●原画展レポート by サンタ
Mr.Santa's reports

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(P)サンタさんによる、詳細な原画展のレポートです。

【はじめに】
ご存じの方も多いと思いますが、去る1996年8月31日から9月16日まで東京・新宿の三越美術館で「ジブリがいっぱい」と題されたスタジオジブリ原画展が開催されました。私は毛利さんに誘われて一緒に原画展に行ったのですがここに遅ればせながらレポートをアップしたいと思います。

なお、最初にお断りしておきますが、書きはじめてから仕上がりまで時間が開いているので、文体が変わっている所もあるとおもいますがご了承ください。(一応、全編を通して見直して置きましたが…。)何しろ最初の方は印象に残った部分だけを先に勢いで書いていたのですが、時間が経ってくるとパンフレットを見ながら書いたという所もありますので少し心配です。
(少し高かったけど、パンフレット買っておいて良かった。(笑))

前置きはこの辺にして早速レポートと行きましょう。(^^)

【三越美術館の印象】
私は三越のオープン5分位前になってようやく現地に着いたのですが、美術館というものに入った事がなかったのでてっきり風格があって重厚な入口を想像していました。それが入ってみて判ったのですがここの美術館はデパートの1フロアを使って専用に作ってあるんですね。扉が開いて待っていたお客さんにつられて中に入ると普通のデパートでした。そしてエスカレータを上がると7階にチケット売り場があり、その先は専用のエスカレータでもう一つ上がるというものでした。

【会場の入口】
7階に着いてチケットを購入するとすでに入場制限が掛かっていました。暫くしてから中に入る事が出来たのですが、8階の入口にはこの原画展のチラシにもなった「となりのトトロ」のメイと大トトロが塚森にある大きな木の前で向き合っている大きなパネルが目に入ってきました。(パンフレットによると月刊アニメージュ'87年12月号の表紙に使われた物と同じ物の様です。)そのとき幼稚園ぐらいの子供がパネルの前に立ってみると、子供の背の高さにメイが描かれてるのを見つけてこのパネルの倍率を設定した人に感心しました。

【風の谷のナウシカ】
入口のパネルの裏をまわって中に入ると、「風の谷のナウシカ」を先頭にして「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」・・・と歴代の作品が並んでいました。作品を保護するために当然中は少し薄暗いのですが、冒頭からナウシカのコミック版の表紙に使われた原画が展示してありました。私はコミック版を読んだことは無くて広告などでしか見たことが無いのですが、こうやって直接手に届く距離で見ると手書きの独特な雰囲気を読み取ることが出来ました。また、映画のオープンングのストーリーボードや「風の谷の城」の各種設定の指示を細かく書いたイメージボードなども展示されていました。「風の谷の城」のイメージボードなどはCDのサントラ盤にもあって見たのは始めてではないのですが、「これが元の絵か…」と思って見てきました。また今回、オープニングの連続したストーリーボードが見れたのが良かったですね。それに合わせてオープニングの部分をビデオで流していましたが、それを見ると実際にはカットされたシーンがあった事が判りました。こうやって映画制作の一部を垣間見た様がして良かったです。

【天空の城ラピュタ】
ここでは、雑誌などに使われた挿絵やオープニングに使われたセル画(+背景画)等を展示していました。そのおかげで映画では一瞬でしかみることのないシーンをじっくり見ることができました。LDでは知りませんがビデオで一時停止にして見ると細かい所はつぶれてしまいますが、さすが原画だけあってハッキリみる事ができました。今回の原画展では後々その緻密さを体験することになりました。

【となりのトトロ】
ここではメイと中トト、チビトトが始めて会ったシーンなどから始まって各シーンの背景画などが展示されていました。特に目を引いたのはサツキがメイを探すシーンの夕日の背景画でした。雲の間から夕日が漏れている絵なのですが、夕日が雲に直接当たった部分が白く浮き上がってみえるのには感心しました。これは後述する「耳をすませば」のエンディングに登場する、夜明けの太陽に映る高層ビル群のシーンに匹敵するくらい綺麗でした。

