●「耳をすませば」トピック
(随時掲載します)
topics of "Whisper of the Heart"
★井上直久氏 イバラード博物誌U 出版記念展 1997/01/15
「耳をすませば」本編中、雫の物語シーンの情景には「イバラード」の空想的風景が登場しましたが、この作者である井上直久氏の個展が開催されました。(架空社刊「空の庭、星の海」イバラード博物誌U の出版記念展 1997 年1月13日〜25日・19日は休み 於 東京・青山 Pinpoint Gallerry 3409-8268 )
大小さまざま、約20数点の作品が展示されており、それぞれに緻密な描きこみを間近から見ることが出来ます。掲げられた額は全体的に低めに設定してあり、女性や子供の視線の高さにちょうど良くなっています。
1点の制作にかける時間は、特に定まっておらず、同じような図柄で早いものは数週間で完成するものの、長いものでは何度も中断を繰り返しながら何年もかけて仕上げていくそうです。この日の展覧会でも、 10年前に描きはじめて最近ようやく完成した作品も展示されていました。
会場では画集の他、イバラードのCD、CD−ROMが即売されており、井上氏は、ギャラリーの求めに対し、快くそれらの本やジャケットへのサインに応じておられました。
その気さくな人柄が偲ばれるとともに、納得がいくまでは時間をかけることを厭わない井上氏のこだわりが、作品中からにじみ出てくるような個展でした。
(写真の掲載を了承して下さった井上氏に謝意を表すと同時に、氏の一層のご活躍に期待申し上げます。)
★モデルの電車、ついに引退。 1996/12/15修正
「耳をすませば」で、雫ちゃんがムーンに出会った電車のモデルになった、京王帝都電鉄の5000系電車が、1996年12月1日限りで引退しました。
設定によれば、雫ちゃんがこの電車の中でムーンに出会ったのは1994年の夏であり、その頃はまだこのタイプの電車を普通に見ることが出来ました。しかし、1995年夏の映画公開時には本線上から撤退し、高幡不動から延びている動物園線のみの運用になっていました。
さて、引退に先立ち、5000系電車は1996年11月30日の1日だけ、本線上の営業運転に復帰しました。それによって、「耳をすませば」公開以後はじめて、そして最後と言える映画の風景、すなわち聖蹟桜ヶ丘駅と5000系電車の組み合わせシーンが再現されました (写真)。
この型式の電車は、ついこの間までは飽きるほどたくさん走っていてちっとも珍しくなかったように思いましたが、気付かない間に車両の世代交代が進んでいたのですね。わずか数年の間でさえ、世の中は確実に変化しているということを実感してしまいます。
★宮崎敬介氏 木口木版画展 1996/11/23
「耳をすませば」本編中に「牢獄の中でヴァイオリンを作る少年」の木版画が登場しましたが、この作者である宮崎敬介氏の個展が開催されました。(1996年11月18日〜23日 於 東京・青山 Pinpoint Gallerry)
作品をじっくり見てもらえるよう、あえて額のガラスを外したところに、作者の心配りが感じられます。1点の制作には1ヶ月かかることも珍しくないそうで、まさに職人芸ともいうべき世界を堪能することが出来ます。展示は約15点ほどでしたが、原木や版木のほか、彫り込みに使うビュランという道具も同時に展示されていました。
木口木版画は、写真製版が発達する以前の19世紀に隆盛したそうですが、下手な写真よりもよほど見応えがあります。件の「牢獄の中でヴァイオリンを作る少年」の版画も、参考出品として展示されていました。なお、フロアには徳間書店からの花籠のほか、おそらくはファンの差し入れと思われる花籠も置かれていました。
(写真の掲載を了承して下さった宮崎氏に謝意を表すと同時に、氏の一層のご活躍に期待申し上げます。)
★「耳をすませば」TV放映されました。 1996/10/11
‘96年10月11日、日本テレビで「耳をすませば」がノーカットで放映されました。
正味の上映時間は111分ですが、放送時間は21:00〜23:24が確保されていました。その大半はCMに費やされたのですが、果敢にもCMカットしながら録画に挑んだ強者もいたようです。
劇場で鑑賞したり、ビデオを見たりしているので、既に見慣れた作品ですが、いつにもましてじっくりと鑑賞してしまいました。CMが入ったり、電波の具合が悪かったりしても、全国で数百万の人達が視聴してという、この同時性が TV放映を見ることの醍醐味ではないかと思います。文字放送の字幕も重調されていたのも、地味ですが見逃せないポイントです。
なお、番組の最後には、来年公開予定の「もののけ姫」の進行状況が紹介されました。これを見た人は、一様に想像以上にハードな内容に驚いたのでは。どのような芸術的真実があろうとも、あまりに過激なシーンが多いと判断されれば、ディズニーあたりからクレームがついて、一定の修正をしなければ全世界への配給が実現しないかも、と余計な心配までしてしまうほどでした。
マレーシアで、自国の文化にそぐわないとの理由によりマイケルジャクソンの公演を許可しなかったというニュースが流れた折でもあるので、気にはなりますが、そこは、ジブリスタッフの絶妙なバランス感覚でいいものを作ってくれるでしょう(^^)。