広葉樹(白)    
【第12版 2016年7月1日】

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医学看護学用語が分かりやすく説明してあります。
国立がんセンター提供のがんに関する用語集。


 このファイルでは、がんや医学一般に関連する用語の意味を簡単に解説しています。
 臓器別の癌については、【情報クリップ】のおすすめホームページ「国立がんセンターへようこそ」にアクセスして下さい。詳細な説明が載っています。
参考図書:@新臨床内科学 医学書院 1997年 A最新がん事典 小学館 1998年 B最新医学大辞典 医歯薬出版 1988年 C最新がん全書 世界文化社 1991年 DPromedica 南山堂 1998年 Eその他


索引(用語の頭文字をクリックして下さい)

用  語 解   説
ア行
アイソトープ検査=核医学検査 アイソトープ(放射性医薬品)の体内における動きを画像として描出したり、アイソトープを投与したあとの血液や尿を採取して、その中に含まれている放射能量を測定することで病態を判断します。
アフラトキシン コウジカビ属のAspergillus flavuskの発癌性代謝産物。現在知られている最強の発癌物質。
アルファフェトプロテイン(AFP) 腫瘍マーカーの一つのアルファフェトプロテインの略。肝臓癌の時に値が上昇する。
アンギオスタチン 血管新生を抑制する物質。ヒト乳癌やLewis肺癌を移植したマウスにアンギオスタチンを投与した実験では、コントロール群に比較して著明な腫瘍増殖阻害効果が得られた。アンギオスタチンの機序は解明されていないが、血管新生の過程の一部である内皮細胞増殖を阻害することが分かっている。
アンドロゲン 男性ホルモンを総称してアンドロゲンという.このうちテストステロンが重要である.テストステロンは精巣のLeydig(ライジッヒ)細胞でコレステロールから合成される。テストステロンは男性の二次性徴を発現させる。
悪液質 悪液質は、生体にとって不可欠の物質が癌細胞によって消費されるために、あるいは癌細胞から特殊な毒性物質が生成されることにより、全身的に代謝調節異常が起こるために生じる病態。
悪性 一般的にその病変が限局性でなく、全身性に影響を及ぼし、生体を死に至らしめるものを悪性という。
悪性褐色細胞腫 副腎髄質にできる癌で、カテコールアミンを過剰に分泌させ、高血圧症などを引き起こす。
悪性黒色腫 皮膚のほくろをあるいはメラノサイト(色素細胞)が悪性化したものが悪性黒色腫である。悪性度の最も高い癌の一種である。
悪性骨腫瘍 骨から発生する悪性腫瘍をいう。癌腫と肉腫とがある。他の部位の癌の転移によるものは、転移性骨腫瘍という。骨への転移は、乳癌や前立腺癌が多い。
悪性サイクル 陥凹性早期胃癌の経過が、胃潰瘍に類似した潰瘍の消長を繰り返すことをいう。早期胃癌病巣中の深い潰瘍も、一時的には潰瘍面が補修され良性潰瘍とよく似た経過をとるので臨床上注意を要する。
悪性腫瘍 悪性新生物ともいう。生体自身の組織に由来し、進行性で非可逆的増殖を示す細胞群よりなり、その増殖は生体の生理的支配を受けず、発生原因を除去しても増殖をやめず、自律的増殖を行う。増殖の結果、宿主を障害消耗させ死に至らしめる。
悪性度 一つの腫瘍における良性・悪性の判断の基準を示すものであるが、このことは生じた腫瘍組織と患者(宿主)との相対関係によって決まるものである。臨床的には一般に、その腫瘍が周囲組織への浸潤増殖および転移などにより、その宿主をいかに早く死に至らしめるかを示すものであり、病理形態学的には腫瘍組織の分化の程度をいう。発生母組織の正常形態像からかけ離れたものほど悪性度が高いという。
悪性軟部腫瘍 人体の軟部組織から発生した悪性腫瘍をいう。軟部組織には、線維組織、脂肪組織、筋肉組織、血管神経などがある。
悪性リンパ腫 リンパ節や脾臓などのリンパ組織から発生する悪性腫瘍をいう。腫瘍の組織型により、ホジキン病と非ホジキンリンパ腫に分けられる。
イ行
ES細胞(イーエスサイボウ) 胚幹細胞embryonic stem cellとも呼び、胚盤胞の内部細胞塊より樹立された未分化な株化細胞である。胚盤胞表面の栄養外胚葉細胞を免疫外科的に融解すると、内部細胞塊だけが分離される。これを未分化な状態で継代し、樹立された細胞株がES細胞である。理論的にはすべての哺乳動物から樹立可能であるがマウス以外では成功していない。ES細胞を初期胚に注入しキメラマウスを作製すると、生殖細胞を含むすべての細胞に分化する。これを全能性あるいは多分化能と呼ぶ。この全能性を保持した状態でin vitroで培養できることがES細胞の最大の特徴である。
イレウス 腸が閉塞するために、腸内容物が流れなくなる病態をいう。
インサイチュー ラテン語で、本来の場所にという意味。癌細胞が発生した部位だけに留まっている場合に使われる。
インターフェロン ウイルス感染細胞で産生されるウイルス増殖抑制物質。抗ウイルス作用以外に、抗癌剤としても用いられる。
インターフェロン療法 免疫系の働きを助けるためにインターフェロンを毎日筋肉あるいは皮下に注射して行う治療法で、慢性骨髄性白血病や腎臓癌などに使われる。
インビトロ in vitro 生体外で、試験管内で、という意味。生物個体の中で営まれている機能や反応を、個体外に取り出して行わせること。⇔インビボin vivo
インビボ in vivo 生体内で、という意味。生物個体の中で生体物質が機能している状態をいう。⇔インビトロin vitro
インフォームド・コンセント 医師の説明に対して患者が納得の上で同意し治療を受けること。
胃亜全摘術 主として胃癌に対して行われる手術方法である。一般に、胃の幽門側が5分4以上切除される場合をいう。
異化 体内に取り込んだ物質から身体を動かすためのエネルギーを取り出すこと。
胃空腸吻合術 膵臓癌の浸潤によって十二指腸が閉塞し根治的手術が望めないときに、癌部と閉塞した十二指腸は放置したまま、内容物が通過できるようにするために、胃と空腸を吻合(つなぐ)する手術。
異形上皮 良性腫瘍と悪性腫瘍の中間の性質を持つ上皮組織で、癌と断定できないいわゆる前癌状態と考えられるものをいう。
異型性 正常な組織、細胞と形態学的に異なることをいい、その程度は一般に腫瘍の悪性度と平行する。
異形成 成人における上皮や間葉系細胞の形や大きさ、構築の変化をさし、しばしば慢性炎症や刺激に対して不規則な、あるいは異型性を伴った増殖を示す。
胃チューブ(経鼻カテーテル) 消化管が麻痺しているため、胃にたまった内容物や吻合部の滲出液を排泄させ、嘔吐を防止するために鼻から挿入されるチューブをいう。また嚥下困難のために経口的に食事のとれないとき、このチューブを介して栄養を補給する場合にも使われる。
遺伝子 遺伝情報をになっている一つ一つの単位で、DNA上の塩基配列の順序として蓄えられ、それがmRNA合成を経て特定のタンパク質を合成することにより発現される。細胞が次の細胞に生命を伝えていくために染色体の中に設計図や手順表として書き込んである。
遺伝子治療 疾病の治療を目的として、遺伝子または遺伝子を導入した細胞を、人の体内に投与すること。厚生省のガイドラインでは、遺伝子治療の適応疾患は、致死性の遺伝性疾患、癌、エイズなど生命を脅かす疾患に限定すること、動物実験による安全性、有効性の確認の必要性、患者へのインフォームドコンセントの必要性、子孫にまで影響を残す可能性のある生殖細胞への遺伝子治療の禁止、治療を目的としない遺伝子操作の禁止とされている。その技術は、患者より採取した細胞を培養し、ウィルスベクターを用いた目的の遺伝子を導入した後、再び患者体内に戻す方法。目的の遺伝子を組み込んだベクターを直接、患者体内に投与(経気道、静注、筋注など)する方法。
遺伝子診断 異常の見られる組織を採取して分析し、癌遺伝子や癌抑制遺伝子の異常の発見、癌ウイルスの検出、血液腫瘍の原因となった細胞の決定などを行うのが遺伝子診断。
遺伝的素因 遺伝子によって親からうけつがれた体質に現れる疾病準備状態をいう。多くは遺伝的素因に後天的要因が加わって発症を見る。
結紮や縫合の時に使う。組織に吸収される吸収糸とされない非吸収糸に大きく分けられる。よく使われる絹糸やナイロン糸は非吸収糸である。デキソン糸、メディフィット糸などは吸収糸である。
胃透視検査 バリウムを飲んでからX戦を照射して撮影し、胃全体の形態や粘膜の異常、病変の広がりの程度を調べる検査法。⇔胃二重造影
胃内視鏡検査 内視鏡を使って、胃の内腔の病変を調べる検査法。
胃二重造影 バリウムと空気を用いて、胃の内腔を適度に伸展させ、粘膜面の病変を診断すると同時に、胃壁の変化も観察するX線検査法。⇔胃透視検査
胃瘻 胃や食道の癌で切除不能な場合に、栄養剤を胃に直接入れられるようにするため、腹壁を開けてチューブを通した胃の穴。
胃瘻造設術 胃や食道の癌で切除不能な場合に、栄養剤を胃に直接入れられるように胃に穴を開け、チューブを通す方法いう。
印環細胞癌 低分化腺癌のうちの粘液産生型であって、腺腔形成能は乏しいが、この癌細胞はその細胞質内に粘液を産生・充満し、その結果、核を一側に押しやるために印環細胞型を呈する。胃や大腸に多い。
ウ行
ウイルス ウイルスは現在、生物界では最小の生物であり、外殻にはタンパク質を、内側には遺伝子であるDNAまたはRNAを含んでいる。ウイルスは生きたほかの細胞内でのみ増殖できる。
ウィルヒョウのリンパ節 胃癌のリンパ節転移の好発部位の一つで、左の鎖骨の上あたりにあるリンパ節をいう。
ウイルムス腫瘍 小児の腎臓に発生する癌。
うつ病 抑うつ気分、悲哀感などの感情障害、思考制止などの思考障害、意欲低下、睡眠障害、抑うつ状態の日内変動などを主症状とする情動性精神障害をいう。
エ行
MRI(磁気共鳴画像) 人体に強い磁力を瞬間的にかけることによって、分子構造の情報を集め、コンピューターでCTのような画像を作り出す検査法。どのような場所、角度でも画像が得られるのが特徴である。
MSコンチン モルヒネの徐放剤。モルヒネが消化管の水分を吸収して溶ける際、徐々に流れ出すようになっているので、十二時間血中濃度が一定に維持され、安定した効果が得られる。
NK細胞 (ナチュラルキラー細胞)リンパ球の中の一つで、インターフェロンによって活性化し、癌細胞の増殖や転移を抑制する働きを持つ。
S状結腸内視鏡 大腸内視鏡検査の一種で、S状結腸のみを検査する方法。S状結腸は大腸癌の好発部位であり、検査も容易なために、大腸癌検診に用いられる。
X線間接撮影 集団検診を目的として開発された、多人数を経済的に撮影する方法で、原理は、体を透過したX線像を蛍光板上に写し、これを普通のカメラで縮小し、撮影する方法。直接撮影に比較して、画質がやや劣るのが欠点である。
X線単純撮影 正常組織と病的組織あるいは異物との間に生じる、X線吸収率の差を、X線フィルム上に画像として撮影する方法。
エイズAIDS acquired immune deficiency syndrome 後天性免疫不全症候群の略。 HIV感染によってヘルパーT細胞が傷害、減少し、免疫不全状態に陥る病気。