【火垂るの墓】
ここでは、主に清太と節子、それに空襲に燃える町並みの背景画などが展示されていました。主人公のセル画等は多くなかったのですが、ラピュタ同様に映画では一瞬しか写らないシーンが眼を引きました。物語は清太が空襲の後に叔母の家へ疎開するのですが、その疎開先や空襲にあう前の家並みが写真の様に丁寧に描かれていたのは特筆ものです。

【魔女の宅急便】
ここではイメージボード、セル画(+背景画)、背景画等が展示されていました。イメージボードの一部は映画のパンフレット等にあったので見た物もありましたが、セル画はラピュタ同様に緻密さを思い知らせてくれました。特に驚いたのはキキが宅配便を始めて軌道に乗ってきたころに重い荷物を吊るしてキリコの街のを飛ぶシーンがあるのですが、セル画上ではキキの顔は1センチ四方弱しかありませんがその中にちゃんと目が書いてあるんですね。勿論「点」でしか描かれていませんでした(笑)。映画として動いている時はなかなか気がつかなかったのですが、のっぺらぼうではおかしいでしょうし、目、鼻、口と描いたのではとても書ききれない大きさです。それが目だけ描いてあるおかげで雰囲気を壊すことなく次のシーンへ繋げることができるんですね。(目だけ描いたセル画のキキちゃんもなかなか可愛いです(苦笑)。)
(注)これ以後の作品は日数が経ってから書いたものが含まれており、物によっては細部に事実と違う箇所があると思いますがご了承下さい。

【おもひでぽろぽろ】
ここは背景画しか見た覚えがありません。パンフレットにはしっかりとエンディングの子供たちが載っているのですが(笑)。私はこのコーナーで紅花のアップを描いたシーンが見れるのを楽しみにしていたのですが、残念ながら見ることは出来ませんでした。それが見れなかったショックのせいか、余り覚えていないのが残念です。

【紅の豚】
ここでは何といってもカーチスとポルコの決闘前に撮った空賊とフィオの記念写真のシーンが印象的でした。映画ではシャッターを切る瞬間に空賊のボスが周りに集まってきた空賊達を蹴散らしフィオとツーショットを決めていましたが、丁度その瞬間のシーンが展示していました。いったい何人集まってきたと思います? (笑)

【なんだろう】
(日本テレビ開局40周年シンボルキャラクター)
【海がきこえる】(テレビスペシャル版。後に劇場公開)
【そらいろのたね】(日本テレビ開局40周年テレビスポット)
これらは劇場で公開した記憶がないので、余り強い印象がありませんでした。「海がきこえる」は原画展の少し前にレンタルビデオを見たので少しは判るのですが、「なんだろう」はこれもジブリでやっていたのか…という感じで、「そらいろのたね」にいたっては原画展に来るまで存在自体を忘れていました。「なんだろう」(君?)は今でも時々日本テレビでぬいぐるみが登場するので説明はいらないと思いますが、「そらいろのたね」は開局40周年のCMと一緒にやっていた全3作のアニメでした。会場には絵コンテが展示されており、「なんだろう」 のCMと一緒にビデオで紹介されていました。

【平成狸合戦ぽんぽこ】
この作品は私自身、あまり関心がありませんでした。ごめんなさい。(「この作品が良くない」という訳ではありません。)その為にどこに重点を置いて見ればよいのか判らずにただ「すっー」と見てきました。きっと多摩丘陵の自然をどれだけ綿密に描いていたか…と言った所が見どころになると思うのですが。心待ちにしていた方、ごめんなさいね。

【耳をすませば】
ご存じ'95 の夏に公開された作品です。もう既に世間では次期公開作品の「もののけ姫」の話題で賑わっていますが、ジブリの関わる作品では「耳をすませば」が一応(?)最新作品という事になります(笑)。TVでも放映されてCMカットに挑んだ勇士が何人かいましたね。この作品で私が興味があった場面はエンディングの朝焼けのシーンに使われた朝日に映ったビル群の背景画でしたが残念ながら展示されていませんでした。その他に展示されていたのは、雫が幻想の世界でバロンと一緒に空を飛ぶシーンのストーリーボードや地球屋のバロン、カントリーロードを歌う聖司と雫、オープニングで使われた夜景の風景などで、ポスターに使われたバロンと雫が空を飛ぶシーンは展示されていませんでした。

