●「もののけ姫」トピック
Topics of "Princess Mononoke"

ホームへ戻る home


●徳間康快・徳間書店社長 逝去 2000/9/20


●東宝版字幕付き「もののけ姫」上映! 1997/11/23


●高島屋で「もののけ姫の世界展」開催 1997/7/19


●「もののけ姫」一般試写会始まる 1997/6/27


●「もののけ姫」完成、関係者に初公開 1997/6/18


●スタジオジブリ、徳間書店に吸収合併 1997/3/8


●東映パラスでジブリ8作品一挙上映 1997/3/8






 
●徳間康快・徳間書店社長 逝去


「となりの山田くん」の制作発表に現れた故・小渕首相(中央)を
出迎える徳間康快氏(左):2000年05月15日 報知新聞より


徳間書店代表取締役社長・徳間康快(とくまやすよし)氏が2000年9月20日午後6時17分、東京都内の病院にて肝不全のため逝去されました。78歳でした。

徳間康快氏は1921年、神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学卒業後の1943年、読売新聞社に入社し社会部記者として活躍しました。1954年に徳間書店の前身となる「東西芸能出版社」を設立・社長に就任して、一代で出版・映画・音楽などメディアを幅広く抱える徳間グループを育て上げました。また、スタジオジブリを傘下に収め、制作の総指揮者として高畑勲、宮崎駿両監督のアニメ映画づくりを後押しし、『もののけ姫』を記録的に大ヒットさせるなどの手腕を発揮しました。

『もののけ姫』の配給収入が『E・T・』の記録を破ったとき、徳間康快氏は記者会見で「アメリカ映画を完全に負かした」と勝利宣言、「真珠湾以来、アメリカに勝ったことがなかった日本が勝った」とまで言い放って会場を爆笑させ、『もののけ姫』のアメリカ公開にあたっては「作品の質を保つために、1分たりともカットは認めない」と怪気炎をあげました。その一方で、配収からアニメ映画普及のための「もののけ姫基金」設立など何らかの社会還元も検討するなどの気配りを見せました。

徳間康快氏は、俳優のケヴィン・コスナーやディカプリオに『もののけ姫』英語版への出演を依頼したり、その試写会にクリントン大統領夫妻を招待するなど、奇想天外な発想で周囲を仰天させることもしばしばでした。本気とも空想ともつかない常識外れな発言を連発し、俗に「徳間ラッパ」と揶揄されることもありましたが、その発言の幾つかは本当に実現させてしまうところが「徳間ラッパ」の神髄であり、新しい試みを次々と実現させてきた進取の気性を文字通り体現するものでもありました。

また、徳間康快氏は自らの持論を強力に実践する信念の人でした。「映画は本来、制作側が主、配給は従であるべきだ」との信念のもと、『となりの山田くん』の配給先を松竹に決め、東宝の首脳を青ざめさせました。その松竹にも独占配給をさせず、東急レクリエーションやワグナー・マイカル、さらには東映系の一部映画館にも上映館を広げました。このように、従来の慣習を破る大胆な決断力と行動力で硬直化した映画産業の構造そのものを揺さぶりました。それは、徳間社長の持論である「コンテンツ (情報の内容)を持つ企業が劇場網を選べることこそ重要」の実践であり、劇場網を持つ企業と製作者側が対等に渡り合う関係を築き上げようとするものでした。

スタジオジブリ作品について、徳間康快氏は21世紀へのビジョンを熱っぽく語っていました。
「わたしの本当の気持ちは21世紀に宮崎監督に100億円、高畑監督に100億円を投じて1本づつ作ってもらうことだよ。2人に100億づつ出して3年くらいかけて作ってもらう。こんな発想がないと『もののけ姫』のような"未知との遭遇"はできないよ」(1999年2月3日報知新聞より)

徳間康快氏の夢は、きっと21世紀に入っても引き継がれていくことでしょう。ご冥福をお祈り申し上げます。




 
●東宝版字幕付き「もののけ姫」上映!


 記録的ヒットを続ける「もののけ姫」ですが、これに日本語字幕を付加したものは用意されておらず、耳の不自由な人が楽しむことは出来ませんでした。そこで、1997年8月、名古屋のボランティアサークルが自主的に日本語字幕を付加して上映し、好評を博しました。その後、大阪や京都でも同様の上映がなされ、東宝本社にも要望が多く寄せられたため、東宝が自ら日本語字幕をフィルムに焼き付けて上映することとなりました。
 東宝版字幕つき「もののけ姫」は、以下のスケジュールにしたがって1997年12月から1998年1月にかけて、全国5都市7劇場で上映されます。耳の不自由な人はもちろん、耳の聞こえる人にとってもセリフを字幕で確認出来ることには意味がありますし、何よりも障害のあるなしに関わらず、一緒に「もののけ姫」の感動を味わうことの出来るよい機会ですので、是非足を運んでみましょう。

東宝版字幕付き「もののけ姫」上映スケジュール
    1997年 12月12日・13日 新宿ビレッジ2
12月15日・16日 川崎チネチッタ
12月18日・19日 練馬 光が丘テアトル西友
12月25日・26日 名古屋 名宝シネマ
1998年 1月9日〜13日 東京 有楽町マリオン 日劇プラザ    
1月17日・18日 福岡 天神東宝
1月21日・22日 札幌 ニコー劇場


上映要望、問い合わせ等の連絡先 東宝 宣伝部(03-3591-3511)




 
●高島屋で「もののけ姫の世界展」開催


「もののけ姫」の公開を記念し、1997年7月19日から8月19日まで、東京・日本橋の高島屋で「もののけ姫の世界展」が開催されています。豊富な展示物のほか、グッズ販売も人気を博しました。