エストロゲン 女性ホルモンの一つ、卵胞ホルモンの総称で、エストロン、エストラジオール、エストリオールの三分画からなる。
エストロゲン・レセプター エストロゲンに反応する受容体をいう。子宮体癌の増殖には女性ホルモンであるエストロゲンが関係しているといわれ、エストロゲンによって増殖する子宮体癌かどうかは、手術で切除した組織を検査してこの受容体を調べるとわかる。
エタノール エチルアルコールのこと。消毒薬(70%)、溶剤、アルコール飲料として用いる。最近では、無水エタノールを局注することによって、病変部を凝固させる治療法がよく行われる。
衛星病巣 最初にできた病巣の周囲に転移した癌病巣。
疫学 人間集団を対象として、人間の健康およびその異常の原因を、宿主、病因、環境の各面から包括的に考究し、健康の増進と疾病の予防をはかる学問。
壊死 生体における一部の細胞または組織の死を壊死といい、全身の死と区別する。
遠隔転移 癌細胞が、血液やリンパ液の流れに乗って、原発巣から離れた遠くの臓器に転移すること。
塩基 一般に化学の分野では、陽子受容体あるいは電子供与体として定義される。核酸化学の分野では、DNAやRNAを構成する窒素を含む複素環式化合物をいい、プリンとピリミジンがある。
塩基配列 DNAは、四種類の塩基配列の仕方によって遺伝情報の暗号が保存されている。
嚥下 口腔内に入った食物や水分を飲み込むこと。
塩酸モルヒネ水溶液 塩酸モルヒネ原末を水にとかして調整したもの。用量が調節しやすいのが利点である。
炎症性乳癌 非常にまれな乳癌の中で最も悪性度の高いもの。皮膚が赤くなったり、熱感を帯びたり、ポツポツと毛穴のところが陥没してミカンの皮のようになったりする。
炎症性ポリープ ⇔ポリープ
円柱上皮 上皮組織の一種で、その形状により色々と分けられている。すなわち、扁平上皮、立方上皮、円柱上皮などである。
オ行
オピオイドペプチド オピオイド受容体と特異的に結合し、モルヒネ様作用を発現する一群のペプチドの総称。
黄体 排卵後の卵胞壁および卵胞腔内に増生した黄体細胞によって、肉眼的にも黄色に見える組織をいう。
黄体ホルモン 排卵後の卵巣の黄体、胎盤などから分泌されるホルモン。プロゲステロンなどの天然のものだけでなく、いくつかの合成ホルモンがある。⇒プロゲステロン
横紋筋肉腫 筋肉には、平滑筋と横紋筋があり、そのうち横紋筋にできる悪性腫瘍を横紋筋肉肉腫という。
温熱療法 癌組織は熱に弱い性質があり、同じように過熱しても、癌組織は正常組織より温度が上がりやすく、冷めにくい性質を持っている。この癌細胞と正常細胞の性質の違いを利用した治療法を温熱療法という。
カ行
カテコールアミン 主に脳、副腎髄質および交換神経などに分布し、神経伝達物質として、また副腎髄質ホルモンとして重要な役割を果たす物質。生体内に存在するのは、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンの3種がある。
カテーテル 柔軟性のある内腔をもち、体腔より体液や血液の排出を行ったり、体腔へ治療薬を注入するためのもの。導尿のための膀胱カテーテル、腹腔、胸腔穿刺用カテーテル、心臓血管疾患の診断治療を行う血管カテーテル、輸液用の中心静脈カテーテルなどがある。
カルチノイド(癌様腫) カルチノイドは癌腫と比較して組織学的に細胞異型度が低く、特徴的な組織構築を呈し、緩徐に発育する腫瘍である。したがって良性腫瘍と悪性腫瘍の中間に位置する病変である。時には癌と同程度の悪性のものもある。カルチノイドは、内分泌細胞で構成され、種種の活性物質を産出し、時には機能性腫瘍としての諸症状が発現することもある。カルチノイドは、原腸由来の臓器(消化管、肝臓、胆嚢、膵臓、肺、胸腺など)に好発するが、消化管に最も好発する。日本人では直腸に最も多く発生し、ついで胃、十二指腸であるが、欧米人では虫垂、小腸に多い。
カロチノイド 天然の色素物質で、脂溶性の炭化水素系色素の総称。カロチン、キサントフィルなどがある。
カロチン カロチノイドの一つ。ニンジンの根、緑葉などに、α、β、γの3異性体が存在する。βカロチンが最も多い。動物体内でビタミンAに変わる。
回腸導管造設術 回腸を切り離して尿管に吻合し、腹壁に尿道口を作る方法。
潰瘍 表皮や真皮にまで達する組織の欠損を潰瘍という。
化学療法 抗生物質や抗癌剤を使って疾病を治療する方法をいう。癌治療の場合の化学療法とは、抗癌剤を使用して癌細胞の増殖、浸潤、転移を阻止しようとする治療法。
化学療法の効果判定基準 完全寛解CR:すべてので病変の消失が四週間以上続くもの。部分寛解PR:病変の総和の五十%以上の縮小が、四週間以上続くもの。不変NC病変の総和の五十%未満の縮小または二十五%未満の増大が四週間以上続くもの。増悪PD:最も縮小した時点から二十五%以上の増大、または新病巣の出現。
核医学検査=アイソトープ検査 アイソトープ(放射性医薬品)の体内における動きを、画像として描出したり(シンチグラム)、アイソトープを投与した後、血液や尿を採取して、その中に含まれている放射能量を測定することで、病態を判断する検査法。
喀痰細胞診 胸部の悪性腫瘍の確定診断を行うためになされる、喀痰を用いての細胞診断をいう。
過形成 組織の、単位容積あたりの細胞数の絶対的な増加をいう。通常、臓器に対する機能的要求が高まったときに、組織の構成要素である細胞の分裂増殖によって臓器や組織の全体としての大きさを増大させるという一種の機能適応の表れである。
家族性集積 ある形質が、特定の家族内または家系内に高い頻度で認められること。
家族性大腸腺腫症 家族性に発生する、大腸内に無数ともいえる腺腫ができる病気。放置すると癌化することがあり、予防的に大腸切除を行うことがある。。
外部照射法 放射線の照射方法の一つで、体の外に置かれたを線源から、皮膚を通して目的とする部位に放射線を照射する方法。
外部要因 喫煙や食物、飲酒、生活用品に含まれる発癌物質をはじめ、放射線や紫外線による刺激など、身体の外部にある物質や刺激などの癌の危険因子。
外分泌 腺細胞が、分泌物を直接または導管などを通じて、体表面あるいは管腔内に出す形式をいう。⇔内分泌
拡大手術 癌の手術法のひとつで癌を含めて広範囲に切除する手術法をいう。手術には、この他に、癌の原発巣と所属リンパ節を切除する標準手術、癌のみを切除する縮小手術、治癒を目的としない、単に症状を軽減するための姑息的手術がある。
拡大乳房切除術 定型的乳房切除術をさらに拡大した手術で、肋骨の一部を切り取り、肋骨の裏にあるリンパ節まで切除するもの。
過形成ポリープ 非腫瘍性の最も普通のポリープで、すべての年代の男女に見られるものであるが、加齢とともに増加し、一種の生理的現象とも考えられている。本症はほとんど無症状のことがあり、悪性化を示すことはきわめてまれである。
家族歴 家族内発生の有無、遺伝性、伝染性、地域集積性、環境性などを知るために、家族や近親者の関連疾患の有無を聞き出す問診の一つ。既往歴、現病歴とともに、家族歴が問診中に占める役割は重要である。遺伝性疾患や伝染病、体質性疾患などを誘導できる場合が多い。
活性酸素 普通の酸素と違って、反応性に富むかたちの酸素で、一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキサイドアニオンなどがある。活性酸素の量が異常に増加すると、細胞内の遺伝子が傷害され、癌が発生すると考えられている。
合併症 疾患の経過中に、その疾患そのものに起因するか、これと異なる原因によるか、その疾患とは無関係に発症した、二つまたはそれ以上の共存の疾患をいう。
仮面うつ病 内因性うつ病の中で、身体症状が前面に立ち、抑うつや制止などの精神症状は乏しいか、あるいは存在しないものを、身体疾患の仮面をかぶっているという意味で、仮面うつ病と呼ぶ。
寛解 永続的にしろ、一時的にしろ、自他覚症状が軽快した状態をいう。
観血的 手術的あるいは外科的と同義で用いられる。すなわち、観血的治療とは手術的治療のことをいい、生体に出血をともなう侵襲を加えることによって行う治療法をいう。これに対して、手術的でない治療のことを非観血的治療または保存的治療という。⇒ 非観血的療法
看護 日常生活の世話と診療の介助などにかかわる身体的・精神的・社会的なケアをいう。
幹細胞(カンサイボウ) 未分化な造血前駆細胞。成人における造血の場は骨髄であるが、骨髄で光学顕微鏡下に識別し得るもっとも幼若な細胞は、赤血球系では前赤芽球、顆粒球系では骨髄芽球、血小板系では巨核芽球である。これより未分化な細胞を幹細胞という。幹細胞は自己複製能と分化能を有する。
鉗子(カンシ) 柄についたストッパー(止め金具)を使って組織を固定把持する器械。先端に鉤のあるコッフェル鉗子と鉤のないペアン鉗子とがある。また、先端がまっすぐなものと曲がったものがある(直のコッフェル、曲がりペアンなどと呼ぶ)。目的によって、大小、長短のサイズがある。小さい鉗子をモスキート鉗子と呼ぶ。
間質 実質のすき間を埋める結合組織。中に血管や神経を含んでいる。⇔ 実質
癌遺伝子 癌化を促進させる遺伝子で、50〜100個あると予想されている。遺伝子増幅、染色体転座、点突然変異などの機構により活性化される。
癌化遺伝子 癌遺伝子と癌抑制遺伝子のことをいう。癌は、癌遺伝子と癌抑制遺伝子に異常が生じることによって発症する。⇒癌遺伝子、癌抑制遺伝子
癌ウイルス 細胞のDNAの中に入り込み、細胞内の遺伝子の働きを狂わせることにより、発癌作用を有するウイルス。
癌検診 癌を早期に発見し、治療して、癌の影響を最小限に食い止めるようにするもの。癌の検診では一般的に、血液検査(腫瘍マーカーなど)と、X線検査を行い、異常の有無を診断する。
癌性胸膜炎 肺癌が大きくなり、肺を取り囲む胸膜に浸潤すると、胸膜が炎症を起こし、胸腔内に胸水が貯留する。
癌性ニッシェ 胃透視検査などのバリウム造影検査で、壊死によってできた癌の欠損部に、バリウムがたまった像をいう。
癌性ニューロパチー 転移、浸潤、圧迫によらない悪性腫瘍の神経系障害を、広く癌性ニューロパチーというが、この中で末梢神経障害が主徴をなす例をいう。
癌性腹膜炎 腹腔内臓器の癌が大きくなり、漿膜を穿破すると、腹膜が炎症を起こし、腹腔内に腹水が貯留するようになる。
癌性ミオパチー 癌患者において、癌の転移巣を認めないにもかかわらず、筋障害を呈する病態の総称。病因は不明であるが、栄養障害、毒性因子、免疫異常などを介する悪性腫瘍の遠隔効果によるものと考えられている。
癌性リンパ管症 癌は、一般的にリンパ管内へ浸潤することが多いが、侵入した癌細胞が、リンパ管内で広範囲に増殖を示し、リンパ網が浮き上がって認められることがある。肺癌において特徴的に認められる。
癌肉腫 同一の腫瘍内に、癌腫性の部位肉腫性の部位が、同時に混在して認められるものをいう。
癌免疫 癌に関する免疫をいい、癌細胞が正常細胞にはない抗原(腫瘍特異抗原)を持つか否かを免疫学的手段で追求し、かつ腫瘍特異抗原があれば、それに対し宿主がどのように対応するかを検討し、ヒト癌の診断、治療、予防にこの原理を応用する。