【On Your Mark】
(CHAGE & ASKAの同タイトル曲のプロモーション用短編アニメーション。後に「耳をすませば」の劇場公開時に同時上映された。)
これは作品の上映時間が短かったからじっくり見たい作品の一つですね。この作品ではやはり翼を持った少女(天使)がメインでしょう(笑)。展示されていたのはオープニングに使われた黄色いトレーラーが走ってくる場面や都市部を抜けた後の荒廃した町並みなどの背景画、それに少女(天使)が二人の警官の車から翼を広げて大空に舞い上がるシーンの連続したセル画の一部(+背景画)などです。ここでは少女(天使)が舞い上がるのに従ってセル画の展示されている位置を高くして展示されていたのには感心しました。

【もののけ姫】( '97夏公開予定)
すみません、最初に謝っておきます(笑)。私はこの作品に関する情報は原画展開催当時は余り関心がありませんでした。と言うより劇場公開日まで余計な情報を入れたくありませんでした。売店が混んでいたというのもありますが殆ど見てなかったですね。これからどんな展開になるのかを期待しながら公開を待ちましょう。
(とは言いながら日本テレビの映画の予告ですでに情報が入っていますね。)

【上映会場にて】
会場の奥(おもひでぽろぽろ辺り)では、コーナーを仕切って「風の谷のナウシカ」から「耳をすませば」までダイジェストですがビデオ上映されていた様です。私は人が多かったので長く見ていなかったのですが、ダイジェストにする為のカットした位置が良くなかったというのは話題になりました。

【売店にて】
一通りの展示物を見てさらに奥に進んで行くと出口近くに売店があり、その先にはパンフレット売り場もありました。売店ではジブリ作品のキャラクターグッズやCD、テレホンカード、関連書籍などが販売されていました。しかし、展示を見おわった人達がここで長く滞留するためにごった返していました。その人混みの中、私も品定めをする為にまさに人をかき分けて見て回りました。

ジブリ作品のキャラクターグッズで有名なのは、やはりトトロを置いて他はないでしょう。コーヒーカップ、グラス、トイレマット&スリッパ、置物など大半はトトロ関係のグッズでした。友人から噂に聞いていた等身大のトトロのぬいぐるみにはさすがに圧倒されました(笑)。他には「なんだろう」やジジのぬいぐるみがありましたが、到底トトロ関連のグッズの多さにはかないませんでした。また結構かっこいいバロンの人形もあったのですが二度目に同じ場所に行ったらすでに売れてしまって見つけることは出来ませんでした。

関連書籍は「シブリ TEH ARTシリーズ」のほか、宮崎さんが最近出した本(出発点)などが販売されていました。ほかに今では殆ど手にいれることが出来ないと思われるナウシカ、ラピュタ辺りの古い作品の「シブリTEH ARTシリーズ」も販売されているのでぜひ手に入れたかったのですが、すでにパンフレットも購入し懐も寂しいので「バロンのくれた物語」の物語」を一冊だけ購入することに止まりました。(何でこの手の本って高いの?(;_;))

また、2種類の97年のカレンダーも売っていました。ひとつはジブリキャラ総出演(「風の谷のナウシカ」から「もののけ姫」まで)のカレンダーで、カレンダーの真ん中を針金で綴じてあって用紙を破らなくてもよいタイプです。もう一つはトトロのカレンダーでカレンダーの上部で綴じてあって月が変わったら破らなくてはならないタイプでした。私は前者のタイプのカレンダーを購入しましたが、年末になって見かけたのは前者のカレンダーばかりでした。後から考えると慌ててこのタイプのカレンダーを購入ぜずにトトロのカレンダーを購入しても良かった様な気もします。


これで原画展のレポートは終わりです。中には物足りないと思われた部分があると思いますがお許しください。(今回、何か謝ってばかり…。(^^;;))

【最後に】
原画展が終わってすでに半年以上も経っていますが、こうやってこの発言をアップするに至ったのも毛利さんの熱望があったからにほかなりません。でなければこうやってレポートが皆さんのお目にかかる事はなかったでしょう。

最期に長文にも関わらず私の駄文を読んで下さってありがとうございました。ではこのへんで。

reported by Santa      






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