●「ハウルの動く城」FAQ
FAQ of "Howl's Moving Castle"

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「ハウル」に関する質問等をQ&A形式でまとめてみました。正確さは保証出来ませんが参考になれば幸いです。
まだ少ないですが、少しづつ増やしていきます。
(新着はで表します。)

基本編

「ハウル」の原作はどのようなものなのですか?  2003/06/01



作品編

「ハウル」にはグロテスクな飛行戦艦が登場しますが、あんなのが空を飛ぶのはあり得ないのではないですか。羽をビヨンビヨンとくねらせて飛ぶヤツまでいましたが、あんなの航空力学的に無意味だと思います。 2005/02/09

サリマン先生は、今回の戦争を「馬鹿げた戦争」と言っていましたが、どこがどのように「馬鹿げて」いるのでしょうか? 2004/12/01



その他

「ハウル」のキャッチフレーズに「宮崎監督が初のメロドラマに挑みます」とありました。「メロドラマ」ってどんなドラマなのですか? 2003/06/21

読売新聞をとると「ハウル」情報が手に入るそうですが? 2004/05/21







 質  問  回  答
「ハウル」にはグロテスクな飛行戦艦が登場しますが、あんなのが空を飛ぶのはあり得ないのではないですか。羽をビヨンビヨンとくねらせて飛ぶヤツまでいましたが、あんなの航空力学的に無意味だと思います。
「ハウル」には奇妙な形をした飛行機械が幾つも登場します。あれがどうやって空を飛ぶのか、とても不思議ですね。動力機関や駆動機構はきちんと備わっているようですから、魔法の力に頼らなくても飛べるようになっていることは確かなようです。

ここで、「そんなの宮崎監督が空想で作りだしたものに決まってるじゃん」とか、「しょせん空想の産物なんだから航空力学なんか関係なくて当然」のように言うことは簡単です。まあ、その通りといえばそうかもしれませんが、もう少し別の見方が出来ないか考えてみましょう。

一人の革命的な業績が世の中全体を変えてしまうことはよくあります。例えば、アインシュタインが編み出した量子論や相対性理論は、何やら私達の日常生活とあまり縁がなさそうにも思えますが、実際にはアインシュタインなしには一日たりとも暮らせないほど、私達のありとあらゆる生活の中に深く入り込んでいます。その影響力は、「もしアインシュタインがいなければ、私達はまだ19世紀と大差ない生活を送っていただろう」(ロンドン大学のジョアオ・マゲイジョ教授)とまで言われるほど大きなものがあります。もちろん、アインシュタインがいなくても、いつか誰かが似たような理論体系を作り上げるでしょうが、全く同じになるという保証はありません。基礎となる理論が異なれば、技術への応用も異なったものとなります。その結果、アインシュタインが出現しなかった世界は、私達が現在暮らしている社会とは大きく様相が異なるものになっていたでしょう。

いずれにせよ、「すごい人」がいるかいないかで、世の中は大きく変わってしまうものであることは確かです。

このように考えれば、「ハウル」で描かれた世界は、まだ蒸気機関車が走っている時代から「すごい人」が現れて、すごい飛行機械を作ってしまった世界ということになります。その世界には、私達がいまだに発見できていないすごい飛行理論の体系が整備され、その航空力学によれば羽をビヨンビヨンさせるのもちゃんと意味があって、しかも想像以上に効果があるものかもしれません。

つまり、私達の世界では、そういう「すごい人」が現れなかったから飛行機の発達は100年も遅れ、人類の飛行は20世紀のライト兄弟まで待たねばならず、航空力学も別の体系で発達してしまったために、羽をビヨンビヨンさせる意味を理解出来なくなってしまったのです。

それはこじつけじゃないか、と思われるかもしれません。けれども、ここでの大事なポイントは、現在の自分が暮らしている世界が全てではないということです。自分が理解できないからといって、簡単に空想だと決めつけたり否定したりすることは禁物です。確かに、それらの飛行機械は宮崎監督の空想上の創作かもしれませんが、それが絶対に実現不可能であるとは誰にも証明できないからです。
サリマン先生は、今回の戦争を「馬鹿げた戦争」と言っていましたが、どこがどのように「馬鹿げて」いるのでしょうか? 「馬鹿げている」原因について、特に作品中で触れられてはいません。絵コンテにコメントがあったり、監督が何かの機会に語るなどすれば別ですが、そうでなければ分からないということになります。しかし、思考を巡らせることにより、「こういうものではないか」という仮説を示すことは出来ます。

まず、今回の戦争が「馬鹿げている」と言っているので、これまでの戦争とは何かが違っているということが分かります。例えば、これまでの戦争は目的がはっきりしていたけど、今回の戦争目的はよく分からないということはあり得る話でしょう。しかし、戦争目的が分からない戦争なら「よく分からない戦争」になるはずですから、「馬鹿げた」と言うからには、まだ他にも要素がありそうです。

技術の進歩により、新兵器が出現したということもあり得るでしょう。王様は、魔法の使いの力に頼って勝とうとは思わないと言っています。この言葉は、魔法に頼らなくても済むような新兵器の出現を示唆しています。戦艦については、「新型の戦艦」というセリフがあり、これは旧型の戦艦と対比していることは明らかですから、海の上を走る戦艦は新兵器ではなさそうです。やはり、新兵器は空を飛ぶ飛行戦艦であると考えるのが自然と思われます。海上の戦艦がボコボコになって帰ってきたとき、敵の飛行戦艦がビラを投下していくシーンがありましたが、人々は飛行戦艦を指差すなど、まだ行動に余裕がありました。逆に言えば、飛行戦艦がどれほど恐ろしい武器であるかを人々はまだ良く知らなかった訳です。この描写からも、飛行戦艦は新兵器であり、今回の戦争から本格的に使われ始めたと考えるのが妥当なところでしょう。