癌抑制遺伝子 失活すると細胞の癌化を引き起こすように働く遺伝子で、通常は正常細胞の細胞周期、分化、アポトーシスなどの制御に重要な働きをしている。
*これまでに発見された癌抑制遺伝子
RB:網膜芽細胞腫 TP53:Li−Fraumeni症候群 APC:家族性大腸腺腫症 MLH1、MSH2、PMS :遺伝性非ポリポーシス大腸癌 NF:神経繊維腫症 WT1:Wilms腫瘍 VHL:von Hippel-Lindau症候群 BRCA:遺伝性乳癌、卵巣癌 MEN1:多発性内分泌腺腫症T型 INK4:家族性黒色腫 PTC:Gorlin症候群 TSC:結節性硬化症 PTEN:Cowden病 EXT:多発性外骨腫症
キ行
QOL(キューオーエル) Quality Of Lifeの略。日本語では、生命の質、生活の質と訳されている。患者の生命、生活の量的側面(延命)より、質的側面(生き甲斐など)を重視しようという考えから、QOLが注目されるようになった。
キーパーソン 医師から家族に癌が知らされる時は、普通は家族の中で中心的な役割を担っている人に告げられることになります。このような立場の人をキーパーソンといいます。
キャリア ウイルスや細菌などを体内に保有しているだけで、その感染症を発症していない者をいう。
キラー細胞 リンパ球の一種で、目標とする異物をBリンパ球が作り出す抗体といっしょになって破壊するもの。
既往歴 病歴の中で、過去に罹患した疾病をはじめ健康状態に関する記録。出産時の状況、発育の経過、月経、妊娠、薬の服用、輸血の有無、罹患疾患などが含まれる。
機械的 機能的に対する言葉として使われる。器質的ともいわれ、物理的なことがらをいう。例えば機械的イレウスというと、癒着や癌などの器質的な病変によって起こるイレウスをいう。これに対して機能的イレウスとは、器質的な病変がなく、腸の機能が低下したために起きるイレウスをいう。⇒機能的
機械的イレウス 癌や癒着などの器質的病変により腸管が閉塞ないし狭窄をきたした病態をいう。
気管カニューレ 気管切開術施行時に、気道の役割をすると同時に、血液が気管内に侵入するのを防ぎ、気管腔内の分泌物を容易に排出させるため、切開した気管内に挿入する管。
気管支造影 気管支腔に造影剤を注入し、気管支の病変あるいは肺病変と気管支との関係を見る検査法。
気管切開 頚部気管軟骨を切開し気道を確保すること。気管切開の適応として、上気道閉塞、気道内分泌物の長期管理、長期にわたる気道確保、呼吸管理を必要とする場合などがあげられる。
気管内挿管 患者の気道確保のための管を気管内に挿入すること。気管内挿管には、経口、経鼻およ気管切開による三つの経路が考えられるが、一般に経口的気管内挿管が手軽で非観血的な方法として用いられることが多い。
気管内チューブ 気道確保を目的に気管内に挿管するチューブのこと。
気胸 臓側および壁側胸膜によりできる胸膜腔に、気体が貯留した状態をいう。
危険因子(リスクファクター) ある疾患の発生の原因となる因子、あるいは先行指標としてある疾患の発症予測に役立つ因子をいう。
拮抗 二種の薬物を同時に投与することにより、それぞれ単独の薬物のもつ作用が打ち消されることをいう。
基底細胞癌 皮膚癌の一種で、表皮の基底層の細胞が、悪性化したものが基底細胞癌である。
気道 鼻腔に始まり、咽頭、喉頭から気管、気管支、気管支枝と次第に分岐を重ねて、肺胞に至る呼吸器の通路をいう。
機能的 機械的に対する言葉として使われる。物理的な変化がなくて、機能のみの異常のあらわれる場合に使われる。 例えば機械的イレウスというと、癒着や癌などの器質的な病変によって起こるイレウスをいう。これに対して機能的イレウスとは、器質的な病変がなく、腸の機能が低下したために起きるイレウスをいう。⇒機械的
機能的イレウス 神経失調性腸閉塞ともいわれ、腸管の蠕動運動障害により、腸内容の通過障害をきたす病態をいう。
機能性腫瘍=ホルモン産生腫瘍 良性、悪性を問わず、生理活性のあるホルモンを分泌する腫瘍をいう。
偽ポリポージス 消化管の炎症性ポリープは、上皮の増生による真性のポリープではなく、残存した粘膜が有茎性に突出したものであることが多い。これを偽ポリープという。潰瘍性大腸炎やクローン病ではこれがしばしば多発性、密集性に出現し、偽ポリポージスと呼ばれる。
吸引生検 標的部分に、針を挿入し、強力に吸引することによって、細胞もしくは組織を採取して行う生検をいう。
急性腹症 急性に発症する腹部の疾患を総称した名称。
胸腔穿刺 気胸、血胸、胸水貯留、膿胸などに対し、胸腔内容の排除または性状の確認のため、胸腔内に注射針を刺入し、内容を吸引すること。
胸腔ドレーン 胸腔内の胸水、出血、空気などを抜くために挿入するチューブ。
胸水 肺を包む胸膜と、肋骨の内側にある胸膜の間にある水分を胸水という。胸水は、腫瘍の胸膜への浸潤あるいはその周囲の炎症などによって貯留する。
胸部X線撮影(間接撮影) ⇒X線間接撮影
胸膜 肋膜ともいい、肺の表面や胸腔の表面を覆う漿膜。
胸膜癒着術 胸腔に人為的に炎症を起こさせて癒着させ、物理的に胸水がたまる空間をなくしてしまう手術をいう。癌性胸膜炎で胸水が貯留する場合などに行われる。
局所加温法 温熱療法の一つで、電磁波や温水、レーザーなどを使って癌組織のある部分だけを加温する方法。
ク行
グリオーマ 原発性の脳の悪性腫瘍。脳の悪性腫瘍の大多数を占める。
腔内照射法 チューブでできた支持器に密封したラジウム、コバルトなどの小線源を入れ、それを、子宮、膣、食道、胆道などの体空内に置いて、放射線を照射する方法。
ケ行
ケースワーカー 経済的な問題や、自宅で療養するときに必要な物品の手配の仕方、ヘルパーの人に依頼する方法など福祉に関連する事柄全般について人々の相談にのる役割を持つ人。
経(けい) この文字の後に来るものを経路とする時に、こう表現する。例えば、経カテーテルは、「カテーテルを通して」という意味。経皮経肝は、「皮膚から肝臓を通して」という意味。
経カテーテル的肝動脈塞栓術 肝動脈を閉塞させることにより血流を遮断し、肝臓の癌細胞を死滅させるため、X線透視下で、カテーテルを上腕あるいは大腿の動脈から大動脈を経て肝動脈内に入れ、ゼラチンの小片を肝動脈に注入して肝動脈を閉塞させる方法。
経気管支鏡的肺生検 肺癌の検査の一種で、気管支の走行に沿って内視鏡を挿入し、肉眼的に肺門部の気管支の奥まで観察し、患部の組織を採取して病理組織学的検査をすること。
経口 口を通して、ものを入れることをいう。経口投与とか、経口摂取などと使われる。
経口投与 薬物や栄養剤を口から投与すること。
形質 生物個体の観察できるあらゆる特性。遺伝性を持つ形質を遺伝形質という。
経静脈栄養法 四肢の静脈に針を刺し、そこから点滴などで栄養を補給する方法。カテーテルを心臓の近くの大静脈に挿入し、そこから高濃度の栄養を補給する方法を中心静脈栄養法IVHという。
経腸栄養法 皮膚から小腸に向けて穴を開け、小腸にカテーテルを挿入して、栄養剤を補給する方法。
経直腸的針生検 前立腺癌の検査の一種で、直腸または会陰を介して、前立腺組織を採取する方法。
経尿道的生検 膀胱癌の検査の一種。尿道から内視鏡を挿入し膀胱壁の組織を切除し、採取した組織の病理組織学的検査をすること。
経皮経肝胆道造影 肝臓に近い脇腹から穿刺針を刺し、そこから肝臓内の胆管に直接細いカテーテルを挿入し、造影剤を注入して胆管も造影する方法。
経皮経肝胆道ドレナージ法(PTCD) 肝臓に近い脇腹から穿刺針を刺し、そこから肝臓内の胆管に直接細いカテーテルを挿入し、胆道内の胆汁を体外に排出させる方法。
経皮的エタノール注入療法(PElT) 超音波による画像を見ながら、腫瘍に穿刺針を刺して、腫瘍内に100%エタノール液を注入し、エタノールの持つタンパク質凝固作用で癌細胞を死滅させる治療法。
経皮的マイクロ波凝固治療 患者に局所麻酔をかけた後、患部に刺した誘導針を通してマイクロ波を照射し、癌細胞を死滅させる治療法。
経鼻 鼻を通して、ものを入れることをいう。経鼻挿管、経鼻胃管などと使われる。
経鼻胃管 鼻から胃に入れるチューブのこと。
経鼻挿管 鼻を通して、気管内に気管チューブを挿入することをいう。
下血 胃腸などの消化管から出血した血液が、便として肛門から排出されること。上部消化管よりの出血は、腸内で変化を受けるため、便は黒色で光沢を示し、タール様を呈し、これをタール便という。下部消化管になるほど、本来の血液様になってくる。⇒タール便
血管確保 薬剤をいつでも注射できるようにするために、静脈ルートを確保することをいう。上下肢の末梢静脈、鎖骨下静脈、大腿静脈がよく使われる。皮膚切開をして静脈を露出して、ダイレクトに血管チューブを入れる場合をカットダウンという。ショック時の場合は、末梢静脈は虚脱するし、大腿静脈は大腿動脈が触れないとオリエンテイションがつきにくいので、鎖骨下静脈が適当と思われる。
血管造影 大腿動脈などから細いカテーテルを挿入し、カテーテルを通して造影剤を注入しながら、X線写真を撮って病変を診断する検査法。
血胸 臓側および壁側胸膜によりできる胸膜腔に、血液が貯留した状態をいう。
結紮(ケッサツ) 止血や縫合のために、糸で組織をしばることをいう。
血痰 血が混じった痰のこと。咳などの刺激で腫瘍が崩れ出血すると血痰が出る。
結腸鏡検査 大腸内視鏡検査ともいわれ、内視鏡によって、大腸の内腔を調べる検査。
血沈 赤血球沈降速度の略。血液に抗凝固剤を加えてガラス管に入れ、垂直に立てておくと赤血球は沈降する。疾患があると、血沈は、亢進したり低下したりするので、診断に役立つ。
血尿 血が混じった尿のこと。
検診 疾病を早期に発見し、治療して、疾病の影響を最小限にくい止めようとする方法。
原発性肝癌 肝臓癌の中には、原発性肝癌と、転移性肝癌の二種類がある。原発性肝癌は、肝臓に初発病巣があるものをいい、他の臓器で発生した癌細胞が肝臓に転移してできるものを、転移性肝臓癌という。
原発巣 最初にできた病変部。
減黄術 胆道癌の根治的な治療ができない場合、胆汁が流れるようにするための方法。皮膚から細いチューブを肝臓に入れ、胆汁を体外に流出させる方法と、最近はチューブあるいはステントを、胆管に入れ、十二指腸に胆汁が流れるようにする方法が行われる。
コ行
コホート研究 属性が同じ集団(年齢、民族など)あるいは、同じ外的条件(被爆など)に暴露された集団をコホートという。これを長期間にわたり追跡観察し、その特性や他のコホートと比較する研究をコホート研究という。研究の出発点から前向きに研究するものと、後ろ向きに研究するものとに分かれる。
コルポスコープ検査(膣拡大鏡) 内視鏡の一種で、膣に挿入し子宮を明るく照らしてレンズで拡大して観察する検査。
コロノスコピー 大腸内視鏡検査のこと。
鉤(コウ) 組織や臓器にあててそれを牽引し、手術野を確保するための器具。腹壁内などの筋肉を牽引するための筋鉤、腹壁を牽引して腹腔内を見やすくするための腹壁鉤、肝臓を圧排するための肝臓鉤などがある。
高圧浣腸 腸内容排除、腸内洗浄などのために、薬液を高圧で大腸内に注入する方法。
