よく小室哲哉の曲を歌っている人々が言っているのは、「メロディーが覚えやすい」「歌いやすい」ということである。
確かに、彼の曲は覚えやすい。最近の曲は歌いやすい。しかし、ひとつひとつのメロディーがときめきを失っているような気がしなくもない。
TMNの頃の曲は、難しいことが特色だったと言える。細かいフレーズが多かったり、転調が激しかったりした。しかし、それが彼の曲の良さでもあった。難しくても、耳に残るメロディーだった。
今では、カラオケで女子高生に多く歌われている。喜ぶべきだし、賞賛すべきだと思う。ミリオンセラーの常連にもなった。でも、しっくりこない。どうしてなのか。
彼は今でもチャレンジャーである。特に「ユーログルーヴ」などに顕著に現れる。一方で国内向けの方程式めいた職人わざを発揮する。
日本人の耳を教育するのはもう十分だと思う。これからは、もっとプログレッシヴな彼の曲が聞きたい。そして、小室にしか書けなかったというような曲を一曲でも多く書いて欲しい。それが、素人ファンの一意見である。