SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第13号

SVA総会出席報告

新たな法人としての意欲をかいまみる〜

野村修一

 久しぶりにSVAの総会に出席した。総会は、SVA事務局が全体としてどういう動きをしているのか、またどういう考えで物事を進めようとしているのかが、大雑把にではあるがまとめて聞けるよい機会である。会員の方は是非1度は出席してみてはどうかと思う。40人強という参加人数は寂しかったし……。

 全体としては、経済的苦境の中を模索しながらも、法的責任を負い、社会的責任が増す存在となるのを機に積極的に社会に打って出ようという気概が静かにながら示された、という印象を受けた。会の流れは以下のとおりである。

・基調報告〜社会的責任にたえうる団体作りと財政の自立性の確保が急務

 総会が行われたのは6月6日、場所は東京・お茶の水のYMCA国際奉仕センター内の学生ホール。会長のあいさつの後、議長、署名委員の選任といった手続が踏まれ、引き続いて有馬専務理事からの基調報告に入った。

 まず触れられたのは社団法人化のこと。ここ数年来の課題である。法人化は予定よりも遅れたが、98年度の早期には実現しそうとのこと。法人格取得に伴い社会的責任が生じること、支援者に対する情報公開を進めるために経理や意思決定の透明化が課題となっていることを強調されていたのが印象的だった。

 また、現在の経済状況下でNGOが苦しい運営を強いられている中、外務省内でNGOに対する種々の協力体制を整備しようという動きがでてきているが、こうした動きをただ歓迎するばかりでなく、団体が自主性を維持するために自己資金率を高める必要があることが強調された。具体的には、公的資金への依存度を40%以下とするという目標の達成を本気で考えるべきということだった。外務省と折衝していく中で、財政の自主独立性を保つことの重要性を強く感じられたのだろうか。

・事業報告、会計報告と事業計画

 事業報告等については、紙面の都合上省略させていただく。

 事業計画では、「文化・教育支援」をさらに押し進めるため、新たにチャイルド・サポーター運動が提唱された。これまではプロジェクトの遂行・維持に専ら目が向いていたとの反省から、子供たち個人の状況にどんな変化が生じたかなどの面をも伝えていこう、また、逆に支援者の具体的活動を現地に伝えていこう、さらには支援者相互のネットワークを作っていこうとするものである。これまでのプロジェクトとの整合性など問題は残るが、単なる募金の域を越えて、また国境を越えて社会を変革していこうという意欲的試みではないか。具体的方策はこれからということだが、企画の打ち出し方によっては新たな範囲の支援者を獲得する強力な道具となるだろう。


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