SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER準備号第1号

「関心の高さを実感!」

話してきましたNGO説明会

 東京事務所の市川さんから、私の職場に時々電話がかかってくる。そんな時はたいていお願いごとだ。まあ当然ですよね。で今回の用件は「今度、NGO活動推進センター(略称JANIC)が市民向けのNGO説明会を企画してるんだけど、SVAには誰かボランティアを出席させてほしいと依頼があったんですよ。そこで白石さんにお願いしたいんです。」それに対して私は「ボランティアは他にも沢山いるんじゃない。」市川「そこはボランティアの父の出番ですよ。」ということで、もともと出たがりの私は簡単に引き受けることになったのだ。

 ところが、それからが大変!まず、JANICの岩田さんという方から電話が入り、事前にインタビューをしたいとのこと。女性からの電話だったのでいそいそと出掛けていったら、何とJANICの若い学生ボランティアが6人も同行してきた。これですっかり舞い上がり、ついついボルテージが上がってしまうという悪いくせが出てしまった。

 8月20日の数日前にはファツクスで当日のシナリオが送られてくるというおまけまでついて、「これは気やすく引き受けるのではなかった。」という自戒の念がふつふつと沸き起こる。おまけにSVAからは当日誰もスタッフが来ないという。さらに、新聞報道などでの反応がよく、8月のお盆明けすぐ、夏休み中というイベントをやるには最悪の時期なのに300人以上が参加申し込みをしているという。    

 当日は土曜日、蒸し暑いなかを道に迷いやっと辿り着いた会場はすでに人が溢れ、テレビ局のクルーが走り回ってインタビューをしている。とまらない汗をふきふき、さつそくパネル討論の打ち合せに入ったが、メンバーは6人。スタッフとして、日本国際ボランティアセンター(JVC)の長野広美さん、この人は外資系証券会社のキャリアからの転職で東京グリーンウォークの実行委員長として勇名をはせた方である。シャプラニールからはこれまた有名な坂口和隆さん、若い世代からはヒマラヤ保全協会の上杉円さんとアムネスティ日本支部の岩井信さんの二人だ。因みに岩井さんとは高校の同窓生だつたことが判明、神奈川国際交流協会の荻村さんやシャプラニール、JVCなどにも同窓生がいるという。そして、ボランティアとして幼い難民を考える会(CYR)の青野知恵美さんと私という構成だ。圧倒的に私が年長者である。

 当日の集まりは「NGO座談会・NGOの正体がわかる!こっそり教えますNGOのおもしろ体験談」というタイトルで、NGOの活動に関心を持っている市民にその活動内容を紹介しようというものだ。したがって、参加者の意識はある程度高いというか、それなりに基礎知識のある人たちだと思う。やや女性が多いが男性も結構来ていたし、10代から70代までと幅も広く、NGOへの関心の高さがそれだけでも感じられた。

 初めにJANICから各NGOについての概略説明があり、その後6人によるパネル討論を行なった。タイトルは「私はこうしてNGOに関わった/スタッフ、ボランティアに聞く体験談」、つまりそれぞれの体験とNGOについての説明をし、NGOの実相を知ってもらおうという企画だ。内容は省くが特徴的だったのは、出席した6団体はどこもまだまだ「発展途上」であり、若々しさが溢れているということだ。逆にいうと、経験や組織にまだまだ未熟な面も多いということでもある。それでも、これらのNGOがカンボジアでは自衛隊よりはるかにちゃんとした活動をしているという事実をどう受けとめるのか。また、NGOの足腰を強めるための基金と人材確保が焦眉の課題ということも浮き彫りにされた。でも、パネラーの若い人たちの気をいっぱいにもらえて、参加しがいがあつた。

 さて、最後にパネラーが一人ずつ分かれて、そこに参加者がそれぞれ集い質問するという企画が用意されていた。一人、おじさんのところには誰も来ないのではないかという懸念とは裏腹に数十人が私の周りに集まってくれた。で、質問はというと次のように分類される。

 1.SVAに就職したい。この質問が一番  多くて4〜5人、それも全部女子学生。貧困とスラムについて活動したい、窯業に従事したい、語学が必要と書いてあるがどの程度が要求されているのか、アルバイトでもいいからスタツフになりたいなど、まさに就職説明会の趣だった。しかし、私はSVAのスタッフでも採用担当者でもないので、ともかくSVAに直接コンタクトしてほしいと答えておいた。

 2.SVAの活動をもっと知りたい。このなかで目立ったのは宗教団体との関係だ。一応SVAの経過と現状を説明したが、やはり宗教団体そのものと思っている人が多かったように思う。次は活動の内容と自分たちが何をしたらいいのかという質問だった。これについては、緊急援助、ものをあげるという援助から、自立支援の援助そして相互の交流へと段々移っている、これからは国での開発教育や日本そのものの捉え返しという活動が大切ではないかと力説しておいた。   

 3.NPO制度について知りたい。これからのNGOにとって基金づくりが重要でありその観点ではアメリカで採用されてるNPO(非営利公益団体)制度の導入が必要であるという私の発言への関心だった。このことについては後日改めて報告しようと思う。

 4.その他。これはなかなか傑作で、例えば「私は18歳、これからどんな人生を過ごしていつたらいいのでしょうか。」「美味しいタイ料理のお店を教えてください。」などの質問もあった。

 こんな感じで土曜日の午後1時から6時までのガイダンスが終わった。女子大生への就職案内とボランティア志願者へのアプローチというのが特徴だったように思うが、SVAの全権大使となろうとはつゆ知らず、気楽に引き受けたわりにはハードな集まりだった。いただいた交通費は当日の打ち上げにカンパさせていただき、会場を後にした次第。教訓は、「市川の甘い誘いにのるな」でした。 

(白石 孝)


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