抗うつ薬 うつ病の治療に用いられる薬物。
高カロリー輸液 各種疾患や術後で経口摂取不可能となり、栄養障害をきたした場合、上大静脈内にカテーテルを留置し、これを通して、栄養剤を持続点滴し、栄養状態の改善を図る方法である。
抗癌剤 抗癌剤は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、天然抽出物、ホルモン剤の4種類に分けられる。アルキル化剤は、DNAに作用し、放射線類似作用を示す。代謝拮抗剤は、細胞内に存在する生理的物質と化学的に類似するため、DNA合成過程で取り込まれ、その結果DNA合成を阻害し、腫瘍の発育を抑制する。天然抽出物は、主に植物成分、土壌中のカビの一種であるストレプトマイシンの発酵産生物、細菌産生物の3種がある。それぞれ細胞分裂の停止や阻害、DNA合成の阻害、核酸の機能・合成障害などを起こすことによって癌細胞の増殖を阻害する。
抗癌剤含有リピオドール動注 ゼラチンスポンジに造影剤リピオドールと抗癌剤を染み込ませ、癌組織に向かってじわじわと放出させる抗癌剤の動注治療法。
硬性癌 スキルス癌とも呼ばれ最も進行の早い癌。
光線力学的治療法(PDT) 光に反応しやすく、特定のレーザーを当てると蛍光を発する癌細胞に集まりやすい光感受性物質を前もって投与し、低出力レーザーで癌組織のみを焼き切る方法。
好発部位 ある病気が高頻度に発生する身体の部位。
広汎子宮全摘出術 子宮、膣、卵巣、周辺のリンパ節まで拡大して切除する手術法。
高分化癌 細胞の形が細かく、姿がはっきりとした成熟した癌細胞を高分化癌といい、細胞の形が未熟な癌を低分化癌という。低分化の癌ほど悪性度が高くなる。
告知 病名や予後を患者あるいは家族に告げること。
姑息的手術 治癒を目的としない、単に症状を軽減するために行う手術。
姑息的療法 根本的な治療が不可能なときに、病状を少しでも改善するために行われる治療法。根治療法と対比される。
骨髄移植 提供者から骨髄細胞を採取し、これを受者の静脈内に注入する療法。
骨髄穿刺 胸骨または腸骨に針を刺して、骨髄液を採集する検査
骨髄バンク 骨髄移植推進財団。骨髄を提供しても良いというドナー(提供者)が登録されている団体。骨髄移植を必要とする患者で、血縁者に骨髄適合ドナーが見つからないとき、主治医が患者とその家族の主要組織適合抗原検査の結果や病状などを記入して、骨髄バンクに登録する。現在、ドナーが見つかり、移植を行うまでに数カ月から約一年かかっている。
骨盤内再発 子宮癌や卵巣癌などの手術の後に骨盤内に再発すること。性器出血、血尿、下血、水腎症、下腹部痛、腰痛などが見られることがある。
根治手術 機能的、または解剖学的に病巣を取り除き、あるいは修復してその個体を疾患から解放する手術を根治手術という。
根治的リンパ節郭清 悪性腫瘍の外科治療の中で、治癒を目的として腫瘍を全摘出し、その領域リンパ節を郭清する場合に、転移したリンパ節をすべて含めて、摘出しえたとき、根治的にリンパ節が郭清されたという。
根治療法 疾病の原因を取り除き、根本から治す治療法。姑息的療法と対比される。
サ行
サイトカイン サイトカインとは免疫担当細胞などから産生される生理活性物質の総称で、免疫グロブリンを除くものをいう。サイトカインは細胞性免疫に関与する作用物質そして、あるいは体液性免疫における抗体産生調節に関与する作用物質として重要である。
サーベイランス 集団に発生する健康異常とそれに影響を与える諸要因を継続的に観測するシステムをいう。
サプレッサーT細胞 抗体産生や細胞性免疫の免疫応答を抑制する機能を持ったT細胞サブセットである。
再開腹精査 開腹手術後、その手術の経過(例えば癌の再発など)を知るために、再開腹して腹腔を精査すること。⇒セカンド・ルック手術
細菌 固い細胞壁を持つ単細胞生物であり、形態により、球菌、桿菌、らせん菌に分けられ、グラム染色性によってグラム陽性菌と陰性菌に分けられる。
再燃 治療期間中にすべての癌を取りきれず、癌が再び大きくなること。
再発 癌の治療後に、リンパ節または他臓器に転移や新病変が見られること。
細胞異型 悪性腫瘍の組織学的な診断根拠の一つで、発生母組織の細胞からの、形態学的な変異を意味する。核の増大、染色質の増量、核縁の不整肥厚などが指標となる。
細胞診 採取した細胞の塗抹(とまつ)標本により細胞学的に癌を診断する検査法。
細胞性免疫 抗原に対する生体の免疫応答で、抗体による体液性免疫以外の細胞による免疫応答。主たるエフェクター(担当)細胞は、リンパ球とマクロファージである。⇔体液性免疫
在宅酸素療法 肺の機能が低下している時に、自宅で酸素吸入しながら生活する方法。
シ行
CTスキャン コンピューター断層撮影。X線管球と検出器が、人体の各断面を回転走査し、得られたX線吸収値をコンピューターを用いてデジタル処理し、画像化するもの。
cyclooxygenase2(COX-2) ⇒シクロオキシゲナーゼ2
GOT,GPT(トランスアミナーゼ) トランスアミナーゼというアミノ酸の代謝にかかわる酵素は、人体の各組織に一定量が分布しているが、肝細胞が障害を受けると肝臓内のトランスアミナーゼが血液中に流れてくる。これを測定すると肝障害の有無が分かる。
シクロオキシゲナーゼ2 cyclooxygenase2(COX-2) シクロオキシゲナーゼは、アラキドン酸をプロスタグランジンH2に変換する生体内酵素で、構成的に発現しているCOX-1と、誘導酵素であるCOX-2の2種類に分類される。COX-2の生体内での過剰な産生が、プロスタグランディンH2の増加による炎症、さらには発癌にも関与していると考えられている。医療では、COX-2阻害剤が注目されている。
シュニッツラー転移 腹腔臓器の原発癌で、腹腔内に癌細胞がこぼれて腹膜に定着、転移巣を形成する。特に腹膜ダグラス窩に生じたものは、直腸指診により硬い索状物として触れ、これをシュニッツラー転移という。
シンチグラフィー 身体内に投与された放射性同位元素をおよびその標識化合物が、特定の臓器、組織に集積した状態を、シンチスキャナーやシンチカメラを用いて体外より検出し、分布像として記録する検査法。
子宮鏡(ヒステロスコープ) 子宮の内部を観察する内視鏡。
子宮内膜症 子宮内膜組織が子宮内膜層以外(子宮筋層あるいは卵巣、卵管など子宮以外の臓器)のところに増殖する病気。子宮筋層あるいは卵巣、卵管など子宮以外の臓器。
止血(シケツ) 出血を止めることをいう。物理的止血(鉗子などの器械ではさむ)、電気的止血(電気メス、レーザー)、化学的止血(エタノール局注など)がある。
試験開腹 試験的に開腹すること。試験的に開腹して、腹腔内の病気を診断するために行われる。また、開腹したが、がんなどが進行しているために、切除できずにそのまま閉腹したときにも使われる。⇒試験切開術
支持療法 作業療法のアプローチの一つ。精神障害の治療やリハビリテーションの目的で、作業自体の心理的効果と作業の場における人間関係を、心理療法的に用いること。
脂肪肉腫 悪性軟部腫瘍の一種で、比較的中高年者に多く見られる。好発部位は大腿部や後腹膜腔である。
死亡率 ある特定集団についてある期間内に死亡する割合。
自家骨髄移植 抗癌剤による障害を受けやすい骨髄細胞を、前もって患者から採取して保存しておき、骨髄抑制が強いときに、保存しておいた骨髄を患者に戻して骨髄機能を改善する方法。
試験切開術 診断困難な疾患に対し、今後の治療方針決定のために、正確な病理診断や病変の拡がりなどを知るために試験的に行う切開手術のこと。胸腔内の病変に対し行う試験切開術のことを、試験開胸といい、腹腔内の病変に対して行う試験切開術のことを試験開腹という。
試験切除 診断の確定や疾病の経過予後 を判定するために、生体の組織や臓器の一部を切除採取し、病理組織学的に検査すること。
試験穿刺 病巣あるいは病変のあると思われる部位を注射針で穿刺し、膿汁血液などの液体や異常組織の存在を知り、あるいは採取物を検査して診断の参考とする行為。
しこり 組織内にあるかたまりをいう。例えば、乳腺のしこりなど。
自己導尿法 自力で排尿できない状態が続く場合に、自分自身で導尿する方法。
自己輸血 手術などで将来輸血が必要と見込まれる場合、前もって本人の血液を採取、保存しておいて、必要時にそれを輸血すること。あるいは、手術時に出血した血液を再利用する方法もある。
自殺企図 自殺を企図することをいう。自殺を企図しながらも行為化しない場合は自殺念慮という。
持針器(ジシンキ) 縫合するとき針を把持するのに使う。用途によって長短のサイズや、いろいろの形のものがある。
持続肝動注療法 埋め込み式リザーバーを使用し、抗癌剤を直接に、かつ持続的に肝動脈に注入して、癌細胞を死滅させようとする方法。
持続点滴 補液をするときに、ゆっくりと24時間かけて持続的に点滴静注すること。
持続動注療法 埋め込み式リザーバーを使用し、抗癌剤を直接に、かつ持続的に目的の動脈に注入して、癌細胞を死滅させようとする方法。
実質 器官本来の機能を営む部分の組織のことで、結合組織からなる間質に対することば。例えば、肝臓では肝細胞の集まりが実質であり、血管と結合組織が間質である。⇔ 間質
集学的治療 疾病の治療を行う際に、外科療法、化学療法、放射線療法、免疫療法など、すべての治療技術を集合して行う治療法。
集団検診 集団を対象として、予防医学的な観点からなるべく短時間内に、多数の対象者の個人ごとの健康状態を把握するとともに、健康者をも含めた集団としての特性の把握を行う医学的な検査の方式。
集団療法 治療者が複数の患者と集団を作って行う心理治療。
絨毛癌 妊娠した時に胎盤の一部になる絨毛上皮から発生し子宮をおかす癌。ほとんどが妊娠と関係している。
重粒子線 重粒子というのは陽子よりも重く、プラスの電荷を持ったヘリウムや炭素、ネオン、シリコン、アルゴンなどを指す。電荷をもつもの(荷電粒子線)の特徴は、一定の深さ以上には進まないということと、ある深さにおいて最も強く作用するということで、これらの特徴から、陽子線や重粒子線では、光子線に比べて、がん病巣にその効果を集中させることが容易となる。これらを加速することによって、重粒子線は体内の深部まで達するようになり、しかもビームを絞って照射できる。重粒子線ががん細胞に命中すると、がん細胞のマイナス電子が引きずり出されて、がん細胞がやっつけられる仕組みだ。エックス線などに比べて重粒子線の細胞に対する殺傷能力は3〜4倍も強いという。 
縮小手術 拡大手術に対比することばで、癌のみを切除する手術法。
手術トレイ 手術の際、器具や器械を入れて置くトレイ。
手術療法 癌が最初に発生した部位(原発巣)あるいは原発巣と転移巣を含めて摘出する治療法。
術前化学療法 手術をする前に、腫瘍を少しでも縮小させるために行う化学療法。
術前照射 悪性腫瘍の手術を行うときに、合併療法として手術の前に放射線治療行うことをいう。その目的は、手術不能の大きな腫瘍に対して放射線治療を行って、腫瘍を縮小させ手術可能にすること、照射によって腫瘍細胞の活性を低下させ、あるいはリンパ流を閉塞させて、手術的操作による腫瘍細胞の播種の危険を少なくすることにある。
