●「となりの山田くん」ニュースクリップ:9
News Clip of "My Neighbors The Yamadas"

1999年5月〜6月

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1999年6月27日 朝日新聞

「となりの山田くん」映画をプロデュース

 アニメ映画「となりのトトロ」を大ヒットさせたのは一九八八年だった。七月中旬に公開される「ホーホケキョとなりの山田くん」を「となりシリーズ第二弾にしたい」と意気込む。

 代表を務める制作会社「スタジオジブリ」で、五年前に映画化の語を切り出した。スタッフたちは「冗談でしょ」と相手にしてくれなかった。朝日新聞連載の原作「となりのやまだ君」の大ファンだった。しかし、高畑勲監督は「読んでません」。スタッフの言い分は「ジブリのイメージじゃない」「長編アニメに向かない」。しかも「やまだ君」の登場人物は、そろって脚が短く、「立ったり座ったりの動作が描きにくい」とも言われた。

 それでも食い下がった。日本人の生活スタイル、望ましい家族像…。原作に込められた奥深さを語り、高畑監督を延々説得。一昨年暮れ、ようやく納得してもらった。

 「この漫画には、日本がなくしかけた『家族』がある。不況とかリストラとか、みんな深刻な顔をした今こそ、ホッとできる作品が必要だ」名古屋市に生まれ、慶大を卒業後、徳間書店に入社した。週刊誌「アサヒ芸能」編集部で「読者の顔を見て雑誌を作れ」と教え込まれた。七八年にはアニメ誌「アニメージュ」創刊を担当。連載した宮崎駿氏の「風の谷のナウシカ」を映画化しで以来、宮崎、高畑両氏と組み、二人をもり立ててきた。

 「二人は友人だけどライバル。お互いに対抗して、次は何をどうやって作るんだろうって、すごい興味がある。

 人物の動きを一層きめ細かく、と積み重ねた作画は十五万枚。やはり自ら手掛けた空前のヒット作「も似のけ姫」を少し上回った。

 今回からディスニー「の出資を受け、全世界での公開をめざす。「欧米人には『等身大の日本人』を見てほしい」文 大脇和明 写真 近藤悦朗 (当該記事より)






1999年6月26日 読売新聞夕刊 土曜芸能

夏休み映画 「スター・ウォーズ」の対抗は?

 いよいよ夏休み映画シーズンが到来する。ジョージ・ルーカス監督の超大作「スター・ウォーズエピソード1/ファントム・メナス」が最大の目玉となっている。話題作や注目作などについて、本紙映画担当記者二人で話し合った。

A 何と言っても「スター・ウォーズ」が話題の中心。どこまで伸びるか。

C メジャー系が直接対決を避けたから、洋画で他に話題作が少ない。正月のヒット作「アルマケドン」級の配収七十〜八十億円ぐらいは行くだろう。

B いや、百億円は超えるのでは。繰り返し見る熱心なファンが多いし、観客が一本だけに集中する最近の「一本かぶり」傾向もある。それに第一作を見た人たちが今は親となり、今度は子連れで行くよ。

A ロマンスがないから女性客を引き付けられないだろう。「タイタニック」はそれがあったから強かった。意外と伸び悩みそうな気がする。

B いずれにしろ、ダントツなのは間違いない。問題は二番手。高畑勲監督「ホーホケキョ となりの山田くん」が、スタジオ・ジブリ作品だが。

A ほのぼのしたファミリー漫画というジャンルはテレビでは成功しても映画では疑問。子供たちも見たがるとは思えない。かなり苦しいのではないか。

C でも「もののけ姫」だってヒットは難しいと言われながら、記録的な大ヒットになった。ジブリのブランドは強力。

B 映画化第二弾「劇場版ポケットモンスター/幻のポケモン・ルギア爆誕」が上回ると思う。ブームは山を越したが、人気はまだまだ根強い。昨年の配収四十億円の三割減としても約三十億円に達する。

C ハリウッドのアニメ大作「プリンス・オブ・エジプト」もお勧め。海が割れる場面は、実写でも通用しそうなCGで、迫力だっぷりだ。主題歌をホイットニー・ヒユーストン、マライア・キャリーが歌っている。ただ旧約聖書のモーゼの物語だから、日本では話題になりにくい。

B スタンリー・キューブリック監督の遺作「アイス・ワイド・シャット」が後半の注目作。全ぼうは明らかではないが、「性」をテーマにした、かなり刺激的な内容のようだ。トム・クルーズ、ニコール・キッドマンのスター夫婦共演も話題を呼びそう。

