●「となりの山田くん」ニュースクリップ:14
News Clip of "My Neighbors The Yamadas"

1999年9月〜

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2000年10月13日 日刊スポーツ TV放映 

お茶の間映画館 ◆ホーホケキョ となりの山田くん

99年、徳間書店・スタジオジブリほか。高畑勲監督。山田家の人々の日常を描いた4コマ漫画を映画化した長編アニメ。
(ビデオリサーチの調査結果によると、関東圏での「となりの山田くん」の視聴率は9.9%で、視聴率ベスト30(17.4%以上)に遠く及ばなかった)






2000年05月15日 報知新聞  小渕前首相死去

小渕前総理死去 邦画界の損失に山田洋次監督「残念」

 映画「男はつらいよ」の大ファンで「寅さんファンクラブ」の第1号会員だった小渕前首相は、映画撮影中の松竹大船撮影所を何度も訪れていた。同映画を撮り続けてきた山田洋次監督は「滅びゆく日本映画を政治的に救ってくれる人だと思っていた…。とても残念です」と声を落とした。最後に会ったのは、昨年12月に行われた「映画議員連盟」のパーティー。「日本の映画振興を政治的レベルでテコ入れしてくれる人だと思っていた。それができる唯一の政治家だった。今度、直接お話ししたいと申し入れていたところだった。彼の遺志を継いてくれる人が出てくるといいけど…」日本映画にとっては大きな損失となった。

「山田くん」の縁 ジブリ言葉少な
 小渕前首相は昨年4月、東京・虎ノ門のホテルオークラで行われたスタジオジブリ製作のアニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」の記者会見に出席。現役首相が映画の発表に出席するのは史上初めてで、周囲を大いに驚かせた。同映画のゼネラル・プロデューサーの徳間康快・徳間書店社長(77)と30年来の友人ということで実現した。会見場でもキャラクターの「トホホ鳥」を見て「僕に似てるね」と話すなど上機嫌だった。この日、詳報にスタッフの一人は「亡くなってしまったんですね」と言葉少なだった。 (当該記事より抜粋)






1999年12月15日 朝日新聞

「山田くん」が優秀賞

 文化庁の第三回メディア芸術祭賞が十五日、決まった。四部門でそれぞれ大賞一点、優秀賞四点の計二十点が選ばれた。アニメーション部門では、朝日新聞朝刊に連載中の、いしいひさいち作「ののちゃん」(「となりのやまだ君」)をアニメ映画に仕立てた「ホーホケキョとなりの山田くん」が優秀賞に選ばれ、監督と脚本を手がけた高畑勲氏に賞が贈られることになった。授賞式は二月二十五日、東京都港区赤坂七丁目の草月会館で行われる。

 大賞と受賞作品、受賞者は次の通り。(敬称略)【デジタルアート・インタラクティブ部門】「エンターテインメントロボット・AIBO(アイボ)」(ソニー開発チーム、空山基)【同・ノンインタラグティブ部門】「愉快な機械」(岸啓介)【アニメーション部門】「老人と海」(アレクサンドル・ペトロフ)【マンガ部門】「I'm home(アイム・ホーム)」(石坂啓) (当該記事より)






1999年9月17日 日経産業新聞

スタジオジブリ「となりの山田くん」不入り 
初の"挫折"原点回帰促す


 「風の谷のナウシカ」「もののけ姫」などのアニメ映画で立て続けに大ヒットを飛ばしてきたスタジオジブリ(徳間書店のアニメ映画制作部門)が、八五年の設立以来初めての"挫折"に直面している。この夏「スター・ウォーズ」最新作と並ぶ最大の話題作だった「ホーホケキョとなりの山田くん」は配給収入(配収)が制作費の半分程度にしか届かず、事実上、失敗に終わった。徳間にとって試練となったのはもちろんだが、ジブリの「神通力」をあて込みつつ、肩透かしをくらった松竹や博報堂のショックも大きい。(石井一乗)