術中照射 手術的に腫瘍を露出させ、あるいは摘出後の残存腫瘍に対して直視下に放射線治療を行う方法。
受動喫煙 他人が喫煙した煙を吸うことをいう。
腫瘍 生体内において、その個体自身に由来する細胞でありながら、その個体全体としての調和を破り、他から何らの制御をうけることなく、自らの規律に従い、しかも過剰の発育をとげる組織をいう。良性腫瘍と悪性腫瘍がある。
腫瘍マーカー 癌細胞自身が作り出す、または癌の存在に反応して他の細胞が作る物質を検出することにより、癌の種類や性質、生体内の動態を知るための目印となるもの。
腫瘍焼灼法 高出力レーザーを用いて使用を焼き切る治療法。
腫瘍穿刺細胞診 癌がうかがわれる部位に直接細い針を刺し、細胞を採取して病理検査する方法。
腫瘍特異抗原 細胞の癌化に伴って出現してくる腫瘍抗原のうち、その腫瘍細胞にのみ特異的に存在する抗原。
腫瘍内投与法 化学療法の局所投与法の一種で、抗癌剤を腫瘍内に直接投与する方法。
腫瘤(しゅりゅう) 塊(かたまり)のこと。腫瘤には、腫瘍性のものや、炎症性のものなどがある。
小細胞癌 肺癌は、組織型から、非小細胞癌(扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌)と、小細胞癌に分けられ、それに基づいて細かく分類されている。
消息子(ショウソクシ)=ゾンデ 組織の孔や狭窄部を探るための棒状の器具。金属性のものが多い。片面に溝のある有溝ゾンデもある。
情動 喜悦、激怒、恍惚、驚愕、憎悪などの突然に引き起こされた一過性の激しい感情をいう。
上皮組織 人間の体の骨をおよび軟部組織をおおう組織をいい、皮膚、粘膜がそれにあたる。
上皮内癌 癌細胞が基底膜を破らず、間質内浸潤もなく、病変が上皮内に限局しているもの。
漿膜 腹腔、心膜腔、胸腔などの体腔の表面を覆う膜。腹膜、心膜、胸膜がこれに属する。
食道鏡検査 内視鏡を食道に入れ、肉眼的に食道粘膜の状態を観察する検査法。
食道発声法 喉頭癌などで喉頭を摘出された人の発声法。食道内に空気を取り込み、腹圧で空気を口腔に戻す際に、食道入口部を振動させ音を作る方法。
所見 診察によって得た徴候。例えば、身体所見、局所所見、レントゲン所見など。
女性ホルモン メスの第二次性徴、生殖機能を支配するホルモンの総称で、卵胞ホルモン、黄体ホルモンがある。
徐放剤 徐々に溶け出して吸収され、ゆっくりと長く効果を発揮する薬。
真菌(しんきん) カビのこと。
進行胃癌の肉眼的分類 癌細胞が粘膜下層を越えて浸潤してしまっている状態を、進行胃癌と呼ぶ。一型から四型までの四つに分類される。⇔ボールマンの分類
進行癌 癌の進展の程度を示す言葉で、早期癌に対して用いられる。消化管(食道、胃、大腸、直腸など)は、管状の臓器で、内側から順に粘膜、粘膜下層、筋層、外膜下層、外膜からなる。癌は粘膜から発生し、癌が大きくなると次第に外膜の方へ広がっていくが、筋層よりさらに外側に癌が広がっている場合、これを進行癌という。 ⇒早期癌
進行度 疾病の進行程度をいう。⇔深達度
滲出液 炎症の際に病巣に滲出する液で、濾出液に比べて混濁しており、比重が1.018以上で、タンパク質の含有量に富み、白血球を主とした炎症性細胞を多量に含んでいる。⇔ 濾出液
浸潤 癌細胞が基底膜を破壊し、上皮下組織や隣接他臓器へ浸潤増殖していくこと。
浸潤癌 癌の形態学上での進展の程度を示すものであり、癌細胞が基底膜を破壊し、上皮下組織や隣接他臓器へ浸潤増殖しているものをいう。上皮内癌あるいは非浸潤癌と対応する言葉である。
深達度 癌細胞が基底膜を破壊し、上皮下組織や隣接他臓器へ浸潤増殖している程度。
真皮 皮膚を構成する組織の1つで、表皮に接して深部に位置し、このさらに深層に、皮下組織がある。
心理療法 ⇒精神療法
人工喉頭 器械振動を口腔内の空気に与えて共鳴させ、発声を行う電気式の発声器。
人工肛門 ⇒ストーマ
人工肛門造設術 直腸癌を切除したために、肛門の機能を喪失した場合に、下腹部に新たに便の排出孔・人工肛門を造設する手術。
人工膀胱 回腸や結腸を用いて作る代用膀胱。
腎動静脈血管造影 腎臓の血管に造影剤を注入してX線撮影し、腎臓に出入りする血管の状態や腫瘍内の血管の状態を調べる検査法。
腎動脈塞栓術 腎臓の腫瘍組織に栄養を送っている動脈を、血管塞栓物質で閉塞させ、癌細胞を壊死させる治療法。
ス行
スキルス癌 縦方向に成長するスピードが早い癌で、早い時期に血流やリンパ流に乗って他の部位に転移する。
スクリーニング 健康者をも含めた集団から、目的とする疾病についての潜在的な異常者や、すでに発症した人を選び出す医学的なふるい分けの手法。
ステージ ⇒病期
ステント 管腔の元の形状を保つために設置される器具。例えば心筋梗塞や狭心症など冠動脈の狭窄をきたした病気の場合に、血管内腔をバルーンによって拡張した後、その血管内腔の広さの維持を図るためにステントをそこに挿入する。
ストーマ 直腸癌を切除したために、肛門の機能を喪失した場合や、膀胱癌で膀胱を切除した場合、下腹部の腹壁に造設した便や尿の人工的な排出孔をいう。
ストレス ストレスとは外界からのあらゆる要求に対する生体の非特異的な反応をいい、その反応を引き起こした刺激をストレッサーと呼ぶ。ストレスとストレッサーを厳密には区別するが、現実には同じ意味で使われている。 温度、気圧、騒音、手術、外傷などの物理的ストレス、 アルコール、薬物などの化学的ストレス 、細菌、ウィルスなどの生物学的ストレス、 不安、緊張などの心理的ストレス の4種類に分類される。
水腎症 膀胱癌によって、尿管が閉塞すると、尿が腎臓から膀胱に流れなくなり、尿管、腎盂が拡張する病態。
水頭症 脳において、腫瘍が髄液の流れを阻止するために起こる脳室の拡大をいう。
膵頭十二指腸切除術 膵頭部癌の場合、膵頭部は、十二指腸、胆管と一体になっているため、これらの臓器を合併切除する手術法。
髄芽腫 胎児期に残された組織から発生する先天的な脳腫瘍の代表的なもの。小児に最も多い。発育は早く、クモ膜下腔を経て広がった、髄膜に転移巣を作ったりする。
髄腔内注入法 白血病の治療の際、脊髄には抗癌剤は到達しにくいため、腰椎穿刺を行って、髄液の中に抗癌剤を注入する方法。
髄膜腫 脳腫瘍の一種で、中枢神経をおおう髄膜に発生する。脳腫瘍全体の16%程度を占める。手術により摘出できることも多く、治癒率も上っている。
セ行
セカンド・オピニオン 主治医以外の他の医師の意見。
セカンド・ルック手術 手術後の化学療法が一応終了した段階で、その効果判定、治療中止時期の決定、残っている癌組織の摘出などを目的として行われる再手術。
セミノーマ 精巣に発生する癌の一種で、組織型によってセミノーマ(精上皮腫)と非セミノーマーセミナーに分けられる。
ゼラチンスポンジ ゼラチンでできたスポンジ。肝細胞癌のときに、これを細かくした細片を、肝動脈に進めたカテーテルから注入し、癌へ流入する血管を塞栓する(肝動脈塞栓術)。
セルフケア 自分でできる生活行動は自分でするということ。
清潔操作 清潔操作とは、消毒した手指で、滅菌された器械、器具を扱い、人体の手術や処置を行なう操作をいう。手術の際、手術に直接関わるものは清潔操作が必要である。
生検 ⇒バイオプシー
精神療法 心理療法ともいう。治療者と患者のコミュニケーションを基礎とし、心理的技法によって、症状の改善、疾病からの回復、適応力の増大、人格の成長をはかる治療をいう。
生存率 ある人がある期間生存できる確率をいう。癌医療の場合は、五年生存率、十年生存率がよく使われる。
性徴 動物の雌雄が識別できる肉眼的な特徴。第一次性徴(生殖腺および内外生殖器官に見られる性差)、第二次性徴(思春期以降に出現する外観上の性差。例えば男性の口ひげ、女性の乳腺発達など)、第三次性徴(行動、心理に見られる性差)を区別する。
精密検査 スクリーニングによって拾われた異常患者を、さらに精密に検査をすること。例えば胸部レントゲン写真で見つかった異常を、CTとか気管支鏡などでさらに詳しく調べること。
精密微量輸液ポンプ 輸液をするときに、投与する輸液量を微量かつ精密に調節できるポンプ。
切開 メス、時には剪みを使って組織を切り開く。皮膚切開のときは、メスがぶれないようしっかりと把持し、刃を皮膚面に直角に当てる。その際、メスと反対の手指で皮膚面を均等に押え、メスによる皮膚のずれを無くし、切れをシャープかつ均等にするようつとめる(カウンタートラクション)。
鑷子(セッシ) ピンセットともいい、物を把持する器械。有鉤と無鉤とがあり、長短のサイズもある。有鉤鑷子と無鉤鑷子の使用目的の違いは鉗子と同じ。
潜在癌 癌の存在が臨床的にも病理学的にも明らかな臨床癌に対しで、癌が存在するが臨床症状を欠き、かなり長期間気付かれないものをいう。
穿刺吸引細胞診 病変部を注射針のついた吸引器で穿刺吸引して細胞を採取し、病理学的に調べる検査法。
穿刺吸引生検法 病変部を注射針のついた吸引器で穿刺吸引して組織を採取し、病理学的に調べる検査法。
染色体 細胞分裂中期に光学顕微鏡下に出現してくる構造物をいい、DNAと構造タンパク質からなる。
腺腫(アデノーマ) 各種線組織の腺上皮細胞より発生する良性腫瘍をいう。
腺腫内癌 主として大腸にポリープ状に発生した腺腫病変の一部に、細胞異型、構造異型を認める腺腫のことを意味する。
洗腸法 人工肛門から一定量のぬるま湯を腸管に注入し、その刺激により強制的に一度に便を排出させる方法。
剪刀セントウ(ハサミ) 剪刀は、血管などの組織を切離するときに使う。刃先が曲がった曲剪刀(クーパー)、まっすぐな直剪刀(チョクセントウ)がある。深、浅部に使うために長短のサイズある。
前癌状態 病理学的に明確な定義はなく、臨床的には、ある種の病的状態があり、続発して高頻度に発癌が見られる場合、その先行する病的状態を前癌状態と呼んでいる。
全身加温法 血液を体外循環させ、外部で四十五度くらいに加温し、体内に戻す方法。癌が全身に転移した場合に適している。
全身麻酔 麻酔剤の使用によって、知覚の遮断、意識の消失、自動運動の遮断、反射運動の抑制を人為的に行う方法。その麻酔法には、吸入麻酔と静脈麻酔がある。
前立腺亜全摘術 前立腺だけを摘除する手術法。
前立腺全摘術 前立腺と精嚢を摘出してから、膀胱と尿道をつなぐ手術法。
前立腺特異抗原(PSA) 腫瘍マーカーの一種で、前立腺癌の存在を検出する。癌の進行とともにPSA値も上昇し、病期までも予測することができる。
ソ行
早期胃癌 早期胃癌は、リンパ節転移の有無にかかわらず、癌細胞が胃壁の筋肉層に浸潤する前、つまり粘膜下層以内にとどまっている状態の癌のこと。
早期癌 消化管(食道、胃、大腸、直腸など)は、管状の臓器で、内側から順に粘膜、粘膜下層、筋層、外膜下層、外膜からなる。癌は粘膜から発生し、癌が大きくなると次第に外膜の方へ広がっていくが、癌が粘膜と粘膜下層にとどまっている場合に、これを早期癌という。(転移の有無とは無関係)⇒進行癌
早期発見 疾病を早期に発見すること。そのために集団検診や人間ドックなどが行われている。