一般に、新兵器が出現すると戦術も新しいものが採用されます。飛行戦艦の使い道は、都市に対する空襲でした。昔から空襲が行われていたなら、すなわち、都市も戦場になっていたなら、都市にも対空砲が配備されるなり防空壕が整備されるなりするものですが、映画での描写を見る限り、都市は全くの無防備でした。よって、都市への大規模かつ無差別な空襲は、少なくとも今回の戦争から本格化したと考えられます。古来より、戦争というものは戦闘員同士が戦場で戦うものであり、非戦闘地域ならびに非戦闘員に直接危害は及びませんでした。新兵器である飛行戦艦と都市への空襲という新戦術は、軍事的に無防備な都市を戦場にしてしまい、戦闘員でない市民も戦闘に巻き込んでしまいました。その結果生じる損害は、これまでの戦争よりもはるかに上回るものでしょう。国家にとって無視できないほど多大な損害が出てしまうような戦争は、まさしく「馬鹿げた戦争」と言うべきではありませんか。

もう一つ、サリマン先生が魔法使いであったことからも考えてみましょう。魔法の力は、王宮に爆弾が落ちないようにすることが出来ただけで、しかし、市街地へ落ちることは止められません。もし、魔法の力が充分に強ければ、爆弾を落とすことさえ阻止したでしょう。設定では、魔法と科学が混在した時代ということになっていますが、今回の戦争ではどうも科学の力の方が優勢になっています。サリマン先生の権力の源泉は魔法の力にあるのですから、科学が優位になってしまうのはあまり面白い状態ではないでしょう。ですから、今回の戦争を「馬鹿げた戦争」ということにして、何かの口実をきっかけに早く終わらせようと考えたのかもしれません。

読売新聞をとると「ハウル」情報が手に入るそうですが?
読売新聞では、2004年の1月より、毎週金曜日夕刊の「いぶにんぐスペシャル」コーナーでジブリ関連の情報を多く掲載しています。「ジブリの挑戦」という題字と本文中のカットは鈴木プロデューサーの直筆で、記事内容にも力が入っています。

また、読売新聞を購読すると、毎月『読売家庭版Yomy』を届けてくれます。Yomyの表紙には「読売新聞はスタジオジブリを応援し、『ハウルの動く城』に特別協力します」と書かれていて、表紙の絵には「ハウル」関係のイラストが掲載されたりするので、要チェックです。

例えば、2004年4月号の『Yomy』表紙(写真右)には、主人公ソフィーが生まれた「ハッター帽子店」と帽子店のある通りのイメージ絵が掲載されています。これは、「『ハウル』が19世紀末でヨーロッパの近未来画家が空想したような魔法と科学の混在する不思議な舞台をイメージしており、この絵もそのような雰囲気が感じられます」といった解説もつけられています。

何か新聞を購読したいと考えている人は、読売新聞を選択肢に加えるのもよいかもしれませんね。(^o^)
「ハウル」のキャッチフレーズに「宮崎監督が初のメロドラマに挑みます」とありました。
「メロドラマ」ってどんなドラマなのですか?
メロドラマは「奥様をメロメロにするドラマ」とか言われたりして「安っぽい恋愛ドラマ」というイメージがこびりついていますが、もともとは「音楽劇」という意味です。ギリシア語のmelo(旋律)とdrama(劇)が合わさって出来た言葉で、セリフの間に音楽が伴奏される形式の劇のことを指します。18世紀のヨーロッパでは、音楽劇は「波乱に富んだ恋愛ドラマ」といったテーマで上演されることが多く、ここからメロドラマ自体も娯楽性の高い通俗的な恋愛ドラマを意味するようになっていきました。

もちろん「ハウル」では、「安っぽい恋愛ドラマ」というよりは「波乱に富んだ恋愛ドラマ」という本来的な意味合いで使われているものと思われます。奥様をメロメロにさせるようなドラマになってしまうならアレですが。
「ハウル」の原作はどのようなものなのですか?
原作はイギリスの児童文学の『魔法使いハウルと火の悪魔』で、作者はダイアナ・ウィン・ジョーンズです。主人公は18歳の少女ソフィーで3人姉妹の長女。ある日、ソフィは魔女に呪いをかけられ90歳の老婆に変身させられてしまう。ソフィは家族を驚かせないよう家を出て、歩いていくうちにハウルの城にたどりついてしまう。ハウルは、空に浮かぶ城に住む魔法使いで、若い女性の魂を奪ってしまうという良からぬ噂があったりする。でもソフィは「今の私は若くないから大丈夫」と言ってハウルの城へ乗り込み、家政婦として働くことになった・・・というストーリーになっています。

ジョーンズは日本でもファンが多く、第2巻『アブダラと空飛ぶ絨毯』をはじめ、何点かの訳書が出ています。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(西村醇子訳)『魔法使いハウルと火の悪魔』徳間書店、1997年 ISBN 4-19-860709-5
本は以下のサイトでお求めになれます。
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