期待大きすぎ
 「この映画をみて不況を笑い飛ばしてもらおうと思ったんだが、不況の方が深刻だった」−−ジブリの「山田くん」プロデューサー、鈴木敏夫氏は振り返る。映画はまだ一部で上映が続いているが、関係者によると配収見込みは八億〜十億円。ヒット映画の目安が配収十億円とされるためそこそこの水準だが、制作費に約二十億円を投じ、今春の制作発表で徳間康快社長が「配収六十億円が目標」とぶち上げたことを考えると、回収額としては少なすぎた。「期待が大きすぎた」と徳間社長も語る。ジブリは、徳間書店などが八四年に制作・公開した「ナウシカ」の成功を受け、八五年に徳間が中心となって設立した。宮崎駿、高畑勲の両監督によるオリジナルの作品を中心に制作、「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」などで作品への評価と興行的な成功を両立させてきた。

 最新作の「山田くん」はいしいひさいち氏の四コマ漫画が原作。水彩画を思わせる色調の特殊な映像をフルデジタルで制作、作画総数は前作の「もののけ姫」を上回る。冒険活劇やファンタジーを中心とする従来のジブリ作品とはかけ離れているが、「あえて違う世界に挑戦したかった」(鈴木氏)。しかも長年「ジブリ作品=東宝配給」の図式が出来上がっていたところに、松竹が配給権の獲得に成功。映画事業の立て直しを急ぐ松竹の懐も久々に温かくなる算段だった。しかし−−。

ライバルと明暗
「やっぱり広げすぎたかな」。七月十七日の公開から一週間後、ジブリと松竹の担当者はうなずき合った。「山田くん」の上映館は、国内映画館(スクリーン数換算)の一割以上に上る約二百三十館。しかも大型の松竹系一番館群が中心だ。「もののけ」の時、配給元の東宝が用意したのは、実は中小規模の映画館。劇場には人があふれ、「はやっている」との情報が飛び交い、人が人を呼んだ。大ヒットメーカー・ジブリの配給権獲得に気をよくした松竹は劇場を確保しすぎ、かえって「すいている」印象を作ってしまったのだ。結果、松竹は当初八週間で組んでいた公開予定を、一部で五週間に短縮した。

 松竹は同映画で二十五億円の配収をあてにしていた。週一億円の配収が採算ラインである同社にとって「山田くん」の収益は「トントン」(同社幹部)。だが、あてが大きすぎたため同社は九八年八月期の業績見通しを下方修正する方向だ。「もう少しは行くと思ったんだが・・・」とある松竹幹部はため息をつく。

 ライバルの東宝はアニメ映画「ポケットモンスター」の第2弾が配収三十五億円。系列映画館で配収八十億円を見込む「スター・ウォーズ」の最新作も上映しており、手堅く夏の商戦を乗り切った。東映も「鉄道員(ぽっぼや)」が配収二十一億円のロングランとなり、松竹と明暗を分けた。

 「山田くん」の広告事業を担当した博報堂も目算が狂った。同社はこれまで多数のジブリ作品に参画、「もののけ」は電通に奪われたが、「山田くん」で再び電通を退けた。電通が「もののけ」で日本生命と組み、生保レディーに前売り券をさばかせたのに対し、博報堂幹部は「(前売り券を企業などに押し込む)前売り商売に頼らずとも大丈夫」と公開前に自信をみせていたが、もくろみははずれた。「山田くん」の宣伝費は計六億五千万円。「もののけ」とほぼ同額だったが、金融不況の影響で有力スポンサーと見込んだ金融機関から協賛を取り付けられなかったのが響いた。

内容は評価の声
 ジブリはこれまでコンスタントにヒット作を出してきた上、前作の「もののけ姫」が配収百十三億円という邦画史上最大のヒット作。「次は全く違う路線を」との冒険心が働き、松竹の強気の興行計画に色気を出してしまった。「山田くん」の内容には好意的な感想も少なくないが、「次は家族物があたる」と見たジブリの読みは外れたことになる。

「ジブリの原点に戻ろう。これからは子供のための映画をつくっていこう」,。初の"挫折"に直面したジブリの鈴木プロデューサーと宮崎駿・ジブリ所長は最近二人でこう話し合った。二〇〇一年夏には次の宮崎作品のラインアップも計画中だ。徳間社長も「これまで現場には一切口を出してこなかったし、今後もそう」と明言する。

 アニメは日本が世界に誇るコンテンツ(情報の内容)産業。アニメ業界を代表するスタジオジブリが今回の失敗をどう乗り越えるのか。多くの関係者が注目している。 (当該記事より)






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