早期離床 できるだけ早く、ベッド上に起き上がり、病室の内外を歩けるようにすること。 ベッド上での寝たきりの状態が長くなると、筋力が低下したり、関節の動きが制限されるだけでなく、実際に体力や抵抗力の低下などの弊害が生じる。
巣症状 脳腫瘍の発生部位によって、その領域が持つ機能が障害されるため、特有の精神症状や神経症状が見られる。これを巣症状という。
阻血化学療法 カテーテルを、胃十二指腸動脈より肝動脈に入れて、総肝動脈には圧迫用のバルーンを置いて、肝動脈を遮断したり、開放しながら長期にわたって抗癌剤を注入する方法。
組織診断 生検して得た組織細片を、固定染色して組織標本を作り鏡検して診断を行うこと。
組織内照射法 線源は腫瘍内やその周囲に刺し入れてから、癌組織を照射する方法。指した針は受けないように絹糸で固定し、一定期間連続して照射する。
タ行
WHO3段階式除痛法 痛みの程度に応じて、三段階の強さの鎮痛薬を用いて除痛ジョブスを行う方法。
WHO方式癌疼痛治療指針 WHOが、癌患者が癌による痛みから解放されるように、作成した指針。その内容は、三種類の鎮痛剤を効力の強さに応じて段階的に使用する、痛みが消える薬剤量を時刻を決めて投与する、できる限り経口で用いる、痛みの治療の開始は病期によらない、の四つに要約できる。
ダグラス窩 腹腔内で直腸の前面にあるくぼみ。腹腔内の一番下方にあるため、そこに腹水、血液、膿などが溜まりやすい。それを針で穿刺して検査する。
タール便 一般に、上部消化管よりの出血は、腸内で変化を受けるため、便は黒色で光沢を示し、タール様を呈する。これをタール便という。⇒下血
タモキシフェン 抗エストロゲン作用のある薬剤で、乳癌のホルモン療法として使われる。
ダンピング症候群 胃の切除をした人に起こる症状で、十分に消化されない食物が急速に小腸内に送り込まれるため出現する、倦怠感、腹痛、発汗、めまいなどの症状。
体位ドレナージ 水様性のものはすべて、重力によって高い所から低い方へと流れる。したがって、肺や気管支の形態、構造を考え、粘液が流れやすいように姿勢を変えると、痰が移動し排出しやすくなる。これを体位ドレナージという。⇒ ドレナージ
体液性免疫 生体の防御機構の一つである免疫機構は、細胞性免疫および体液性免疫の二つの機構から成立っている。体液性抗体すなわち免疫グロブリンによって行われる免疫反応を体液性免疫という。⇔細胞性免疫
待期的療法 疾患に対して根治的手術を行わずに、症状を軽減せしめる手術を行うこと。症状と一般状態の改善を図ることにより、可能ならば根治的療法を行いうるまでに導く。
退行 目の前の不愉快な状況や不安を避けるために、今の年齢よりもずっと幼いころにとっていた行動パターンに逆戻りすることをいう。子供が弟や妹に親の愛情を奪われてしまうのではないかという不安から、親に必要以上にまつわりついたり、おねしょをするなど、赤ん坊の状態を再現するような行動を取ることが退行の例として取り上げられる。
大細胞癌 ⇒小細胞癌
代謝 体内に取り込んだ栄養素から、身体を動かすためのエネルギーを取り出したり、栄養素をいったん分解し、自分の身体を維持するための物質につくり変えて、不要になったものを体外に排出する働きのこと。
対症療法 疾病の原因に対してではなく、主要な症状を軽減するための治療法。
胎児性脳腫瘍 胎児期に残された組織から発生する先天的な脳腫瘍で、10歳以下の小児に最も多く見られる。代表的なものが、髄芽腫で、脳実質に発生し、発育が速く、クモ膜下腔を経て広がったり、髄膜に転移巣を作ったりする。
代用膀胱 膀胱癌の手術で、切除した膀胱の代わりに、回腸や結腸を用いて作る膀胱。腹壁に作った排出孔からカテーテルを使って排尿をする。
多重癌 転移とは無関係に異なる癌が二カ所以上に独立してできるものや、一つの癌は治癒しても別の新しい癌ができること。
多発性骨髄腫 癌化した形質細胞が、多くの骨の骨髄内で増殖する病気を、多発性骨髄腫と呼ぶ。多発性骨髄腫は、癌化した形質細胞が主に骨髄内で増えることによって、骨を破壊したり、造血機能を障害する。したがって、最も多く見られる症状は、腰、背中あるいは肋骨などの痛みである。
多分割照射 放射線治療の照射方法。治療効果を上げるためには、連日継続して放射線治療を受けることが重要である。最近、1日2回照射する多分割照射も研究されている。
胆汁 胆汁は、肝臓で胆汁酸、ビリルビン、コレステロール、蛋白などから作られ、脂肪を消化吸収しやすくする消化液である。ビリルビンは、赤血球に含まれているヘモグロビンが分解されたあとに肝臓内で化学的に処理されて胆汁成分となり、十二指腸へ排出される。胆汁が排泄されないと、黄疸がでる。
胆汁ドレナージ法 胆管が閉塞した場合、胆汁を排泄させる方法。経皮経肝胆道ドレナージ法PTCDと内視鏡的逆行性胆汁ドレナージ法がある。
単純撮影 X線検査の1つで、撮影方法として、臓器を全体像としてとらえる撮影法。その他に、人体内部の断面を写真に撮る断層撮影、造影剤を使う造影撮影などがある。 ⇒断層撮影
断層撮影 被写体の観察したい特定の断面を、より良く描出する撮影法。目的とする断面上の一点が、必ずフィルム上のある一定の、に防衛するように、X線管とフィルムを同時に反対方向に移動させながら撮影する。
胆道 肝臓の細胞から分泌される胆汁が、肝臓から十二指腸に送られるまでの全通路のことを胆道といい、肝臓内の肝内胆管と肝臓外の肝外胆管に分けられる。さらに肝外胆管は、胆管と胆嚢に分けられる。
チ行
チアノーゼ 動脈血酸素飽和度が低下して、デオキシヘモグロビンが約5グラム|dl以上になった時に発現する、皮膚、粘膜の暗紫青色調。口唇、爪床、指尖に著明である。
致死線量 95%の確率で腫瘍制御が得られる線量。
膣細胞診 膣、子宮膣部、頸管分泌物を採取スライドクラス上に塗抹、固定染色して細胞を鏡検する診断法。
中心静脈栄養法 カテーテルを心臓の近くの大静脈に挿入し、そこから高濃度の栄養を補給する方法を中心静脈栄養法IVHという。⇒高カロリー輸液
中枢型肺癌 肺癌の発生部位(肺門部と肺野部に分けられる)によって分けられる名称 。気管支が分岐するところ(肺門部)に発生した癌を肺門部肺癌(中枢型肺癌)といい、肺の末梢に発生した癌を肺野部肺癌(末梢型肺癌)と呼ぶ。肺癌はその組織型によって、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌などと分類されるが、扁平上皮癌は肺門部に生じやすく、腺癌は肺野部に生じやすい。 ⇔末梢型肺癌
中枢神経症状 中枢神経がおかされると現れる症状。頭痛、吐き気、嘔吐、倦怠感、四肢麻痺、失禁、視力障害、痙攣、意識障害といった神経症状が現れる。
注腸造影検査 バリウムと空気を肛門から注入し、多方向から大腸のX線撮影をする検査法。
超音波検査 超音波は、生体内を直進したり、密度の異なる組織と組織の境界で反射する性質をもつ。その性質を利用して体内臓器の内部を観察する検査法。
超音波内視鏡検査 内視鏡に超音波装置を組み込んだもので、病変そのものの診断よりも、周囲の組織への広がりの程度を判断するのに使われる。
超選択的動注療法 主幹動脈のさらに末梢部から局所的に薬剤を注入するために、マイクロカテーテルを用いて、抗癌剤を注入する動注療法。⇒動注化学療法
腸閉塞 ⇒イレウス
腸篦(チョウベラ) 開腹手術のとき、腸を圧排して手術野を確保する金属性のヘラ。
直腸指診 肛門から指を入れ粘膜を触って診ること。直腸の下半分を調べることができる。
鎮痛補助剤 鎮痛剤の補助として使われる薬。抗痙攣剤、向精神剤、抗ヒスタミン剤、抗うつ剤、副腎皮質ステロイド剤などがある。
テ行
DIC 播種性血管内凝固症候群。悪性腫瘍、白血病、感染症、手術、外傷、産科的疾患などの基礎疾患を背景に、組織トロンボプラスチンの血中への放出や、血管内皮障害、免疫複合体などによる凝固系の活性化をトリガーとして起こる。全身性に微小血栓が多発し、臓器障害をきたすとともに、その結果として凝固因子や血小板が消費され減少し、また線溶系の活性化が亢進されることとあいまって、顕著な出血傾向をきたす。
DNA(デオキシリボ核酸) 核酸の一種で、デオキシリボヌクレオチドの重合体。細胞が次の細胞に生命を伝えていくために染色体の中に設計図や手順表として書き込んであるのが遺伝子(DNA)である。
Tリンパ球 Tリンパ球は末梢血リンパ球中の60〜七十%を占め、細胞性免疫の主要な担当細胞である。
手洗(テアライ) 手指の消毒方法で、イソジンなどの消毒液を使って滅菌ブラシで手指から肘上部にかけて洗浄する。
定型的乳房切除術 ⇒ハルステッド法
低分化癌 細胞の形が未熟な癌を低分化癌という。低分化の癌ほど悪性度が高くなる。⇔高分化癌
転移 癌細胞が血液を介して、あるいはリンパ行性に、また手術などの際に原発巣から離れた他の部位に運ばれて、そこに新しい増殖巣を作ること。
ト行
ドナー 臓器移植の際の、臓器提供者をいう。
ドレナージ 体腔内に貯留した滲出液や血液、空気を排除すること。
ドレーン 体腔内に貯留した滲出液や血液、空気を排除するために挿入するチューブ。
頭蓋内圧(とうがいないあつ) 頭蓋内腔の圧のこと。脳腫瘍の増大、脳浮腫などにより頭蓋内圧が上昇すると、頭痛、嘔吐、うっ血乳頭、眼球の外転障害などの症状を引き起こす。高度の頭蓋内圧上昇は、脳ヘルニアを起こし、呼吸中枢などが障害され、生命は危機状態となる。
頭蓋内腔(とうがいないくう) 頭蓋骨の中の空洞。
凍結療法 マイナス180-190度の液体窒素を癌細胞に吹きつけて凍結し、死滅させる方法。皮膚癌に使われる。
同化 栄養素をいったん分解し、自分の身体を維持するための物質に作り変えること。
動注 薬剤を動脈内に注入することをいう。
動注化学療法 癌のある部位に、選択的に高濃度の抗癌剤を動脈内に注入する治療法。⇒超選択的動注化学療法
突然変異 突然変異とは、遺伝物質の塩基配列または塩基の数に生じた永続的変化により、遺伝的形質が変化することをいう。
塗抹 顕微鏡検査のために、血液、尿、喀痰、分泌液などの微生物や細胞の浮遊液を直接スライドガラスに塗りつけること。必要に応じて各種の固定染色を施す。そうして作成された標本のことを、塗抹標本という。
ナ行
ナチュラルキラー細胞 リンパ球の一種で、インターフェロンによって活性化し、癌細胞の増殖や転移を抑制する働きを持つ。
内視鏡 体表から直接見ることのできない中腔器官の内部を観察するために用いられる器具。
内視鏡下手術 内視鏡を用いて行われる40の手術のことをいう。最近、内視鏡は診断的手段のみではなく、治療的手段としてさまざまな領域において用いられている。
内視鏡的逆行性胆管造影 口から内視鏡を挿入し十二指腸まで進め、十二指腸に到達したら、内視鏡の先からカテーテルを出して胆管に挿入し、造影剤を注入してX線撮影をする方法。これにより胆管の病変が診断できる。
内視鏡的逆行性胆汁ドレナージ法(ERBD) 内視鏡を使って、チューブあるいはステントを胆管閉塞部に入れ、胆汁が十二指腸に流れるようにするドレナージ法。
