●「となりの山田くん」ニュースクリップ:13
News Clip of "My Neighbors The Yamadas"

1999年8月

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1999年8月27日 朝日新聞 夕刊広告

空前の大ヒットを記録して・・・ジブリの夏、いよいよ終幕へ!

ホーホケキョ となりの山田くん 人生、何が起こるか、分かりませんっ!

まだのひと〜 はやくみてね!






1999年8月20日 朝日新聞 夕刊広告

満員御礼 大ヒット上映中! ホーホケキョ となりの山田くん

ひとりぼっちじゃなくなりました。

はやくみてね!






1999年8月18日 しんぶん赤旗

アニメーション映画監督 高畑勲さん ありのままの現実を認めるところから前進が

 新聞の四コマ漫画を原作にしたアニメーション映画「ホーホケキョ となりの山田くん」。サラリーマンの山田たかしとその妻、小学生と中学生の子どもたち、それに妻の母という一家五人の生活が楽しい笑いを生んで、好評上映中です。監督の高畑勲さんに、この作品に込めた思いをききました。


 ――映画館で「やらなくてはいけないことをやった」と観客にあいさつしていましたね。監督の充実感を感じました。
 「『ホーホケキョ となりの山田くん』というのは、一種の"憑(つ)きもの落とし"なんです。例えば、恋愛したい若者たちが、アメリカの素敵な恋愛映画を見て、その通りに自分も実現しようと思ったら大変ですよね。理想がヘンに具体的な姿で見えていればいるほど、現実の恋愛に踏み出すことさえむつかしくなる。今、そういうようなことが、いろんなことで起こっていると思います。妙に高いところばかり見ていて自分や他人に不満しかもたない。いったん憑きものを落として、自分や他人のありのままを認めるところから出発すれば、一歩でも二歩でも前進できるはずだ、と」

 ――この映画の音楽を担当した矢野顕子さんに、「癒(いや)し」ではなく「慰め」となる音楽をと依頼されたとのことですが?

俳句がよく合う
 「今、『癒し』という言葉が抽象名詞として特別な意味を持っているようですね。のどの渇きや疲れを癒すのは当たり前のことですが、心を癒すとなると問題が出てくる。癒して普通に戻って、またすぐ落ち込む。いつも癒しが必要になる。ヒーリングミュージックとか、彼岸をのぞき見るような映像や音楽がはやって、それは『癒し』になっているんでしょうが、一種の麻薬を打つように、習慣性がつくだけです。本当に前へ歩き出すための力は与えてくれないんじゃないかなと思うんです」

 ――俳句を織り込んで作品の味わいに深みがあり、おかしさをかもし出しています。この映画にちりばめた俳句は「松尾芭蕉氏や与謝蕪村氏が、山田一家とつき合うなかから生み出した」(プログラム)という説明も楽しいですね。

 「テレビの夜のお笑い番組や、冷酷な人間関係で笑わせようとする日常アニメなど、品性を下劣にしないと笑えません。古典落語の笑いなどに非常にひかれますね。この作品で俳句を使って、自分でもおどろくほど良く合うな、と思ったんですが、日本の伝統的な文化を大切にしたい。人をたのしませ、生きやすくするための文化です。三月に『十二世紀のアニメーション―国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの』(徳間書店)を出し、関連の『絵巻物―アニメの源流』展を千葉市美術館で開いています(9月12日まで)。『十二世紀のアニメーション』というのは、十二世紀に描かれた絵巻物のことなんですが、そこで触れている『伴大納言絵詞』(ばんだいなごんえことば)にしろ『信貴山縁起絵巻』(しぎさんえんぎえまき)にしろ、庶民の暮らしの中に出てくる喜怒哀楽を扱っていて実に面白い。描き手も好奇心いっぱいです。そういう精神、そういうものがたくさん日本にあったということをいろんな形で紹介したいという気持ちがあるんです。俳句もそうです」

リアリティーを
 ――登場人物はほとんど三等身です。実際の人間とはかけ離れた形象でありながら、非常に現実性を感じさせられます。

 「たかしは目が点のように小さいし、首はなく、足は短い。見かけからだけだと、『山田くん』なんかリアリズムは不可能と思われるかもしれない。だけど、『山田くん』は非常にリアリティーを大切にしています。僕は『実感』という言葉を使うのですが、日常の人々の立ち居振舞いの『実感』を出したい、と。漫画は、線で書いたものをそのまま額面通りホンモノとして受け取るわけではありませんね。でも、描かれた線の裏側から私たち日本人のホンモノの姿が透けて見えてくる。それに強い実感を感じるとすれば、それはリアリティーがあるということじゃないでしょうか。

 アニメ界が"くそリアル"に描く方に向かっていますが、いったい何のためか。たいていの場合、現実にありえないことをリアルに描いて、あり得るかのごとく感じさせる。アメリカ映画のCGも多くはそうです。この世には無い快いものを、実際であるかのごとく感じさせるために、非常にリアルに描いていく。それを見ている人は、この世より面白く快いものに閉じ込められて、『この世』の代わりにしてしまう。それではまずいと思うんですね。『山田くん』は、そうした今の傾向に対するアンチテーゼとしてやっているつもりです」

日本が怖い事態に
――つい先日も「火垂るの墓」がテレビ放映され、あらためて平和の尊さを人々に訴えかけました。この夏に寄せての思いはいかがでしょう?

 「新ガイドラインが通されて以来、日の丸・君が代法案、盗聴法も成立。みんな関係あると思うんですよ。そういうものがどんどん無理やり通されていくのを見るだけで、どういう方向に連れていきたがっているかがわかります。ものすごく怖い事態になっていると思いますね。もっと自民党が強かった時にはどれもみんな成立させにくかったようなものです。日の丸・君が代法案に賛成した人たちの中には、反対すると後で後ろ指を刺されちゃいけない、ともかく賛成しとこうという人もいたはずです。自民党の中でも。反対には踏み切れず賛成しちゃう。決定的重要性をもっていると思っていないつもりでやっていることがなだれをうって、国の方向が決められてゆく。『山田くん』のなかで『適当』ということをいっていますが、こんなことに、『適当』は絶対に通用しないと思いますね」
聞き手・児玉由紀恵記者 写真・片瀬 典子 (当該記事より 情報提供・入力:つっし〜さん)


たかはた いさお =1935年三重県生まれ。59年、東京大学仏文学科卒業後東映動画入社。68年「太陽の王子・ホルスの大冒険」を初監督。監督作品に「アルプスの少女ハイジ」「セロ弾きのゴーシュ」「じゃりン子チエ」「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」、「柳川掘割物語」(ドキュメンタリー)など。著書に『映画を作りながら考えたこと』『同・U』など。






1999年8月06日 報知新聞

となりの山田くん(日本語字幕上映)

 上映中のスタジオブリの最新アニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」を耳の不自由なファンにも楽しんでもらうため、東京・上野セントラル(12〜15日)、名古屋ピカデリー(24〜26日)など全国9つの劇場で日本語字幕版が上映されることになった。問い合わせは松竹映画宣伝室(電話03-5550-1589)まで。 (当該記事より)






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