A ただ、キューブリックの作品は興行的にあまり成功したことがない。遺作となったことがプラスになるだろうか。

C 日本映画では、シリーズ四作目の「学校の怪談4」がなかなか良い。滝田洋二郎監督「お受験」や大林宣彦監督「あの、夏の日・とんでろじいちゃん」もある。東映アニメフェアも手堅いだろう。

B 「スター・ウォーズ」の四百館を始め、「アイズ−」三百館、「山田くん」二百六十館、「ポケモン」二百三十館と、通常の二、三倍規模の拡大公開作ばかり。だから全国公開作は選択肢が少ない。

A 一方で、単館系は個性的な作品がそろった。インドネシアの「枕の上の葉」、イタリアの「踊れトスカーナ!」、イランの「運動靴と赤い金魚」(八月公開)、デンマークの「セレブレーション」など。

B それにイギリスの「マイ・ネーム・イズ・ジョー」、ドイツの「ラン・ローラ・ラン」、スペインの「オープン・ユア・アイズ」も。例年より多彩な国の作品が見られるのが今夏の大きな特徴だ。

C アメリカ映画でもビンセント・ギャロ監督・主演「バッファロー66」があるし、日本の崔洋一監督「豚の報い」も面白い。単館系は本当に粒ぞろいだ。(当該記事より)






1999年6月25日 朝日新聞夕刊 CD新譜紹介

映画「ホーホケキョ となりの山田くん」スペシャルサウンドトラック
よし、ジブリと一緒に作るぞ!


 あの4コマ漫画「となりの山田くん」が、この夏スクリーンデビュー。サントラを担当するのは、映画音楽初挑戦の矢野顕子。「いやし」ではなく「なぐさみ」を。肩ひじはらず、人生を楽しく生きよう、といった監督高畑勲のコンセプトが、音楽で見事に表現されています。あなたのアッコちゃんの遊び心あふれる音楽と戯れ、一息ついてみては。 (当該記事より)






1999年6月16日 日本経済新聞

映画「山田くん」 松竹、公開を延期

 「スター・ウォーズ」との"全面戦争"は回避します−。徳間書店と松竹は十五日、七月十日に公開を予定していた長編アニメ映画「ホーホケキョとなりの山田くん」(スタジオジブリ作品)の公開日を一週間先送りすることを明らかにした。当初は米SF大作「スター・ウォーズエピソード1」の公開日にあえてぶつける作戦だったが、一般公開を目前にして方針を変えた。

 「となりの山田くん」は七月十七日から、全国二百六十あまりの映画館で一般公開する。公開日を遅らせる理由について、配給元の松竹は「宣伝活動にじっくり時間をかけるため」と説明。米国で空前のヒットを続けるスター・ウォーズからの"敵前逃亡"ではないと強調している。(当該記事より)






1999年5月10日 朝日新聞 夕刊

秋緻密すぎるアニメに異議! 高畑勲監督「ダメな家族のあったかさが好き」

 朝日新聞朝刊の連載漫画でおなじみの山田家の人々が、この夏スクリーンに登場する。七月十日公開の「ホーホケキョ となりの山田くん」。「もののけ姫」のスタジオジブリが製作し、監督・脚本を「火垂るの墓」「平成狸合戦ぽんぽこ」の高畑勲が手がけた。原作の四コマ漫画そのままのシンプルな絵柄で繰り広げられるどこにでもありそうな家族の日常。およそ長編アニメ向きではない素材に挑んだ狙いを高畑監督に聞いた。(深津純子)

−「となりのトトロ」に続く「ジブリの『となり』シリーズ」とか。でも、いささか唐突な組み合わせです。
 「鈴木敏夫プロデューサーが原作のファンで、以前から映画化したがっていたんです。でも、僕自身は話半分で聞いていた。確かに面白い漫画だけれど、これをどうやって映画にする気だろう、と」

−それがなぜ現実に?
「動機のひとつは、最近のアニメーションヘの違和感。子供時代にはアニメの世界にリアリティーを感じても、やがてそこから卒業して現実の世界に立ちかえるというのが健全な姿だと思うんです。けれども、いまのアニメは現実以上に立派で綴密な世界を構築し、そこに浸ったまま出てこない人が増えている。そういう快楽主義がいやでね。『山田君』なら、閉じたファンタジーとはまったく違う世界が描けると思った」

−夢という名の幻想とも、希望という名の向上心とも、あの一家は縁がない。
 「そうそう。山田家はお母さんを筆頭にだらしない人が多いんだけれど、だから居心地がいいという面もある。理想ばかり見てダメな部分を責めず、ダメな者同士許し合っている風がある。情けないかもしれないが、あったかくて僕は好きですね。実はそこに家庭を崩壊から救う知恵があるとも思う。ちゃんとした人はかりじゃ息がつまっちゃうでしょ。その意味で、山田家には夢なんかひとかけらもなくていいんです」

