SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第19号

多文化探検隊に参加して

野村修一

 石原慎太郎都知事が行う、自衛隊を使った大がかりな「防災訓練」は事実上の治安出動訓練だとして、多くの文化を抱える人たちが共生できる社会を考えていこうという趣旨のもと開催された多文化探検隊。SVA東京市民ネットワークのメンバーにも関わっているひとがいるということもあり、いくつかのイベントに参加してきた。

知って得する入管行政の基礎〜石川えりさんのお話

 10月から始める仕事で外国人の事件にかかわることも多くなりそうなので、入管行政の実態は知っておかねばと思い、受講を申し込んだ。

 日本の入管の問題点として石川さんは、入管当局の裁量が過度に大きいこと(シュワルツネッガーだから特別に入国を認めたという例など)、長期にわたる収容、誰でも彼でも収容(乳幼児が通学途中にいきなり収容され、1年間収容された例もあるという。)、権利を求めて争っている途中での収容(難民認定申請途中での収容)、それに、収容施設が外から監視されず、施設内で暴行が行われても何が行われたか分からない点が問題であると指摘されていた。そして、改善策として、国際的な視点からの制度のチェック、、外国人の人権保障の観点からの国会議員のチェック、自分自身が排外意識を持っていないかのチェックを挙げられていた。

 入管というところが一種のブラックボックスになっているのは早急に是正しなければと強く感じた。

新宿へようこそvs"Japanese only"

 在日外国人ジャーナリスト、トニー・ラズロさんのお話し。つい最近北海道へ行って、外国人の来店お断りという店が多くある町の実態を調べ、そのようなことをなくすよう抗議してきたという。ラズロさんらの作っているグループが特に問題にしているのは、familyで使うレストランなど。日本人と外国人の夫婦が子ども連れで入ろうとすると断られた時に、子どもに対しなぜ入れなかったのかを説明するのがつらいという。また、最近、北海道で、市内飲食店の組合で外国人お断りの看板を作って市内飲食店の約半数で掲げている事例や、市の補助金を受けて運営している公衆浴場で外国人用浴場と日本人用を分けている例について実態調査と抗議申し入れに行った際のことを話されていた。入浴や飲食のマナーなどについて、習慣が違うからと外国人を直ちに排除せず、地道に教えていく方法をとるべきではないか、また、より一般的には、いろんな文化が存在するということをお互い認めあっていくことが多文化ということではないかというお話しが印象的だった。


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