在韓・在ブラジル被爆者と厚労省交渉行われる

 

 来日した韓国原爆被害者協会会長の金龍吉氏、在ブラジル原爆被害者協会理事の盆子原國彦氏、各支援団体(20名ほど)により、厚労省交渉が、与党PTの仲介で、8月11日行われた。

 厚労省がわは、宮崎健康推進課指導室長(7月就任)以下6名。

 金会長、盆子原理事より、それぞれ要望書(別紙)を提出し、まず要望を述べられた。

 金会長「韓国の場合、大法院判決には無条件で従わねばならない。最高裁判決が出て、30年間苦痛を与えつづけてきたことへの反省があれば、再び裁判せよとはいえないはず。原告と同じくただちに慰謝料を2274名の被爆者に慰謝料が支払われるべきだ。

 全員提訴するなら途上で多くが死んでいくだろう。一世の苦しみが二世に引き継がれないよう、早く解決してほしい。

 いまや韓国被爆者の平均年令は74歳。あといくらも生きられない。これ以上苦痛を与えないでほしい。

 われわれは金の問題ではなく、人権と名誉の問題だと思っている。」

 盆子原理事「7月11日、広島地裁はブラジル在住被爆者に対する被爆者健康手帳申請の却下処分取り消しを命じた。控訴期限が14日にせまっているが、控訴を断念するのか、回答してほしい。

 一名は7月4日に亡くなり、ボリビアの一名も老齢だ。彼は確認書も持っている。一日も早く被爆者手帳を交付してほしい。」

 

「改正法はいつ実施されるのか」、との問いには、「六ヶ月以内なので、作業をすすめている」、と。

 「改正法をどのように周知徹底させるのか。

 北朝鮮では全然連絡がないので、連絡がほしいと言っている。」

厚労省がわは、「手帳取得については関係県と協議中、損害賠償については法務省と協議中」と答えるだけのため、「納得できない」と質疑が交わされる。

 「原告と同等かどうかの判断は、司法に判断をゆだねなくても厚労省がおこなえばよいではないか。争う余地のない人には払うときめるのが筋ではないか」。

 「大体、世界各地にちらばった被爆者が、どうやって裁判をおこせるのか、スエーデンの被爆者などどうして裁判ができるというのか。」

 たまりかねたように金会長が、「心からの謝罪を聞きたくて来たのに、ああだこうだ言う態度は理解できない。裁判しろ、などとは聞きたくもない、まことに申し訳なかった、と大臣が目の前で謝ってくれれば解決することだ。

被爆当時、被爆者の11%は韓国人だった。いま、日本国内の被爆者は25万名、韓国被爆者はわずか2600名。1%しかいない。これはなにを物語るのか。被爆直後にも治療を後回しにされ、その差別が63年間続いたのだ。」と発言。

 宮崎室長「もっともなお叱りで、先の岡部室長からも402号通達についてお詫びしたと思うが、私の方からもお詫びしたい。」と、謝罪。

 司会で、在韓被爆者を救援する市民の会会長市場さんが、「裁判してくれと言っているが、被爆者が直接厚労省に百万円請求したらどう対処するのか」と質問、8月29日までと期限を切って、厚労省が回答することとなった。

 また、盆子原理事より、「従来までは広島・長崎両県・両市共同でブラジルへの検診がなされ、手帳を取得していない被爆者も検診を受けられたのに、今回から実施主体が替わったので手帳取得者以外は検診できないと断られた。一体どういうことか。今まで通りにしてほしい。」と、怒りの発言があり、「当然なことだ。そんなことをするから厚労省は血も涙もないと言われるのだ。従来通りでよいではないか。」と支援団体からこもごも発言、「要望を受け止めて対処する。」と回答があった。

 さらに盆子原理事は、葬祭料請求をした二名の遺族が却下処分を受けたことにも言及、さかのぼることはむつかしい、との答弁に、金子哲男元議員懇事務局長が、「全ては402号通達のせいだ。亡くなってまた差別する。日本の病院に入っていた被爆者が重態となり、せめて死ぬときは肉親のいる地で死にたいと帰ろうとしたら、健康管理手当、葬祭料が欲しいなら日本で死ねと厚労省が言ったこともあったではないか。」と。

 終わりに宮崎室長から「重ねて、402号通達について、お詫びしたい。今日の要望は施策に生かしていきたい。要望を出されたことは有難かった。」と前向きの発言があって終った。

はるばる来日した盆子原理事は、控訴断念の快報をブラジルへ持って帰国することができず、さぞ残念であったろう。(石川逸子)