SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第2号

映画紹介

ムアンとリット教えられなかった戦争


ムアンとリット

  この映画は、タイで女性が『水牛』と形容されていた時代に生まれ、そして 恋をし、「どうして自分の意志で好きな人と結婚できないのだろう」という素朴な、そして当たり前の疑問から女性の人権のために戦った『ムアン』とその夫『リット』の生涯を描いたものです。 ムアンの凄いところは、当時時代背景としてヨ−ロッパには『人権』と言う概念が生まれつつありましたが、タイにはまだそういった時代の流れは来ておらず、しかもごく平凡な一農村に生まれた彼女の周りに女性が虐げられていることに疑問を持つ者すらいなかった中、孤軍奮闘したところにあると思います。また、ふたりのラブ・ロマンスも見逃せません。ムアンが親の決めた結婚相手と結婚しようとせず拷問を受けるのですが、その時「あなたがいてこそわたしがあるの」「おれもだ」と叫びあう二人の姿。きっと感動せざるを得ないことでしょう(実は『ムアンとリット』を演じる二人は実生活でも夫婦。ことにムアンことチャンタラ−・スカパットは東南アジアでナンバ−ワンの人気を誇るトップ女優です。複線として知っていれば数倍楽しめるかも。)。 なにはともあれはやく劇場へ足を運ぶことです!


教えられなかった戦争

フィリピン編  侵略・「開発」・抵抗

 「日本の財閥は既に20世紀初頭からフィリピンに進出し、住民との間にトラブルを起こしていたが、これらのトラブルは太平洋戦争でフィリピンを支配することで解決している。実は、日本の侵略戦争は当時の財閥の経済的利益によって押し進められた」

 戦争当時の経済侵略を明らかにしながら、侵略戦争の構造的な原因を探り、そして「開発」の名で現在も続く「第二の侵略」を描いた映画です。

★ビデオもあります(問い合わせ先 映像文化協会 tel.045-981-0834)

 映画スタッフを「開発」の行われている地域に案内してくれた現地NGOスタッフのジョーさんは、日本人スタッフが日本に帰国した後、虐殺されたといいます(映画にでてきます)。フィリピンでNGO組織に関わるということは生命をかけてのことで、まだまだ戦争は終わっていないことを思い知らされました。私たち日本人は今、日本が行っている事実に目を開いていく責任があると感じました。

(河口)


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