぼである。

どんなに張り切っても、歴史や偉人伝に名を残すような業績をあげることができるわけもないのは、まあ、あたしやあなたの親や親族を見ればだいたい分かることであるので、自分が能無しであることに気がついたら、あとはどうやってその能無しの人生を楽しむかということに切り替えることが肝要である。

昨今の平均寿命が男性でも80歳を超える日本では、普通に生きれば90歳は当たり前である。

これは、幼児期に夭逝されたり、事故やお病気で若年でお亡くなりになられた人も含めての平均寿命であるから、普通に生きれば100歳というのもそんなに珍しいことではないのである。


日本の100歳以上の人数は2014年の統計で58000人以上である。

あたしの住居の町内会でも100歳以上が5人もおられるそーである。

だから、現在の日本でご長寿というには、110歳を越えて初めて冠せられる褒め言葉であるわけである。

その100歳が当たり前の国で、50代60代で生活習慣病でお亡くなりになるというのは、どのくらいでたらめな生活をすればいいのかてなぐらい自堕落な生活が見えてくるのである。

つまり、無謀無計画あるいは意志薄弱の見本みたいな生活である。

だから、氣を云々するのであれば、そのセンセー本人が最低110歳以上の寿命を全うしなければならないわけである。


あたしの予定は軽く120歳越えご長寿の成就である。

死にそうに具合の悪そーなセンセーや無謀無計画自堕落意志薄弱な生活が災いして頓死なされたりしたセンセーを師と仰いでも、先行きはろくなことがないのである。

まあ、「病気になって早死にしたい」なんてマニアックなご希望をお持ちの方にはべつに申し上げることはございませんので、とんちきなセンセーの真似を心ゆくまでご堪能いただいて早死にしていただいてなんら異存はございませんが、じょーしきを持ち合わせている方は冷静に判断してまともな方向に自分を向けることをご推奨申し上げるのである。

与太話はともかくとして、ご長寿が総ての氣のメソッドの目的であるとすれば、千年の寿命の鳥戯があって、万年の寿命の亀戯がないのは理屈に合わない気もするのであるが、いくら長生きでも亀の真似して這いずり回ってまで長生きしたくないという人が多かったのかもしれないのである。


まあ、気功法には古代から伝わる亀の呼吸という呼吸法があるので、亀の真似はそこに譲るとして、とにもかくにも鳥戯である。

鳥戯には鳥伸と鳥飛という動作があるのであるが、どちらも片足立ちでいろいろな動作を行うわけである。

両動作ともに呼吸法を併用すれば、動作的には呼吸筋を鍛え、主に肺機能を強化するということが基本である。

それなら深呼吸でいいではないかと早合点してはいけないのである。

鳥戯はまず、この「片足立ち」というところに味噌があるのである。

味噌であって醤油ではないということをよーくご理解いただきたいのであるが、もちろん、その場しのぎのつなぎネタであるのはご推察の通りである。


まあ、老化は足からというぐらい、健康状態を保つには足腰強化は重要である。

気功の基本にも上虚下実というタームがある所以である。

脚力強化には片足立ちが非常に効果的である。

1分半の片足立ちで1時間のウォーキングと同等の下半身の筋力強化の効果があるつーことである。

もちろん、心肺機能の強化とはべつの話である。

さらには片足で立つことによりバランス感覚を養うことで、脳の活性化も促すわけである。

かくのごとく、片足立ちは健康増進に効果的であるので、鳥戯はそれをこよなく成就する功法であるわけである。


さて、とにもかくにもそれを踏まえての第一の動作の鳥伸である。

鳥伸は本戯手形を鳥翅てな形にするのである。

この鳥翅の形を作ってみると、頭頂部の百会から後頭部、後背部を通って尾閭あるいは尾骶骨に達し、さらには脚部の内側や裏側を通って足の踵を通り足指の先までテンションがかかり、腕の内側を通り手の指先までテンションがかかるのである。

習ったり読んだりの聞きかじり読みかじりのそのへんのセンセーと違い、経絡の隅々まで細胞が反応する不肖象師匠の独壇場である。

まあ、とにもかくにも、これは経絡で言うと、百会から発して後背部の督脈を開き、さらに三焦経などを通り手足の指先まで開くということであるわけである。

鳥翅で指先を伸ばすことにより、氣道が引き伸ばされて開くわけである。

それで、さらに鳥伸の体勢を作って体を弓なりに湾曲させることにより、体躯前面の任脈から足の氣道を開き、いわゆる大周天になるのである。


周天は意識により、氣を巡らすわけであるが、それを体勢によって起こそうというわけである。

もちろん、巷間に大仰に喧伝されているような大周天のありもしない効果というわけではなく、周天本来の経絡の狭窄・閉塞しているところを開くということが目的であるわけである。

まあ、任脈督脈から手足の三焦経の通りを良くして全身の氣道を開き、血行を促進するということである。

周天をご経験の方はわかると思うが、氣を回すときに、頭部を含めて体を後ろに反らせると、それだけで任脈も督脈も氣の通りが良くなるのである。

さらに鳥翅の手形をつくることにり、手足の氣道も開き、大周天の効果を目論む動作となるわけである。

そのことを鶴の動作になぞらえて鳥伸を考案したわけであるが、やってみれば分かるが、効果はともかく非常に恥ずかしいのは猿戯と同様である。


これを新宿アルタ前でやってたりすると、交番からおまーりさんが飛んでくるのである。

さて、続いて、鳥飛である。

鳥飛は手を鳥の羽根として羽ばたきながら片足で立ち続けるのである。

かなり困難な功法であるわけであるが、これに習熟すると、氣が充足するのである。

手を羽ばたくのは開合功や昇降練気同様に、氣を発生させるためである。

その動作を脚力強化を兼ねて行うわけである。

これは太極拳なんかも同様である。

太極拳の套路もゆっくりと緩慢に動作を行うことにより、下半身強化の片足立ち状態を作り、手の動作で氣を生み出すのである。

つまり、気功法上の基本であるピラミッド型の氣道の状態を作り出す方法である。

手の感覚は開合功あるいは昇降練気と同様である。

開合功・昇降練気により氣感ができた方には、鳥の羽ばたきも含めて、鳥飛の効果は大変分かりやすいのである。

てなことでひとつ。

まあ、あなたったら、終わるとあっさりなんだから。

続く。

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