SVA東京市民ネットワークNEWS LETTER「里程標」第12号

NPO法案参議院漂流記

 NPO法案とは

 NPOとは、Non Profit Organization(非営利組織)の略である。市民が、自分たちの経済的利益のためではなく、自主的に活動する団体のことをいう。このNPOに法人格を与えることによって、市民活動をしやすくしようというねらいで現在国会で審議されているのが、NPO法案である。私は、縁あってこの与党案の提案者の1人である辻元清美という国会議員の下でアルバイトをすることとなり、この法案の国会審議にもタッチすることとなった。

 火の輪その1〜臨時国会で継続審議に

 NPO法案の与党案である市民活動促進法案は、私が働き始めた昨年11月には既に衆議院は通過していた。既に与党3党での合意ができている以上、前臨時国会で参議院を通過して成立する・・はずだった。

 ところが、辻元議員に自民党の加藤幹事長から相談が。自民党参議院のM議員が、「市民」という名前は気にくわんと言っているので、法案名を変えてくれという。

 何という時代錯誤。「市民=反体制」というイメージがこびりついているようだ。それに、この法案は与党3党の合意を得ているもののはず。自民党に怒ると、参議院は別物だという。ヤレヤレ。おまけに、何点か修正要求も出してくる。こちらも簡単には応じられないが、何点かの修正を参議院で行うことに合意した。ところが、今度は平成会(当時)が審議拒否。何と、介護保険法案とNPO法案をバーターで取引する密約があったのに、自民党は密約を踏みにじったというのだ。フザケルナ。結局、昨年末の臨時国会では法案の趣旨説明だけして継続審議に。与党間では、今通常国会冒頭で審議、成立させることで合意した。

 火の輪その2〜またまた政局の渦の中に

 年が改まって通常国会が始まると、NPO法案は、1月22日から参議院の委員会で審議入り、2度の審議が行われた。

 ところがその過程で、自民党の委員から、公明の修正要求を検討してみてはどうかとの打診が。どうやら、新進党分裂で、自民党が公明との連携を模索している影響が出てきているらしい。さらに、金融二法が参議院を通過するまでNPO法案の審議はストップするというのだ。またまた政局の道具に使われているのだ。全くけしからん。

 ちなみに、公明などの修正の主眼は、与党案が市民活動法人制度の布教目的、政治目的の利用を制約している点についてのもの。しかし、当該規定は、宗教上の理念に基づいて死因活動をすることや政策の実現を求めることを制限するものではない。現に、国会審議や与党間の話し合いでも、SVAが例に出されて、「曹洞宗の団体も、素晴らしい活動をしている」と言われていた。

 ただ、ほめられるのはいいけど、SVAは曹洞宗がやっているNGOではないはずだが。

 この法案は、いろいろ問題の残る法案ではあるが、とりあえず成立させた上で、改善を求めていくというのが、市民活動促進の早道だと思う。まずは1ステップ、だろう。辻元議員自身もNGO出身だけに成立に必死だ。C’sの人も懸命にロビー活動をしている。なお、国会の動きはC’sのホームページで知ることができる。URLはhttp://www.vcom.or.jp/project/c-s/まで。

(野村修一)

追記:ご存じのとおり、NPO法案(特定非営利活動促進法案)は先の通常国会を通過し成立しました。施行は今年(1998年)12月からです。


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