−原作にかなり忠実な絵柄ですね。
 「ファンタジーに説得力を持たせるため、緻密な描写を追求していくことに常に疑問があり、初心に立ちかえりたかったんです。実写ではできないものを描けるのがアニメなのに、現実以上のリアルさにこだわりすぎている。四コマ漫画でちゃぶ台しか出てこなくても、ほかに家具がないと思う人はいませんよね。描いていない部分は、みんな自分の生活から連想している。キャラクターだって、あるタイプの人間を代表しているだけで、固有の存在ではない。『これは仮のもんでっせ。本物は奥にありまっせ』というのが四コマのリアリティー。漫画の奥に現実が透けて見えるものにしたかった」

−鉛筆画に水彩で着色したようなシンプルな絵。でも作画枚数は「もののけ姫」をしのぐとか。
 「ジブリでは初めて全編デジタル処理しているんですが輪郭線にすきまがあると、コンピューターで着色するとき、色が外にはみ出てしまう。そのために、一つの絵に三種類の動画を描かなければならない。こんなデザインのキャラクターなら動かないだろうという予想を裏切るリアルな芝居を見せたいので、その点でも作画枚数は増えている。手作業と同じことをコンピューターでやるなら省力化になるけれど、それじゃ面白くないしね。手間はかかるけれど、新しいことをみんなで工夫するのは楽しい。時間が限られているのに、無謀なやり方ではあるのですが」

−「制作は順調に遅れています」といろ予告編は笑っていいのか悪いのか。
 「うそはつかない方がいいと思って。四コマの世界が果たして一時間五十分の映画として成立するかどうかも正直言ってわかりません。面白く見せる工夫はしてるけれど、起承転結のドラマツルギーから外れた断片の集積みたいな話ですから。ひょっとするとこれは映画ではないのかもしれない。でも、三十代の才能のあるスタッフが中心でやっているので、表現には自信があります。あとは間に合うかどうか。それが一番の問題ですね」(当該記事より)






1999年5月10日 新聞赤旗 (新刊の書評)

書評・絵巻物芸術にアニメのルーツをみる
      −高畑 勳著『十二世紀のアニメーション』の探求


 高畑勳の新著『十二世紀のアニメーション−国宝絵巻物に見る映画的・アニメ的なるもの』(徳間書店・三六〇〇円)は、日本の伝統的な絵画芸術の中に、「映画的・アニメ的」なルーツをさぐる野心的な意図に充実した出来ばえを見せる。第一級の色彩写真製版による「国宝絵巻物」の目のさめる原色再現とあいまって、知的好奇心を堪能させ、かつ感性的な興趣にもタップリひたることを可能にする。

 著者はいうまでもなく処女作「太陽の王子・ホルスの大冒険」から「平成狸合戦・ぽんぽこ」まで世界的なアニメ芸術の傑作を創造、現在も新作「ホーホケキョ となりの山田くん」を制作中。と同時に自作の「ホルスの大冒険」、ロシアのユーりー・ノルシュテインの「話の話」、カナダのフレデリック・バックの「木を植えた男」などについてそれぞれ一書をあらわし、学識と教養の深さ、理論的解明の鋭さできわだつ理論家でもある。今回の新著はその資質の両面を遺憾なく発揮して、ユニークで大胆なアニメ理論の展開となっていて、国際的にも注目されるに違いない。

 著作は日本でなぜマンガやアニメがさかんであるか、その理由を歴史的に考察することから筆を起こし、日本で古代から中世への激動期に開花した”連続式絵画群”にそのルーツを見いだす。そして「信貴山縁起絵巻」「伴大納言絵詞」「彦火々出見尊絵巻」の四大傑作の全ぼうを再現しつつ、周到で懇切な分析と解明を加える。絵巻物は右から左へと巻物をくりひろげつつ、絵を観察する。その絵がおどろくほどいきいきとしたダイナミズムに溢(あふ)れ、多くの登場人物の表情や動作が写真で一瞬をとらえたようなリアリティーを持つ。

 動きの速度や風のありようは衣服や旗などのひるがえりやはためきで表現される。回転するなぎなたや空を飛ぶ物体の動きは、マンガそっくりの「流線表現」で示される。描写対象はカメラ位置の転換による距離やサイズの変化のようにとらえられ、旅する人の動きはかすみで中断され、映画の溶明、溶暗と同じ画面転換の機能を果たす。左から右へ進行する人物が何度も描かれていて、時間の経過による人物の姿態の変化を示す。いわゆる「異時同図」で、カットの連続と同じであるなど。つまり絵巻は二次元平面の絵画でありつつ、つねに時間の進行をともなう「時間的視覚芸術」であることを立証する。

