SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第13号

図書紹介

「NGOが変える南アジア 〜経済成長から社会発展へ」

斎藤千宏編 コモンズ出版

 この本は、社会発展の文脈のもと、南アジアという舞台において地元のNGOが果たしてきた役割について、実例をもとに考えるという目的で書かれています。

 NGOは貧しい住民が経済的・政治的な力をつける(エンパワーメント)うえでどの程度の効果を上げているのか、そのために政府とどのような関係を築いているのか、住民は市場システムとどう折り合いをつけて生計を改善できるのかなどを探っています。

 この「まいるすとーん」を読まれている方は、日頃SVAをはじめ日本の国際NGOに興味関心を持ち、その活動内容も見聞きすることが多いかと思いますが、この本に出てくるNGOは南アジアの国々の人々による南アジアの国々のNGOで、いわゆるローカルNGOです。

 豊かな国日本が、貧しい国々南アジアに援助、あるいは国際協力するというこの現状は、これを読まれるみなさんもよくご存じかと思いますが、貧しい国々の人々による貧しい国々のローカルNGOの活躍はひょっとするとその存在すら知らない方もいらっしゃるかもしれません。

 この本は、そんな方には特にお薦めできる本かと思います。この本では、南アジアの国々のNGOの活動が、詳しく、わかりやすく、また活動をとりまく背景や現状も詳しく書かれており、初めて読まれる方にも読みやすいように書かれています。

 この本は7人の執筆者がそれぞれ書いた7つの章から成っていてひとつひとつが完結しているため、興味のあるところだけでも読むことができます。7つの章のタイトルと執筆者は以下の通りです。

1章 参加型開発とNGOが地域を変える          斎藤千宏
2章 住民によるスラムの改善(スリランカ)        穂坂光彦
3章 イスラームと農村開発(パキスタン)         子島 進
4章 NGOとエンパワーメント(ネパール)        定松栄一
5章 NGOの発展を支える在地性(バングラデシュ)    安藤和雄
6章 住民参加による森林の保全(インド)         長峯涼子
7章 女性の社会参加と開発                穂積智男

(居林昌宏)


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