”青木孝明 & さいとうみわこ 〜 CD発売記念LIVE” レポート

1997年11月2日(日)PM2:30〜 中津(大阪)・ミノヤホール

出演者:青木孝明、さいとうみわこ、伊藤隆博



(曲目)


*** 青木孝明の部 ***

  1. 新しい季節
  2. 僕は君を知っている
  3. サーカス
  4. HERE TODAY
  5. RAIN
  6. 病院のプラネタリウム
  7. ALL AROUND THE WORLD IN A DAY
  8. Every week、Every day、Every hour、Every minute
  9. TRAVELLER
  10. MELODY GO ROUND
  11. 君の名前
  12. ドライヴ

*** さいとうみわこの部 ***

  1. 土曜日のトースト
  2. 悪者になりましょう
  3. NEGATIVE HEART
  4. 桃郷シンデレラ
  5. 恋人はサイエンティスト
  6. LIFE,SHORT OR LONG
  7. how do you love?
  8. 恋人はいつでも
  9. さりげない奇蹟
  10. A GIRL MEETS BOY
  11. LONLEY STARDUST DANCE
    <アンコール>
  12. KISS...
  13. THE FIRST KISS



はるばる来ました、大阪へ。

11/2、私は2ヶ月ぶりにここ大阪の地を踏みしめている。ちなみに、例の友人Tも一緒だ。前回訪れたときは疾風怒濤の如くレコ屋巡りを行い、へろへろ状態で東京に戻ったものだ(^^;今回も、LIVE の後すぐに何軒かまわることになっている。全く懲りない奴等である。

さて、ミノヤホールには開演5分前位に到着した。実はここにくる前にもしっかりと寄り道をしており、直前には梅田WAVEにいたのだった(^^;おお、結構集まっているではないか。目測では20人位はいるような感じだ。
ところで、東京から出向いた我々である。これを読んでる皆さんは、「こいつら出遅れてやんの、バーカ」と思っておられるかもしれない。甘いな、君たち。我々はしっかり前売りをGET しているのだ。友人Tの弟さんが江坂に住んでおり、可哀相にも兄の命令で自分が行きもしないLIVEチケットの予約をさせられていたのであった。でも私にとってはもっけの幸い。おかげで、前から2列目のど真ん中でみることができた。感謝、感謝。

ミノヤホールは、とても小ぶりなLIVEスポットである。キャパは、本日のようにイスを入れると100人にも満たないはず。せいぜい60〜70人位だと思う。友人Tは「ホールというから、でっかいとこなのかと思っていた」などとトボケたことを言っている。さすがの私もそういう発想はなかったぞ、竹中(^^;
内装がまた良い。四方すべてが木貼りなのである。まるでレコーディングスタジオのようで(実際にそのような所にいったことはないが・・・)とてもいい雰囲気を醸し出している。本日のような、小編成のLIVEには絶好の場所ではないだろうか。ただ、ひとつだけおかしかったのが、楽屋とステージが直結していない、ということ。楽屋は、ホールの出入口から外に出ないといけないらしい。そんなわけで、アンコールのときなどは一旦、ステージ向かって右側にあるコントロールルーム(?)にこもる、という苦肉の策を講じていた。



いよいよ開演。まずは、青木さんのSOLOである。

アコースティック12弦を手にとる。「新しい季節」と「僕は君を知っている」を一気に演奏。続いて、エピフォン・リヴィエラ(んっ、カジノ?)に持ち替えて、「サーカス」である。いやー、カッティングのキレが凄い。凄すぎる。参りました、の一言である。
次は、個人的にお待ちかねだった、ピアノ弾き語りである。10/16のときもピアノを弾いていたのだけれど、今回は正真正銘の弾き語りである(あれ、前回も1人で演ってたっけ?う〜む記憶が・・・)。なぜだか、青木さんのピアノ弾き語りは、私の心に訴えるものがある。素朴だから、ピアノが危なっかしいから(すいません(^^;)など理由はいくつか考えられるのだけれども、結局のところ、そもそも青木さんにはソロの弾き語りが良く似合う、ということなんじゃないだろうか。勿論、JET SETの青木さんが良くない、ということを言っているのではない。ただ、どちらが似合うかといわれたら、私ならソロの方と答えるだろう、ということなのだ。
で、「HERE TODAY」と「RAIN]である。ご自分では謙遜しているが、十分ピアノもイケてると思う。確かに、鬼門の「RAIN」では乱れてしまったが(^^;あんなに難しい(とシロートの私は感じた)フレーズ弾くのだから無理はない、と皆も納得だろう。それを補って余りある程、「RAIN」は素晴らしかった。個人的には、本日のベスト曲である。それにしても、「HERE TODAY」と「RAIN]。図らずも、どちらも1960年代中期のBB5とFAB4の同名曲ではないか。「RAIN]は直接の影響をあまり感じさせないが、「HERE TODAY」のほうはいかにも、である。そんなところにも、私はニヤリとさせられたのだった。「PETSOUNDS SESSIONS」は買ったのでしょうか、青木さん?



