象気功


五禽戯



五禽戯・熊戯




五禽戯のうちの熊戯である。

熊の戯であるから、熊の真似をしてあれこれ内蔵を活性化しようてなことであるが、熊がホントにこんな動作をしているのかどーかというと、まあ、なんだ、鹿戯だって、鹿の角を手で真似てるだけなんであるから、まあ、硬いことは言わずに、だいたいでいいじゃありませんかつーことである。


本戯手形の「熊掌」の形を作ってみると、臍を中心とした周囲の臓器に影響があるのである。

熊戯の第一の動作の「熊運」では臍を中心に、胃・膵臓・脾臓・肝臓・胆嚢・十二指腸・小腸・大腸といった腹部の消化器系の臓器をマッサージするように熊掌を回すわけである。

これは熊掌を作った手で腹部を直にマッサージするということではなく、手は浮かせて行い、その動作により体幹を操作することにより、腹部の臓器を圧迫あるいは引き伸ばすことにより、消化器系の臓器の機能の活性化を促し、食べたものの消化を助け、また、血行を促すことにより臓器自体の健康状態の保持さらにはメンテナンスも促進するわけである。

さらには熊掌の形を作ることにより氣道を開き血行を促し、相乗効果を得るということである。


まあ、やってみればすぐわかるが、胃を中心として腹部全体の内臓がぐりぐりマッサージされるわけである。

しかし、手や指で押すわけではないので、無理な圧力が掛かって、内蔵に障害がおきたりということはないので、安全なマッサージであるということが言えるわけである。

それで、もちろん、手を臍下に回し、臍を見て背骨を湾曲させる時に吐いて、回して上を向く時に吸うわけである。

上に回すときに吸って、下に回すときに吐くでもいいのである。

まあ、動画では腰をくねくね回すのは間違いであるとご注意なされているのであるが、まあ、腹部の内蔵がぐりぐりされる感覚があればそれなりに効果があるので、とにもかくにもセンセーの動作を真似して、その効果を実感していただきたいわけである。


とくに、胃腸の調子が今一つで、消化不良を起こしやすいなんて人には効果的であるのは、気功のシロートでもご理解いただけることと思うのである。

まあ、人間はとにかく食物を食べて、それをうまく消化して、それにより、動くためのエネルギーを得たり、体を構成している物質を取り入れているわけである。

これがうまくいかないと体調不良になり、さらにはお病気になるわけである。

原生動物や後生動物までルーツを遡って、食物を取り入れて消化して出すだけの消化管としての存在であった人間の原点を考えた時に、消化器系は体の大本根本であると言えるわけである。

熊戯は体の大本根本である消化器系の活性化を促す動作であるわけである。

さて、続いて、第二動作の熊晃である。


日本読みでは「くまこう」と読むわけであるが、もちろん落語の熊公とは関係ないのである。

動画のちゅーごく語では、熊晃はチュンホワである。

ちなみに、熊戯はチュオンシでは
熊運はチュンユインであるが、あたしが聞いたものをカタカナにしているので、厳密にどーなのかはわからんのである。

どーしても正確なちゅーごく語の発音を知りたい、あるいはこの動画のちゅーごく語を理解して気功に一段と精進したい、あるいはちゅーごく本場に行ってちゅーごく人に気功を習いたいなんて皆さんは、各自でご近所のイーシーシーなどのちゅーごく語のお教室に行ってお勉強していただきたいのであるが、ううう、ものすごくどーでもいい方向に話が徘徊してるのである。

