SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第19号

新宿区多文化探検イベント
区役所を遊ぼう

 8月24日木曜日。私は時間に遅れることなく集合場所である新宿区役所本庁舎の正面玄関前にたどり着いた。それらしき集団に、他文化探検のパスポートをチラつかせながら近づいていくと、向こうから声をかけてくれた。

 パスポートには定員20名とあったこの企画。平日の午前中に果たして何人集まれるのかと思っていたが、10人ほどの人が参加した。

 集合時間を過ぎ、敢えて事前に情報を仕入れていなかった私は、ここにきて初めてこの企画が区役所のそれぞれの部署で職員の方に説明を伺うものだという事を知った。

 まず玄関にある「平和の灯」と「平和の泉」「平和祈念像」の説明を聞く。ひとしきり説明を聞き終わったところで、参加者の1人がそれらの総工費を尋ねると、職員の方は記憶をたどるようにしてだいたいの数字を答えていた。それにつづき私が「区民から苦情があったりするのですか」と尋ねると、それまでとは一寸違った口調で答えてくれた。実際苦情はあるという。特に京都で地球温暖化についての国際会議があったときなどは、「平和の灯」がCO2排出の話題に絡んで読売新聞にも取りざたされたそうだ。だが、実際これらが環境に与える影響は微々たるもので、なにより平和になるまでこの灯は消せないのだと説明しているという。まるで私が苦情を申し立てたかのように答えてくれた職員の姿から、平和に対する強い意志が感じられた。

 正面玄関から中に入ると左側に受付と相談コーナーがあり、英語、中国語、ハングルで表示がある。右側には外国人登録、住民票、戸籍などを扱う窓口が並ぶ。そこで外国人登録係の方に話を聞いた。

 新宿区の平成12年7月現在の外国人登録者数は全部で23,252人で、そのうちの7割以上を韓国、朝鮮、中国が占めるという。この日は比較的空いていたこの窓口は、日頃1時間待ちはざらだそうだ。

 2階へ上がると全フロアが福祉部で、新しくできた介護保健課が結構多くのスペースを占めている。ここでは福祉課の相談係の方から話を伺った。

 相談室という個室が6部屋あり、地下にはシャワー室もある。ここに来る人は土日に食べられないことが多いそうで、月火曜日が混むという。

 3階の企画部、総務部を通り越し、4階へ上って福祉部保育課の方に話を聞いた。ここでもやはり英語、中国、ハングルのしおりを用意している。

 最後に5階の区議会で、強めの冷房を気にしながら職員の方も滅多に来ることがないという議場を見学。議長席で記念写真を撮って全行程を終わる。

 約1時間半という短い時間で区役所の本庁舎を下から上まで見て回ったわけだが、私のような非社会的人間の社会参加プログラムとしてはうってつけだった。ただ、私自身は新宿区民ではないことからピンとこない部分もあったので、地元の参加者が多ければもっと面白かったのではと思うと同時に、私のように新宿区に何のかかわりもない人間が参加できるこうしたイベントも重要であると感じた半日であった。



里程標内容SVA東京市民ネットワーク