(ピアノを弾き語る青木さん)


次の「病院のプラネタリウム」からは、伊藤隆博さんがサポートに入る。この曲のみ、青木さんはヴォーカルオンリー。楽器を持たないのはカラオケの時くらい、と結構照れていた。「ALL AROUND THE WORLD IN A DAY」でエピフォンを手にとった後、ラストの「ドライヴ」までアコースティック12弦であった。どの曲もとてもいい。後半の部で印象深いのは、「TRAVELLER]。ギターとアコーディオンの絡み、さらにそこにヴォーカルがのることによって醸し出される温かさ。いつものことながら的を得た表現が見つからなくてもどかしいのだが、今回のLIVEのキーワードは「温かさ」である。我々観客も、そして青木さん自身も多分、このLIVE空間に満ち満ちた、とても上質なぬくもりを共有できたのではないかと思う。久々にLIVEを心から満喫させてもらうことができた。



さてお待ちかね。青木さんがまだ子どもの頃からうたっていたという(そのころまだ伊藤さんは生まれていなかったとのこと・・・さて真相はいかに(^^;)さいとうみわこさんが登場。バックをつとめるのは、勿論伊藤さんと青木さん(最初の2曲は伊藤さんのピアノのみ)。曲目セットは、基本的には前回のQUEの時と同じだが、小編成のアコースティックアレンジであること、および2曲が差し替えられていることが相違点としてあげられる。

今回のLIVEの白眉は、その差し替えられた2曲であった。その1つめが「悪者になりましょう」。そもそも、「歌謡美の女」の収録曲がLIVE演奏されるのをみるのは今回が初めてである。「東京の人」でも過去に演奏されたことがあるのかどうか。当時のCD発売記念イベント(92年10月31日渋谷CDぴあ、ゲスト:鈴木博文氏)では確実に披露されたとは思うのだけれども・・・ただ1回だけ、96年のクィーン・トリビュートのときにカラオケで「エイズの人よ」をうたうのをみたのが、唯一の体験である。
確かに、「歌謡美の女」の曲はオリジナルアレンジだと、まことの歌謡曲〜演歌路線を突っ走ってしまうので、よほど考えて演らないとLIVEの雰囲気を壊してしまうことになりかねない。そういう難しいところがあるから、いままで取り上げる機会が少なかったのだろうと思う。
で、今日のアレンジ。伊藤さんのピアノ1本のシンプルで、それでいてとても味わいのある仕上がりになっていた。まるで別の曲のように感じるくらいだ。うん、このアレンジなら毎日聴けるな(^^;とても良いです。


(左:伊藤さん、真剣なまなざし 右:自分の世界を構築中のみわこさん)



もう1曲は、私が最も聴きたいと思っていたもののひとつである「A GIRL MEETS BOY」だ。なんとこの曲も、8年振り位の披露であるとのことである。
ところで、さいとうみわこ全作品(バンド・プロジェクト名義なども無論含む)のなかでベスト10を選べ、と言われたとする。私なら、1週間かかっても全然絞り込めなくてウンウンうなっていることだろう。ましてや、順位づけはほぼ不可能である。なんたって嫌いな曲がないのだから、全てがベスト10候補になってしまう。困ったものだ(^^;そんな中で、1〜2位を争うであろう曲は何かというと、「BROTHER」であり、この「A GIRL MEETS BOY」なのであった。今日はそんな1曲が聴けただけでも、大阪まで来た甲斐があったというものだ。ちなみに偶然の一致か、「BROTHER」も「A GIRL MEETS BOY」も作曲は和久井光司さんである。ほんとにいいメロディを書くひとであると思う。みわこさんや「東京の人」に限らず、もっと多くの曲作りを今後とも期待したい。
閑話休題。本日の「A GIRL MEETS BOY」は、ほとんどオリジナルテンポに近いアコースティックアレンジ。何しろ8年振りなので、譜面台をにらみながらのパフォーマンスであった。それでも1箇所(「朝を迎えたコテージ〜」の出だしをミスってしまった。残念。リターンマッチを熱望します。エンディングのコーラス部分を再現したフルバージョンはどうでしょうか?


(右:アコースティック12弦をかき鳴らす青木さん)


本編最後の「LONLEY STARDUST DANCE」、アンコールの「KISS...」と「THE FIRST KISS」。この流れは、前回のQUEのときと同じである。でも、本日のアコースティックLIVE、やっぱり一味違う。その中でも、「THE FIRST KISS」。これはしみました。胸の奥まで。これほどジーンときたのも久しぶりのような気がする。伊藤さんのピアノがたまらなくいい。「好きだから本当さ♪」のあとの一瞬のブレイクののち、かけあがるように転調していくところなど、ゾクゾクしてしまう。(注:音楽的素養ゼロの私なので、ウソ言っている可能性大。転調でも何でもないかも(^^;)
もうこうなってしまうと、最高!ということばしか出てこない。語彙不足で申し訳ないが、そうとしか言えない。今年のBEST LIVEはこれで決まりだな、とその時思った位だ。青木さんのところでも書いたが、アコースティックLIVEならではの温かさが何とも心地よかった。何度も繰り返すようだが、大阪まで来てほんとうに良かった。

素晴らしいLIVEをありがとう。みわこさん、青木さん、伊藤さん!

(FIN)


(みわこさん ソロショット)


(1998.3.3)

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