金縛り4 まあ、日本人の場合それなりのお年の方の臨死体験は、だいたいがお釈迦さんや観音さんや死んだおじいさんなんかが出てきて三途の川のあちら側から手を振ってたりするのである。 日本人の場合は、どうあってもクライストさんやモーゼさんが三途の川のあちら側でヒップホップを踊ってたなんて話は聞かないのである。 この逆に、欧米人の場合はたいていクライストさんかおっかさんのマリアさんがお出ましになって、そこにいきなりお釈迦さんが出てきてどじょうすくいを踊りだしたなんて話は聞かないのである。 あくまでも、臨死体験といってもそれは臨死であるので、死んじまったというわけではなく、あくまでも死に臨んだ体験ということである。 だから、そのときには、理由は不明だそうであるが脳の側頭葉のあたりに電位が発生して、死後の世界に行くところを、まあ、いわば幻覚、幻想として見るというシステムになっているそうである。 まだ脳の機能が働いているので、たとえて言えば、夢を見るのと同様であるので、その人の経験の範囲内の臨死体験劇場の「出演者」であるのである。 つまり、総ては脳があなたの人生に潤いを与えるために、いろいろお楽しみを作り出しているということであるが、それを脳が勝手にやっているので、出てきたもんは出てきたもんであるので、出てきたとしか言いようもないわけである。 まあ、当然、霊、霊魂、悪霊、幽霊、お化け、妖精、小さなおじさん、壁から出る手足、足を引っ張る霊なんてのも、金縛りにあったという恐怖から、脳がいーろいろおやりになるおもしろおかしい幻想幻覚のお楽しみであるわけである。 さらに、それを金縛り無しにいろいろご覧になるくらい右脳がものすごく活性してちょーしが思わぬ方向に行って止まらない方もおられるのである。 金縛りはもちろん、脳が半覚醒していて、身体が非覚醒状態であるので、目が覚めていると思う状態であるのに、身体や手足が動かない、声が出ない、恐怖心から身体が締め付けられるなんてことになるわけであるが、要するに脳と身体の覚醒のアンバランスであるわけである。 まあ、それで、冒頭で金縛りや霊に悩むのは必ずしも右脳系であるということではないということを言ったわけであるが、これは、左脳をあまりお使いにならないというのか、左脳が未発育というのか、つまり、お勉強なんかを熱心になさならなかったために、左脳の活性度が上がらず、言語機能がさっぱりで、その結果としておつむのちょーしが悪くて、そのバランスが右脳に傾いているという場合もあるのである。 その場合はかなりやっかいである。 世の中の仕組み、システム、構造、からくりがわからないので、悪霊だの、憑依だの、祟りだの、なんてのを闇雲に信じ込んで怖がるので、これ、霊能ご商売の皆さんのいいお客さんになってしまうのである。 霊の存在自体が恐怖心に発するのであるから、これ、無知からくる恐怖心を払拭するのは容易ではないのである。 これが、カルトなんかにはまると、本人も犯罪者になってお逮捕なんてことになってしまって、お別荘でお暮らしになられても、その恐怖心、依存から抜けられず全然それに気づかないなんてことも多々あるのである。 まあ、しかし、そんなこんなの皆さんでこの世現世が地獄極楽に彩られて極彩色の幻覚幻想を右脳が描いて辺縁系が具現化するわけである。 みんなが同じだったら、この世はなーんにも面白くないのである。 つーことで、残暑厳しい秋の夜もどんどん金縛りにあって、悪霊、幽霊、お化け、妖怪を呼んで、せっかく生まれたこの世現世をとことん楽しもうではありませんか。 完 |