それで、晃という字は、日本では主に「明らか」あるいは「光」てな意味合いであるが、中国では、その他に「揺り動かす」「揺さぶる」てな意味合いがあるのである。

もちろん、熊晃の場合は後者である。


動画の演舞でもお分かりのように、熊晃では、足を踏み鳴らし、肩から熊手のひらをスイングして前に降り出すわけである。

まあ、この動作が熊に似ているのかどうかはともかくとして、この動作により内臓を揺り動かすわけである。

だから、この動作で内臓が揺り動かない場合は、間違いであるのである。

内臓が揺り動くように動作すると、熊晃の正しい効果が得られるわけである。

さらには、足を踵から地面にドスンと降ろすことにより、内臓に刺激を与えるのである。

これは直接的な刺激もさることながら、骨に機械的刺激を与えることにより、骨芽細胞の働きを促すことにより、内臓機能を活性化するという方法でもあるのである。


八段錦の八段目の踵を上げて地面にドスンと下ろす功法も同様の効果である。

踵に衝撃を与えると、脳は「骨が大変だ大変だ」ということで、骨芽細胞を活性化して骨密度を上げようとするわけである。

そうなると、カルシウムやたんぱく質やその他の栄養素を吸収したりしなければならないので、内臓は必然的に活性化するわけである。

骨に衝撃を与えることは内臓を含めた全身の細胞の活性化に非常に大きな影響を与えるのである。

人間の機能は使わなければどんどん機能低下し、委縮してしまうので、機械的刺激を与えることも、それを防ぐ方法のひとつである。

さらには運動という方向から考えても、腿を上げて下ろすわけであるから、これを繰り返せば、相当な運動効果も得られるわけである。


てなことで、熊戯は、胃を中心として、消化器系を活性化させる功法であるわけである。

人間はなんつっても、食ったものを消化してエネルギーにしたり、細胞の修復再生分裂を行うわけである。

さらには、分子段階で細胞が入れ替わるのであるから、消化器系が健康状態を握っているということも言えるのである。

まあ、特別な脳のおびょーきの場合を除いては、胃腸の弱い人は元気が無くて消極的であり、胃腸の強い人がパワフルで積極的であるのは、どう考えても当たり前である。

胃腸が弱くて、食うものも食えなくてへろへろでは、根性も気合もあったもんじゃないのである。

とにかく、食って消化して、元気に人生の花舞台で歌い踊り拍手喝采を浴びるための方法が熊戯である。


最近、メディアで、氣の関係のあれこれにマニアックに凝ってる俳優の某えのきさんが、水だけの30日間不食てなことで話題になってるが、よい子の皆さんはそんなバカな真似をしてはいけないのである。

30日間不食でも生きられる証明だなんてことを言い張ってるが、脂肪はそのために蓄えられているのであるから、断食前にどちらかと言えば食い過ぎで体重が80㎏以上あった脂肪たっぷりの某えのきさんは、そのたっぷりの脂肪を分解してエネルギーとしていたということである。

当たり前である。

いわば、でぶが断食して痩せただけである。

また、宿便が出たなんて言い張ってるが、医学的に内視鏡などで腸をのぞいてみると宿便なんてものは存在しないつーことである。


だいたいが、便の大半は食物ではなく、腸内細菌の用済みのものであるので、何も食わないのに宿便が出たなんてのは、腸内細菌のお亡くなりになったものがそれなりに出てきたものであるのは明らかである。

さらにえのきさんが言い張るように腸壁も出てきたなんてのは、べつに、不食でなくても、体表の垢同様に、腸壁もそれなりに新陳代謝があるわけであるから、常に排出されてるのは当たり前である。

医学もへったくれもなかった大昔の無知蒙昧のパ~が言い張ってるものをそのまんま信じ込むとバカ丸出しの方向に行くので、ものごとは冷静に当たり前に考えることが肝要である。

これが「こだわる」と「こだわらない」の違いである。

象気功は「こだわらない」を教義としているのである。


「こだわらない」はお釈迦さんのご臨終に際してお弟子さんたちに向けた最後のお言葉である。

さらにお釈迦さんは断食も含めて苦行は無意味であると喝破なされているのである。

つまり、お釈迦さんは、無意味な我慢大会はやめて、ふつーに生きなさいとおっしゃられているのである。

あたしは某宗寺院の護寺会檀家総代も務めた神も仏もない不心得者の敬虔な仏教徒である。

神も仏もないのであるから、仏教徒というよりも釈迦教徒であると言った方がいいかもしれないのであるが、まあ、最近では、その釈迦も居たのかどーなのかもわからん政治的なでっちあげの存在であるという研究報告もあるので、それさえもあやふやで、でっちあげの存在かも知れない釈迦教徒というのが正しいのである。


ううう、なんなんだいったい、どーすりゃいいんだ。

まあ、とにかく、世界中のご長寿者は例外なく「普通の生活」をしている「普通の人」である。

つまり、普通の生活をすることが健康を成就し長寿となるということである。

もちろん昨今の日本人は、日本の宗主国のおべーこくほどではないが、お病気の原因が「食い過ぎ」である場合が大半であるから、そこはそれ中庸を守ってバランスの取れた適度な食を心がけなければならないが、30日間不食なんてことは、栄養失調による脳の萎縮も含めて論外で、何事も極端に無理をすれば体に極端な無理がかかるのであるから、体にいいことは何もないのである。

当たり前である。

まあ、しかし、ほっとけば身体はどんどん衰えるので、「少し無理をする」というのが「こだわらない」「中庸」「てきとー」とともに象気功教義の重要タームである。

てなことで、熊戯やる前から、ああ腹へった。

メシだメシだ。

おもいっきり食うぞ-。

ううむ、今日も胃腸は絶好調だ。

続く。

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