SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第4号

図書紹介

居林昌宏

地雷に浮かぶ国(朝日新聞社)

P・デービス著、N・ダンロップ撮影 名倉睦生 訳
1995年8月
定価:680円

 この「地雷に浮かぶ国カンボジア」はSVAのプノンペン事務所長であった名倉睦生さんが、我々には日頃あまり縁のない地雷の問題を考えて欲しいという思いからこの本を翻訳されました。

 この本はまさに「地雷」をテーマに書かれたものです。地雷が悲惨なもので多くの問題を抱えているということくらいはわかるのですが、この本を読むとこれほどまでに悲惨で、多くの根深い問題を抱えているのかということが書かれています。実際に地雷の被害にあった何人かのカンボジア人の悲惨な状況を克明に描く部分では、読みながら何度か気分が悪くなることがありました。

 また、「地雷」を切り口に様々な問題に焦点を当てています。地雷の被害にあい、手や足を失ってしまったカンボジア人たちの人権や差別の問題や地雷をカンボジアに送っていた諸外国の責任問題などについても書かれています。

 復興に向けて立ち上がったカンボジアに対して立ちはだかる「地雷」は、これからのカンボジアを背負う若いカンボジア人、特にそれも働き盛りの男性の手足を奪い、田畑や森、そして大地を奪い、安全に歩くことさえままならない状況にしてしまいました。
この本は日頃感じない様々な視点や問題を投げかけてくれると思います。ぜひ読んでみてください。


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