象気功
象気功

本日の御神託


夏の終わり

まあ、8月も20日を過ぎると、さすがに残暑の雰囲気であるのである。

湿度が違うというのか、気圧が違うというのか、まあ、なんとなくさわやかな感じがするのである。


このころになると関東の海岸は電気くらげが出没して刺されるようになって、海水浴場の案内所はくらげに刺された人が薬を塗ってもらいに集まって、海水浴もおしまいとなるのであるが、あたしはこのくらげが出るころの人のいない海が好きで、夏の終わりになると毎年、伊豆の小土肥(おどい)という海水浴場に行くのが恒例であったのである。

もう、すでに海の家も取り壊されていて、なんとなく荒涼閑散としているのであるが、なんかこの雰囲気がたまらなくて、吸い寄せられるように数年間に渡って毎年行ってたのである。


それで、昼間は人の居ない海でへとへとになるまで泳いで、涼しくなった夕方に、小土肥の海岸の裏の漁師町の路地を散歩して、小さな商店なんかでジュース買って飲んで、さわやかさ満喫で、ああ、また来年もこようなんてことで、毎年行ってたのである。

まあ、しかし、最近は忙しくて、海水浴なんてこともすっかりご無沙汰であるが、お若いころはなんだかしらんが、夏になると、肌を焼かないと沽券に関わるみたいな思いがあって、とにかく真っ黒になるまで焼いて、9月になるとそれがべろんべろん剥けて、悲惨な状態になるのが自慢でもあったのであるが、これ、今考えると育ち盛りに必要なビタミンDに関することはともかくとして、皮膚には最悪な紫外線をこれでもかとジリジリと思い切り照射するわけであるから、現在のあたしの腕なんかの点々としたほくろみたいなシミはそのときのメラニン色素が固まったものであるのがよくわかるのである。


これ、顔の皮膚を老化させるのも、しわを深くするのも、もちろん紫外線であるので、このお若いころのバカ丸出しの日焼け合戦をしなければ、もう少し皮膚年齢を若く保つことができたはずであるのである。

まあ、あたしのお若いころは、なにしろ、日焼けは健康のもとであるということで、「日光浴」なんて言葉があるぐらいで、身体に大変よろしいとされていたので、もう、夏になったら、学校でもご推奨であるから、友達と競争で、皮膚には最悪な行為をいーろいろこれでもかとおやりになってたのである。


それが、十数年前から、紫外線は皮膚に大変よろしくないということが言われ始めて、現在では海水浴やスポーツや外出時は強力な日焼け止めクリームを塗るのが当たり前の状況で、秋になっても色白というのが主流で、真っ黒けのおにーさんおねーさんは意図があるもの以外はおられない状況であるのである。

なにしろ、以前は「日焼け止めクリーム」を塗るのではなく、「日焼けオイル」を塗る、だったのである。

「日焼けを止める」のではなく、「うまく日焼けをする」オイルだったのである。


まあ、主成分はオリーブオイルだったりしたのであるが、ムラができないように均等にこんがり焼けるように、オイルを塗ったのである。

それで、最近のあたしはというと、まあ、たとえばしゃちょーのお仕事の草刈りなんかをなさる時は、ヘルメットを兼ねた帽子をかぶって、長袖シャツで襟を立てて、もちろん長ズボンで、イボつき軍手をはめて、顔は網目の草刈り用のガードであるので、皮膚が露出しているのは耳ぐらいなものであるのである。

また、夏場の日中に外出して炎天下を歩くときは、自然に日陰を辿って日に当たらないようにして歩くのである。

すっかり「直射日光は敵だ」みたいな生活であるのであるが、時代によって、健康法は正否がまるっきり逆になることが多々あるのである。

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