内視鏡的硬化療法 内視鏡で観察しながら、食道静脈瘤を針で刺し、硬化剤を注入し、静脈瘤を固めてしまう治療法。
内視鏡的腫瘍切除術 ⇒ポリペクトミー。内視鏡先端からスネアを出し、隆起している病変の根元に巻き付けてから通電し、切除します。隆起していない場合は、生理食塩水を粘膜内に注入し、病変を隆起させて切除する。
内診
婦人科の診察方法で、視診及び触診により女性性器や骨盤内の状態を診るもの。
内部照射法 放射線源を身体の内部に入れて照射する方法。⇔組織内照射法、腔内照射法
内部要因 生体の中にある発癌のメカニズム。
内分泌 外分泌に対する言葉で、細胞で作られた物質が導管によって分泌されることなく、血行を介して遠隔部位の細胞に作用する形式をいう。具体的には、ホルモンの分泌を意味する。 ⇔外分泌
内分泌療法(ホルモン療法) 癌治療の場合の内分泌療法は、ホルモンによって増殖が促進されるタイプの癌に対して、ホルモンの作用を抑える薬剤を用いて、癌の増殖を止める治療法。乳癌や前立腺癌によく用いられる。⇒ ホルモン療法
軟部組織 人の身体の構成物。人体は約200本の骨、軟部組織と、それをおおう上皮組織などで形づくられている。軟部組織には、線維組織、脂肪組織、筋肉組織、血管神経などがある。⇒上皮組織
ニ行
ニッシェ 消化管X線撮影において、消化管壁にできた組織欠損部(潰瘍)にバリウムが入った状態をいう。側面像では、壁から突出した形となり、正面像はバリウムのたまりとして描出される。
ニューロパチー 末梢神経障害の総括的名称で、原因は、遺伝、外傷、中毒、炎症、代謝異常,悪性腫瘍、末梢神経腫瘍圧迫などがある。
肉腫 上皮組織から発生した悪性腫瘍を癌(癌腫)といい、骨および軟部組織に生じた悪性腫瘍を肉腫という。
二次癌 多重癌の中でも、すでに癌になって治療中や治癒した後の人に、転移ではなく、新たな癌が発生することがある。これを二次癌という。二次癌は治療時の放射線の照射や抗癌剤の投与が原因となる場合もある。
乳腺症 閉経期前後の40歳代に多く、癌との鑑別の上で最も重要な疾患で、エストロゲンの過剰により、乳房が腫れたり、しこりができたり、痛んだりする。
乳房温存術 放射線照射を併用して、乳房の癌原発巣を部分的に切除して、乳房を温存する手術法。
乳房再建手術 手術によって、乳房、乳輪、乳頭を再建する手術。乳房再建には人工乳房によるものと、自分の筋肉と皮膚を移植するものとがある
乳房切除術 乳房切断術ともいう。乳腺の悪性腫瘍に対し行われる手術で、腫瘤を含む乳房全体と大小胸筋ならびにリンパ節を含む腋窩組織を一塊として切除する方法。
尿道狭窄 前立腺による外からの圧迫や、尿道壁が固くなって伸縮性を失うことにより、尿道の内腔が狭くなった状態。
尿道ブジー 尿道狭窄に対して外尿道口から挿入して尿道を拡張するための細長い金具。
尿毒症 急性あるいは慢性に腎機能が低下し、体液の恒常性が維持できず、全身臓器の多彩な症状を呈した状態。
尿閉 前立腺(癌)が大きくなり、尿道が閉塞され尿が出なくなること。
尿路変更術 膀胱を切除する時に行う、尿を排出するための尿路を新しく造成する手術。
ネ行
粘膜下腫瘍 粘膜下組織内に発生する腫瘍のこと。(消化器、呼吸器、泌尿生殖器系の管腔の内面をおおうのが粘膜)。
粘膜下層 消化管壁の層の1部で、壁は、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜からなる。早期癌は、この粘膜下層までに癌の浸潤がとどまっている場合をいう。
ノ行
膿胸 臓側および壁側胸膜によりできる胸膜腔に、膿が貯留した状態をいう。
嚢腫(のうしゅ) ふくろ状となる性格の腫瘍を呼ぶ。典型的な嚢腫は、卵巣に比較的多く見られる。
膿盆(ノウボン) 体内からの膿などの排液を入れる腎臓形をした金属性容器。
膿瘍 限局性に組織の融解を呈し、膿の蓄積した状態をいう。膿瘍は、すべての臓器組織に発生するが、特に皮膚、肺臓、腎臓、肝臓、脳などに好発する。
ハ行
バイオプシー(生検) 病変部の一部を摘出して、病理組織学的検査を行うこと。
パパニコロー染色 細胞診には欠かせない、細胞塗抹標本を染色するのに一般的に用いられる染色法。核の微細構造が明瞭で、標本の透徹性に優れているため、重層した細胞でもよくその形態が分かるなどの特徴がある。
パフォーマンス・ステイタス 日常生活や労働など、どの程度行えるかという全身状態。
バリウム 消化管のX線造影剤として用いられる、水に不溶性の硫酸バリウム。
ハルステッド法 定型的乳房切除。乳房とともに大胸筋、小胸筋を切除し、腋窩のリンパ節をきれいに取り除く郭清術。
バレット食道(Barrett) 食道上皮は、扁平上皮からなるが、これが円柱上皮に置き換えられた食道を、バレット食道という。胃・食道逆流、逆流性食道炎が長期に存在し、扁平上皮が円柱上皮化生を起こして生じるものと考えられている。 高度のバレット食道は、高率に腺癌が合併する。
パンコースト症候群 肺の上端に発生した癌が、近接している交感神経幹、腕に向かう神経叢、肋骨などに浸潤すると現れる、汗が異常に出たり、視覚障害、上腕への放散痛、頚部の痛み、背部痛などの特有な症状。
排ガス 腸管の中にあるガスが、肛門から体外に排出されること。
廃用性萎縮 寝たきりなど筋肉を長期に使用しない時に起こる筋肉の萎縮。
播種 癌細胞が、近接する膜組織例えば腹膜、胸膜にばらばらに散らばって広がることをいう。胃癌の腹膜播種がよく知られている。
発癌物質 癌を発生させる物質。喫煙や食物、飲酒、生活用品に含まれる化学物質、X線や紫外線などの放射線、ウイルス、活性酸素など。遺伝子に傷を与え、突然変異を引き起こす。癌ウイルスは、細胞のDNAの中に入り込み、細胞中の遺伝子の働きを狂わせる。
抜糸(バッシ) 縫合した糸を抜くことをいう。皮膚縫合の抜糸は、創の緊張程度によって、増減はあるが、だいたい術後一週間で行なう。
組織を縫合するときに使う。針の断面が三角になった角針と丸い丸針があり、また糸を通す穴の形によって、断キと通しがある。それぞれ大小のサイズがある。角針は、皮膚や筋膜など比較的強靭な組織を縫合するときに使い、腸など脆弱な組織には丸針を使う。
針容器 針を入れて置く金属性の容器。
半盲 視野の下4分の1または半分が欠けて見えること。
ヒ行
BMI(BodyMassIndex肥満指数) 肥満度とは、肥満の度合いを示す指標をいう。その中でよく使われるものに、BMIがある。BMI=体重(kg)÷身長(m)の二乗。22が標準値。
BRM剤(BiologicalResponseModifiers) 生物学的反応修正物質。主にマクロファージやT細胞、NK細胞などの機能を増強したり、免疫機能などを回復する作用を持つ物質。
Bリンパ球 表面免疫グロブリンを有する免疫担当細胞であり、人末梢血リンパ球では約十%を占める。表面免疫グロブリンは抗原レセプターであり、諸種の抗原刺激に対して対応するクローンが増殖し、抗体を産生する形質細胞へと分化する。抗体を産生する。
p53遺伝子(ピーゴジュウサンイデンシ) p53遺伝子はほとんどすべてのヒト腫瘍で変異している癌抑制遺伝子で,ヒト染色体17p13に位置する.ヒトp53遺伝子は約20 kbからなり11個のエクソンを有し,分子量5.5万のタンパク質をコードする.SV 40の癌遺伝子産物T抗原に結合するタンパク質として同定されたp53タンパク質は,癌遺伝子として機能すると考えられてきた.近年,p53遺伝子には,野生型と変異型があり,変異型が癌遺伝子として機能し,野生型は逆に癌抑制遺伝子として機能することが明らかにされた.
ビリルビン 肝臓で生成される胆汁の色素成分。これが肝臓で処理されなかったり、胆汁の排出路である胆管が閉塞されると、ビリルビンは血流にのって末梢組織に入り、皮膚や粘膜などを黄色く染める。これを黄疸という。
ビルロートT法 胃の部分切除を行った際、残胃と十二指腸を直接吻合する方法。
ビルロートU法 胃の部分切除を行った際、残胃と空腸とを吻合する方法。
非観血的療法 生体に出血を伴う侵襲を加えることなく行う療法。薬物療法、化学療法、放射線療法などをいう。これに対し、手術は観血的療法という。
非自己 免疫学上のことばで、自分のもの(自己)でないもの。免疫機能は、自己と非自己を区別する。
非小細胞癌 ⇔小細胞癌
非定型的乳房切除術 乳房切除術の一種。乳房切除と腋窩リンパ節郭清を行い、大胸筋は残す。現在最も広く行われている手術法。大胸筋を残すので、なだらかなふくらみは保てる。肩や腕の運動制限などの機能障害も少ない。
非ホジキンリンパ腫 ⇒悪性リンパ腫
皮膚消毒 手術対象部を中心に大きめに消毒液で清拭する。中心から末梢にかけて消毒することが合理的である。手術野を滅菌掛け布で被覆する場合は、掛け布の穴に未消毒部分が露出しないよう注意が必要である。消毒液は、イソジン、ヒビテン、イソジンとハイポアルコールなどが普通である。
非密封線源治療 放射性同位元素をカプセル状あるいは液状にして患者に投与し、目的病巣を照射する方法。
病期(ステージ) 病巣の大きさや広がり、転移の有無から判断される臨床的病態。それぞれの癌により、臨床病期分類がなされている。
表皮 皮膚を構成する組織の1つで、その最外層の名称。表皮は、深層より表面に向かって、基底層、有棘層、顆粒層、角質層からなる。
病理学的診断 病理解剖による診断。
病理組織学的検査 生検で得た標本や切除後の組織標本の細胞の性質を顕微鏡的に調べる検査。
びらん 上皮内に限られた浅い組織の欠損。
フ行
プラシーボ(偽薬) 薬理作用を持たない、単に患者を喜ばせることを目的とした薬物。薬の効果を調べる時に、このプラシーボを投与された患者と、本来の薬を与えられた患者の効果の差を比較して、薬効の評価をするときにも使われる。
プロゲステロン 排卵後の卵巣に形成される黄体より分泌されるステロイドホルモン。
複視 物が二重に見える眼の障害。
副腎皮質ホルモン 副腎皮質で造られ分泌されるステロイドホルモンの総称。グルココルチコイド、ミネラルコルチコイドおよび性ホルモンからなる。
腹水 腹腔内に可動性の液体が貯留している状態。
腹膜播種 ⇒播種
腹腔鏡 腹壁に穴を開けて、その穴から腹腔内を観察する内視鏡。
腹腔穿刺 腹腔を注射針で穿刺し、腹水を採集したり、腹水の排除を行うこと。
ヘ行
ベクター 組み換えDNA実験において、制限酵素などを用い遺伝子を挿入されたプラスミドを、細胞に感染させ増殖することが多い。この場合、特定の遺伝子を組み込んで細胞内に運び込むものをベクターという。
ページェット癌 乳輪、乳頭、外陰、肛囲、腋窩、臍部などに発生する悪性腫瘍。臨床的には単発性の境界明瞭な紅斑、黒褐色斑、白斑などを呈し、徐々に拡大し、後にビラン、潰瘍化、腫瘤形成をみる。リンパ行性、血行性転移をきたす。 =パジェット癌
ヘリカルCT(helical CT) CTの一種。らせん走査型CTともいわれ、対向したX線管球と検出器を被写体の周りを連続的に回転させ、同時に被写体の置かれた寝台を、頭尾方向に連続移動させることによって、三次元的にデータを短時間で収集する撮影法。
