SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第6号

「タイ風料理を食べる会」に参加して


 料理を通じて国際理解を深めようと2月17日、「タイ風料理を食べる会」が駒込駅前の社会教育会館で開かれ、20数名がなれない手つきでタイ料理に挑戦した。
私はタイ料理が好きと言うだけの理由で、職場の友人である白石さんから声を掛けられ、何も知らずにヒョイヒョイと出かけていった。

 この集まりが、SVA入門講座「UP DATEコーナー」の一環で行われていることや、白石さんがみんなから“クッキング・パパ”と呼ばれていて親しまれていること、また、だいたいからしてSVAとは一体何をしているところなのかとか、その事務所が巣鴨にあること(因みに私は田端在住)などなど、これらを実のところ私はすべて後で知ったのである。だから、料理も一段落したところで行われた自己紹介のとき、みんなの話を聞きながら、何も知らずに食い意地だけで参加してしまった自分に内心で赤面してしまった。

 それはともかく料理の方だが、私たちがこの日挑戦したのは「ゲーン・ソム」「ヤム・ウン・セン」「パッタイ」そして「サーク・ンゴ」の4品。

 先ずは、スープの「ゲーン・ソム」。タイ風料理でスープといえばトム・ヤム・クン・が有名だが、これを初めて食べたときのショックは相当なものだった。それまで味わったことのない種類の辛さが脳天まで突き抜けたかと思うと、次の瞬間にはもう額に汗がべっとりと噴き出していたあの経験は強烈だった。辛さもさることながら酸味の効いた独特の香りに、以来すっかり魅了されてしまった。

 タイ・スープの基本だというこの「ゲーン・ソム」を作りながら、その独特の風味の種明かしができた。カーというタイしょうがや、タックライというレモングラス、バイ・マックルーというこぶみかんの葉(木の葉を半分に折り曲げた途端になんともいい香りがする)や、パクチーの根という香菜(この日の香菜はきっと大分日が経っていたのだろう、あまり香菜らしい香りはなかった)、これらをベースにナムプラー(タイ醤油)やマナオというタイレモンで味を整え、ビッキヌーというタイの青唐辛子を入れると、もうすっかりタイ料理のスープになっていた。具は、この日はイカやセロリ、キャベツなどを使ったがなんでも構わないという。

 次が「ヤム・ウン・セン」。春雨を使ったサラダなのだが、要はナムプラーとマナオのドレッシングがあれば「ゲーン・ソム」のときと同様に、材料はなんでもいいそうだ。事実、わが家ではこれにビッキヌーをたっぷり加えて有り合わせの野菜だけでも、結構美味しくタイ風サラダを楽しんでいる。

 次がビーフン炒めの「パッタイ」。このパッタイも私が大好きなタイ料理の一つなのだが、講師の白石さんもいっているように本当にこれは店によって味が違う。だから、自分の好みにあった美味しいパッタイに出会うと本当に嬉しくなる。そういえばタイで食べたパッタイも本当に美味しかった。この料理教室の後、家でこの日と同じセンレックというビーフンを使って作ってみたのだが、センレックを戻しすぎたのか、スープを入れすぎたのか、とにかくセンレックが柔らかくなりすぎてビーフン炒めというより、団子炒めといったあんばいになってしまった。そこら辺の加減が結構難しい。

 最後に「サーク・ンゴ」。タイ料理のデザートに出てくるココナッツ・ミルクにタピオカノはいったやつだ。これにランプータンという缶詰のンゴを入れて食べるのだが、これが結構甘い。でも辛いものを食べた後は、これを食べるとほっとする。

 こうして、ともかくも私たちはこれら4品を無事に作り終え、まずまずの味の出来映えに一同で喜び合った。私にとっては、何よりタイ料理の旨味のからくりを知ることができたことは大きな収穫だった。最も、そのことで私の中にどれほどの国際理解が深まったのかがはなはだ自身がないけれど、ただ多くの若い方々がアジアに眼を向けて様々のボランティア活動に携わっていることを知っただけでも、私には大きな勉強になった。

 また、この日は終日東京の街には雪が降りしきり、窓の外の雪景色を見やりながらのタイ料理づくりは、なんとも奇妙で、貴重な体験ではあった。

 もう一つ、私の家では産直で届けられた野菜しか使わない生活を長い間続けているものだから、料理に使える野菜はいつもきわめて限られていて、この日のようにバラエティーに溢れた料理を作るわけにはなかなか行かない。しかし、有り合わせのものでも構わないというタイ料理のおうような部分にはずいぶん救われる。なぜかって、わが家ではスパゲティを食べるにも、ナムプラーとビッキヌーがありさえすれば、そこに少々のにんにくを加えるだけで、みんなが喜ぶ立派なランチになるのですから。

(木佐美 祥治)


里程標内容SVA東京市民ネットワーク