 絵巻物にたいするこのような映画的着目は、著者も触れる今村太平の名著『漫画映画論』(初版、一九四一年)に始まるが、以来絶えて発展させられることがなかった。その理論的問題意識が、第一級の実作者である著者によって大きく成長させられた意義は大きい。また著者は本書によって若い世代が日本の伝統芸術に目を向けるきっかけになればとのべているけれども、この点でも十分その目的は達したのではないか。

 エイゼンシュテインは一九二八年の時点ですぐれた日本文化論をのこし、浮世絵や歌舞伎のなかに映画モンタージュの豊富な可能性を指摘、「日本の映画人はなぜこのような遺産を活用しないか」と示唆した。今回の書は日本の映画人が立派にその声にこたえたものといえるし、エイゼンシュテインが晩年人類史における諸芸術がたゆみなく映画的傾向を追求していたことを強調、そのような「傾向」に「シネマティズム」という新造語を与えていたことを思い合わされる。

 大いに楽しみつつ学ぶところの多い一書である。(山田和夫・映画評論家)(当該記事より:記事提供・JUN氏






1999年5月01日 報知新聞

富田靖子 ドキドキ声優に挑戦

 7月中旬公開のスタジオジブリの最新アニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」(監督・高畑勲)にゲスト声優として女優・富田靖子(30)らが参加。30日、東京・浜町の東京テレビセンターでアフレコが行われた。

 共演の古田新太(33)、斉藤暁(45)と収録にのぞんだ富田は「風の谷のナウシカ」「耳をすませば」が大好きな大のジブリ・ファン。山田家の長女・のの子が迷子になるデパートの案内嬢役を見事にこなしたが「自分がこうやりたいっていう声で表現ができなくて難しかったですね」と反省。

 が、「これまでのジブリ作品のように忘れられない作品になると思うので、完成が楽しみです」とニッコリ。30歳になったばかりとあってプライベートも気になるところだが「もう(結婚などに)あこがれる年は過ぎました。もう少し地に足のついた感じで生きたいですね」と話した。(当該記事より)






1999年5月01日 日刊スポーツ

富田が初アフレコ となりの山田くん

 女優富田靖子(30)が30日、都内で行われたアニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」(7月中旬公開、高畑勲監督)のアフレコに参加した。デパートの案内嬢役の声を担当する。アフレコ初挑戦の富田は「何もかも新鮮でとても面白かった」。「山田家みたいな家族は欲しいですか」との質問には「隣に山田家みたいな家族がいるといいですね」。(当該記事より)






1999年5月01日 東京中日スポーツ

富田靖子 アフレコに大緊張!!

 女優の富田靖子(30)が三十日、東京都中央区の東京テレビセンターで行われたアニメ映画ホームページ(高畑勲監督、七月中旬公開)のアフレコに挑戦した。

 「風のの谷のナウシカ」などを製作したスタジオ・ジブリファンの富田は収録後、「めちゃめちゃ緊張しました。演技と何もが違って、すべて初めてみたいで、すごく新鮮でした」と感想を語った。デパートガール役には「あっけらかんとした役です。でも表現できているかどうか、見てのお楽しみ」と苦笑いも。

 この日は古田新太(33)、斉藤暁(45)もアフレコ収録に参加。暴走族役の古田は、「関西弁でどならせてもらいました。中年男性を怖がらせる不良少年です」とニンマリしていた。(当該記事より)






1999年5月01日 サンケイスポーツ

ジブリ作品「となりの山田くん」 富田靖子が思い入れアフレコ

 女優の富田靖子(30)が30日、東京・日本橋浜町のスタジオで7月公開のアニメ映画「ホーホケキョ となりの山田くん」高畑勲監督、松竹配給)のアフレコを行った。

 同作は、「もののけ姫」を大ヒットさせたスタジオ・ジブリの最新作。「忘れられない両面やメロディーがいっぱいあるからジブリ作品は大好き」という富田の一番のお気に入りは「風の谷のナウシカ」。

 「となりの−」では、デパートガールの役。声優は初めてではないが、「きのうの夜は一生懸命練習しました」。緊張した表情でマイクの前に立ち、「女優の仕事とは何もかも違う。こうやりたいと思っても、声にならなくて…」と苦闘していた。(当該記事より)






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