韓国の国会で二月一三日、植民地時代のさまざまな被害についての調査を求める法案「日帝強制占領下強制動員被害真相究明等に関する特別法」が成立した。この法案は韓国の市民運動の働きかけで、与野党の国会議員六八名によって提出されていたもので、二〇〇一年以来二年四ヶ月ぶりに成立したのである。以下に要約して紹介する。
【法律の目的】
日帝強制占領下(注)における強制動員被害の真相を究明し、歴史の真実を明らかにする。満州事変から太平洋戦争に至る時期に、軍人、軍属、労務者、軍慰安婦などの生活を強要された者が被った生命、身体、財産等の被害の真相を究明する。
【真相究明委員会の設置】
犠牲者及び遺族の審査、又は決定に関する事項を審議し議決するために、国の機関として国務総理の所属の下に日帝強制占領下強制動員被害真相究明委員会を設ける。
「犠牲者」とは死亡者、行方不明者、又は後遺症が残っている者で、規定により「犠牲者」と決定された者をさす。
【真相究明委員会の職務】
@日帝強制占領下強制動員被害の真相調査
A被害と関連する国内外の資料の収集及び分析並びに真相調査報告書の作成
B遺体の発掘、及び収集
C犠牲者及び遺族の審査又は決定に関する事項
D資料館及び慰霊空間の造成に関する事項
この委員会の下には各道や特別市、広域市等に実務委員会を置き、委員会から委託された調査を行なう他、犠牲者及び遺族からの届け出を受けて真相調査を行なう。外国に在住する者の場合も在外公館で届け出を受け付ける。
【真相究明委員会の権限】
届け出によって委員会が真相調査を開始するに当っては、職権により犠牲者、その家族又は関係者に対して、陳述書の提出要求、出席要求又は陳述聴取、関係資料、物の提出要求、被害が発生した場所等の実地調査、鑑定の依頼ができる。
【委員の資格】
委員は専門的知識を有する者、公務員の中から大統領が任命し、外部のいかなる指示・干渉も受けることなく独立して職務を遂行することが保証される。
【報告書の作成】
調査完了後は報告書を作成し、大統領及び国会に報告し、これを公表する。
【慰霊事業の支援】
日帝強制占領下強制動員被害による死者を慰霊し、歴史的意味を顧み、平和と人権のための教育の場として活用する為、慰霊塔や慰霊公園、資料館等の建設費を、予算の範囲内で支援することができる。
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この法律が成立した頃、慰安婦を模したヌード写真集が話題になり、普段は慰安婦の問題に見向きもしないマスコミがこぞって取り上げた。しかし、この新法の成立には、ほとんど触れられることもなかった。
強制動員の被害を被害者の側が証明しなければならないという不条理。この法律に被害者への補償規定はない。商業的な『文化開放』が進むなか、まずやるべきことをやらない国に、強い視線が注がれている。
〔注〕 現在、韓国では日本の「植民地」であったとするより、正確には「強制占領」とすべきだとの論議が生じている。
引用した法文は国立国会図書館調査及び立法考査局海外立法情報調査課の翻訳(2月18日)を参考にした。
詳しくは同図書館ホームページで検索可能。
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