ヘリコバクター・ピロリ菌 1983年、オーストラリアのマーシャルらが胃粘膜から始めて培養に成功したグラム陰性桿菌である。現在研究により、胃炎、消化性潰瘍、胃癌など色々な疾病との関連が明らかにされている。
ヘルパーT細胞 B細胞が作り出す抗体の生成を助けるリンパ球。
閉経 月経が来なくなること。
併用 二種以上の薬剤(多剤併用)や器材を合わせて使用すること。
併用効果 二種以上の薬剤を投与し、新たに生じた薬理作用。
変異原物質 突然変異を起こす性質をもつ物質
扁平上皮_ 上皮を構成する上皮細胞群は、密な上皮組織を形成し、皮膚、粘膜、および組織や器官、身体各所の膜を構成している。上皮組織は、細胞の形により、扁平上皮、立方上皮、円柱上皮、および線毛上皮に分けられる。
扁平上皮癌 扁平上皮に発生する癌。口腔、食道、気管、膣、尿道などに多い。
便潜血反応検査 通常では混入することのない血液が便に混入しているかどうかを調べる便の化学的、免疫学的な検査。最も簡単な検査なので、集団検診に利用されている。
ホ行
ボールマンの分類 R.Borrmannが1901年に提唱した胃癌の肉眼的分類で、大腸癌などにも用いられている。四つの主な型に分けている。
ホジキン病 ⇒悪性リンパ腫
ホモシステイン 食物中のメチオニンがシステインに代謝される際の中間産物。先天的なホモシステイン代謝酵素の異常または欠損で血中ホモシステインの増加を示すホモシスチン尿症では動脈血栓、静脈血栓が多発することが知られている。最近の報告では一般人でもホモシステインが血中で高値をとるものに脳梗塞が多いことが報告され注目されている。血管内皮細胞障害、血小板活性化など様々な要因が関与するとされる。
ポリープ 限局性の隆起性腫瘍様病変の肉眼的表現。限局性に隆起したものすべてをポリープと総称する。原因論的には、腫瘍性、変性性、炎症性に区別される。
ポリープ症 ポリープが多数に発生した状態のこと。消化管に多発する消化管ポリープ症が知られている。
ポリペクトミー ポリープを切除することをポリペクトミーというが、最近では内視鏡によって切除することが多い。
ホルモン 生体内外の刺激により、内分泌細胞より産生分泌される物質。血液に乗って循環し、標的細胞の機能変化を引き起こす。
ホルモン産生腫瘍 ⇒機能性腫瘍
ホルモン補充療法 低エストロゲンに基づく諸症状を女性ホルモン(エストロゲン)を補う事により改善し、QOLを高めるものをホルモン補充療法HRTという。エストロゲンはもともとは人間の体の中で(主に卵巣)作られているが、HRTでは人工的に合成して作ったもの、抽出してきたものを薬剤化したエストロゲンを用いる。
ホルモン・レセプター検査 乳癌の場合、その癌細胞には、女性ホルモンのレセプターが存在することがある。採取した組織の一部を使ってホルモンレセプターの検査が行われ、この検査で陽性の場合は、ホルモン療法が有効と言われている。
ホルモン療法 女性ホルモンの一つであるエストロゲンによって増殖が促進されるタイプの乳癌には、ホルモン療法がなされる。その治療には、エストロゲンを減少させるようなホルモン剤や、抗エストロゲン作用を持つ薬剤を使う。
包交(ホウコウ) 包帯を交換すること。
縫合(ホウゴウ) 持針器で糸を通した針を把持し、組織を縫い合わせる。
放射線照射 放射線の照射方法には、身体の外から放射線を照射する外部照射法と、密封した小さな放射線源を身体の内部に入れて照射する密封小線源治療がある。
放射線抵抗性 何らかの原因によって放射線の感受性が低下すること。
放射線誘発癌 放射線の被爆によって、ある一定の潜伏期間後に、発癌の誘発されること。
放射線療法 放射線の高いエネルギーを使って、癌細胞の成長・増殖を阻止する治療法。これに用いられる線源には、X線、癌マ線、電子線が用いられている。また陽子、中性子、π中間子、重イオンなどの粒子線が臨床研究の段階に入っている。
放射能 放射性物質が放射性崩壊によって、α線β線γ線といった放射線を放出したり、自発的に核分裂を起こしたりする性質をいう。
膀胱造影 造影剤を尿道から膀胱内に注入して、膀胱のX線写真を撮る検査法。
マ行
マイクロサージェリー 顕微鏡下で局部を数倍に拡大し、それを見ながら行われる手術。脳腫瘍の手術に多い。
マクロファージ 白血球の一種の単球で、マクロファージは、好中球と同様に、微生物や老廃物などを取り込んで破壊する能力を持っている(貪食能)。白血球の一種で、単球という。
マンモグラフィ 乳房専用のX線検査。触診で感じられないような小さなしこりや、石灰化した部分が見つかることもあり、早期発見には欠かせない検査。
麻酔 麻酔は、局所麻酔、腰椎麻酔、硬膜外麻酔、全身麻酔、NLA麻酔などがある。局所麻酔は、キシロカインなどの局所麻酔剤を局所に直接注射して麻酔する方法である。腰椎麻酔は、腰椎の椎間から穿刺し、脊髄腔に麻酔剤を注入する方法である。硬膜外麻酔は、腰椎の椎間から穿刺し、硬膜外に麻酔剤を注入する方法である。全身麻酔は、麻酔剤を吸入させたり、静注したりして、意識を取って麻酔する方法である。NLA麻酔は、鎮痛剤と鎮静剤を静注して、意識を取ることなく、除痛する方法である。
末梢型肺癌 ⇒中枢型肺癌
ミ行
ミエログラフィ 脊椎に針を刺して造影剤を入れ、撮影する検査法。
ミオパチー 主として骨格筋を侵す筋疾患の総称。遺伝性のもの、代謝性のものなど、色々な原因によって起こる。
ミサイル療法 化学療法の一種で、抗体に抗癌剤を結合させて、直接腫瘍を攻撃する治療法。
密封小線源治療 線源を置く場所により、組織内照射法と腔内照射法の二つに大きく分けられる。⇔組織内照射法、腔内照射法
未分化癌 癌であることは分かっていても、腺上皮または扁平上皮への分化傾向が認められず、病理形態学的にその細胞起源をまったく把握できないものをいう。⇔分化癌
ム行
無菌室 空間から微生物を完全に除去するか死滅させ、無菌状態になっている個室。無菌室は、一方の壁に空調装置がされており、そこから出る空気は清浄化されている。
無作為 調査を行う際、客観的な評価をするために、調査人の作為が入らないように、乱数表などを用いて、標本を抽出する方法。
メ行
メス メスは皮膚などを切開するのに使う刃物で、刃先が円になっている円刃エンシンと、とがっている尖刃センシンの二種類がある。さらに、切開サイズに合わせて使いやすいように、メスにも大小がある。
メタアナリシス(メタ解析) あるテーマに関して、1つの結論を導き出すために、質の高い小規模研究を集積し、総合的評価をする統計解析方法。
メラノサイト=メラニン細胞 表皮の基底細胞の間に散在し、メラニン小体をもち、メラニン色素を生成する。
モ行
モルヒネ 麻薬性鎮痛薬。ケシの未熟果中に含まれ、アヘンの主成分をなすアルカロイド。
盲検法 薬剤などの治療効果を判定する際、被験者が薬剤の効果を知っていたり、医師が薬剤を投与された被験者がどの人であるかを知っていたりすると、薬剤の効果を客観的に評価できない可能性がある。そこで、被験者が真薬を投与される群に属しているか、偽薬を投与される群に属しているかの情報を被験者や観測者である医師に知らせないことにより、偏見による誤差を生じないように調査を行う方法。*二重盲検法
問診 患者およびその近親者から、疾病に関する過去の歴史、現在の症状、その経過、家族の状況など広範囲にわたり十分聴取し、正しい病歴を作成し、診断の根拠を得る診察時の手段。
ヤ行
薬物起因性 薬物によって発症することをいう。
薬物療法 薬物を使って行う治療をいう。
ユ行
有意差 調査や観察により得られたデータが、統計学的に意味のあるものかどうかをいう。
有意差検定 調査や観察により得られたデータが、統計学的に意味のあるものかどうかを検定すること。
有病率 ある集団内のある調査時点、機関でのある疾病を有する者の数の、集団人口に対する割合をいう。
輸液 水分、電解質、栄養素などを静脈から投与する方法。
ヨ行
養子免疫療法 患者の自家血に含まれる、腫瘍を攻撃するキラーT細胞を大量に培養し、それを再度患者に戻す治療法。
予後 疾病の経過および終末を予知すること。
ラ行
ライナック 放射線照射を行う装置で、X線を照射する。
ラジオイムノアッセイ 放射性同位元素を用い、抗原抗体反応を利用した物質の微量測定法である。測定しようとする物質を放射性同位元素で標識し、それに対する抗体との結合を、試料中の物質が競合的に阻害する割合を放射能計数により算定し、試料中の物質の量を推定するものである。
ラミブジン(lamivudine) エイズ治療薬として開発された逆転写酵素阻害活性を持つヌクレオシドアナログで、B型肝炎においてもウイルスの増殖と壊死性肝炎の活動性抑制に大いに有用である。最近、C型肝炎ウイルスにおいても有効であるとする報告が出ている。
卵巣欠落症状 月経が正常にある人が、両則の卵巣摘出した場合に、手術後2〜3週目から現れる、のぼせ、めまい、肩こり、動悸、関節痛、いらいら感などの更年期のような症状。
リ行
リザーバー 癌の抗癌剤動注療法のとき、標的臓器の近くの動脈まで挿入されたカテーテルの末端に接続して、反復して抗癌剤を注入できるように工夫された容器で、皮下に埋め込まれる。
リスク ある病気が起こる危険性をいう。
リスクファクター ある病気を起こす危険因子。例えば、喫煙は肺癌のリスクファクター、というように使う。
リピオドール ケシ油のヨード化エステルからなる油性造影剤。肝細胞癌のときなどに、肝動脈に進めたカテーテルからこれを注入し、CTを撮影して患部を診断したり、抗癌剤と混ぜて注入して、患部を治療するときに使用される。
リンパ球 白血球の一種。骨髄に由来するリンパ球系幹細胞が、胸腺で分化成熟したTリンパ球と、ブルザ相当器官の影響を受けたBリンパ球の二つの亜群に大別される。
リンパ組織 リンパ組織は、リンパ球を含んだ透明のリンパ液が流れるリンパ管と、リンパ節でなりたっている。リンパ節は、扁平な楕円形の器官で、全身に分布し、リンパ球の分化成熟と貯留に関係している。
リンパ浮腫 手術によってリンパ節が切除され、リンパ液の流れが悪くなると、リンパ浮腫(むくみ)が生ずる。
リンホカイン サイトカインの一種で、細胞間の相互作用を調節する物質。
罹患率 ある集団内で、一定期間中にある疾病に新たに罹患した者の数の集団人口に対する割合をいう。
硫酸モルヒネ徐放錠 ⇒MSコンチン
粒子線 電子、陽子、重陽子、ヘリウムイオンなど荷電粒子を加速し得られる高エネルギー粒子の流れ。
粒子線治療 陽子や重粒子などの粒子放射線のビームを病巣に照射することによって、主に悪性腫瘍を治す放射線治療法の総称。利用する粒子の種類によって、速中性子線治療・陽子線治療・パイ中間子治療・重粒子線治療などに分けられる。
臨床診断 病理剖検などによる病理学的診断に対比して、普通の診断検査法で下した診断。
レ行
レーザー療法 レーザーは、エネルギー密度が高く、しかも向かう方向が一定している光線です。癌組織がレーザー光線で加熱されると、蛋白変性、乾燥、炭化という過程を経て焼き切られます。
ロ行
濾出液 血液中の液体成分の一部が、濾出作用によって組織間隙や体腔内に出たもので、本質的には組織液またはリンパと同一性状のものである。 ⇔滲出液