世界展の看板



入口の様子



世界展のポスター



 
●「もののけ姫」一般試写会始まる


1997年6月20日より、「もののけ姫」の一般向け試写会が全国各地ではじまりました。(写真は6月27日東京・千代田区公会堂。)開場1時間以上も前から行列が出来はじめ、入場直前には長蛇の列が伸びていました。上映が始まると、それまで騒がしかった場内は静まり返り、観衆はスクリーンに映し出されるシーンの数々をひたすら見入っていました。
作品の出来映えについては様々な意見が出ているようですが、ともあれ、7月12 日への封切りへ向けて、否が応でも期待が高まってくるような雰囲気でした。



入場待ちの行列



入場待ちの行列



入場待ちの行列



入場待ちの行列



「もののけ姫」試写会の案内ハガキ



 
●「もののけ姫」完成、関係者に初公開


構想16年、製作3年に及んだ「もののけ姫」の1997年6月中旬、いよいよ完成し、6月18日から東宝本社8Fの試写室において、マスコミ向け試写会が行われました。

延べ1週間、20回を越える上映の予定が組まれ、記者、ジャーナリスト、業界関係者などが招待されました。特に拍手もなく、全般に淡々と上映が進行していったとされ、とかく熱気に包まれがちな一般向け試写とは異なる趣でありました。でも、それは決して「もののけ姫」に対する印象が悪かったわけではありません。記者はひたすら客観的に見なければなりません。業界関係者はいわばライバルですから、仕上がり具合など、専門的な視点から見ようとします。要するに、彼らは業務の一環として「もののけ姫」を見に来ているのであり、少なくともタテマエ上は、それを楽しみもうとしている訳ではありません。特にライバル会社の人たちの置かれた立場はそうでしょう。ですから、この試写室で拍手がなくてもむしろ当然であり、ある意味ではそれが「もののけ姫」制作スタッフに対する敬意の表明であるとも言えるのではないかと思います。

この試写会を見たと思われる報知新聞の記者は、 翌19日付の記事 で「もののけ姫」に関する大々的な報道をしました。





 
●スタジオジブリ、徳間書店に吸収合併


アニメとゲームを事業の中核に据える Ghibliなどの合併を発表

徳問書店(東京・港、徳間康快社長)は20日、「となりのトトロ」(宮崎駿監督)などのアニメで知られるスタジオジブリ(小金井市市、同)など関係会社3社を6月1日に吸収合併すると正式発表した。
新会社は7月1日に資本金を一億円に増資し、徳間社長85%、ジブリの株主で宮崎氏の著作権を管理している二馬力(小金井市、宮崎朱美社長)が15%出資する。
記者会見した徳間社長とのやりとりは以下の通り。

−合併の狙いは。

「衛星・デジタル時代の到来をにらんで、ジブリが制作するアニメと徳間書店インターメディアが手がけているゲームソフトを事業の中核に据えることにした。営業や販売、経理などを統一することで驚くほどのプラス効果が出る」

−衛星デジタル放送への参画は。

「ディレク・ティービーへ出資する予定だ。来週、ディレク側から条件を提示してもらい、それを見て検討する。『JスカイB』や『パーフェクTV』に番組を供給するつもりはない。地上波ではこれからも日本テレビと協力していく」

−宮崎氏は『もののけ姫』が最後の監督作品になると話しているが。

「作家というのは制作中はこれっきり、と言うもの。これからも大いにやってもらわないと困る。総括責任者として引き続きジブリを指導して預きたい」
(1997年5月21日 日経産業新聞記事より)




 
●東映パラスでジブリ8作品一挙上映


1997年7月、「もののけ姫」が公開されることを記念して、1997年3月8日から4月11日までの期間、東京・高田馬場にある東映パラスにおいて、「ナウシカ」から「耳をすませば」に至るジブリ作品が一挙上映されました。チャゲ&飛鳥主題歌の短編「ON YOUR MARK」も毎回上映され、好評を博しました。


東映パラス入口


一挙上映のポスター


ロビー前の風景
期間中、東映のホームページには一挙上映に関する案内が掲載されました。インターネット割引券という新しい試みもなされました。これは、東映のホームページに掲載されていたポスターの写真をプリントアウトして持参すると、大人は200円、学生以下は100円が割り引かれるというものでした。


当日窓口料金

一般:1500円
学生:1200円
シニア・中学生1000円
小学生900円
幼児(3才以上) 800円



上映スケジュール

3月8日(土)〜11日(火)
となりのトトロ   10:40 14:35
天空の城ラピュタ  12:20 16:15

3月12日(水)〜15日(土)
平成狸合戦ぽんぽこ 10:40 14:40
紅の豚       12:55 16:55

3月16日(日)〜19日(水)
風の谷のナウシカ  10:40 14:50
耳をすませば    12:50 16:55

3月20日(木)〜23日(日)
魔女の宅急便    10:40 14:45
おもひでぽろぽろ  12:35 16:40

3月24日(月)〜27日(木)
天空の城ラピュタ  10:40 14:45
紅の豚       12:30 16:35

3月28日(金)〜31日(月)
となりのトトロ   10:40 14:25
風の谷のナウシカ  12:20 16:05

4月1日(火)〜4日(金)
紅の豚       10:40 14:30
耳をすませば    12:30 16:20

4月5日(土)〜7日(月)
となりのトトロ   10:40 14:10
魔女の宅急便    12:20 15:50

4月8日(火)〜11日(金)
天空の城ラピュタ  10:40 15:05
風の谷のナウシカ  13:00 17:25


上映期間は、学校の春休み期間中と重なったこともあって、大勢の家族連れや子供たちで賑わい、特に日曜日は立ち見が出るほどでした。





ホームへ戻る home