◇第13回総会記念講演日朝市民交流の話
 
(2001年6月18日・劇団展望)
戦後補償実現を!日韓市民連帯共同委員会共同代表
金  英 姫

 私は主に「従軍慰安婦」の問題で活動しています。この方はもう11年になります。本業は歯医者をやっています。歯医者の方はちょうど20年になります。今日も診療が終わってから来ました。2001年3月15日から22日まで、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)を訪問することが出来ました。北朝鮮に日本の市民団体が戦後補償の問題で行くということは、93年ごろ高木健一弁護士や高崎宗司さんなどが北朝鮮に行きましたから、それから8年ぶりということになります。しかも単一の団体ではなく、立法運動に取り組んでいる人、日本の戦争責任資料センターで調査をやっている人、被害者への支援などの活動をやっている人などの市民団体が訪朝団を結成し、団長は元日弁連会長の土屋公献さん、副団長は日本の戦争責任資料センター代表の荒井信一さんでした。団員は合計12名でした。私を除いて全員が日本人でした。私の参加は非常に危ぶまれまして、行く三週間ぐらい前になって、ようやく許可が下りたのです。私が参加できたのは、去年の6月15日の南北首脳会談があり、南北の和解と統一という流れがあったから参加できたのではないかということを痛感しています。

■反核平和のための朝鮮被爆者協会■

 まず、北朝鮮の被爆者の状況をかいつまんで説明したいと思います。私たちとちょうどすれ違いに、日本政府の被爆者調査団が北朝鮮を訪問しました。調査団は反核平和のための朝鮮被爆者協会の五人の被爆者と面談したようです。そこでも明らかにされましたが、今、北朝鮮の被爆者の数は、1353人です。そのうち928人が生存している。平均年齢が六九歳ぐらいです。反核平和のための朝鮮被爆者協会は北朝鮮で唯一の民間団体で、政府の方はあまり関係ないということで、被爆者自身で会を作って運営しているということでした。反核平和のための朝鮮被爆者協会が設立されたのは、1995年2月です。96年4月から独自の被爆者証明書というものを発行し、被爆者の組織化を開始しました。1300人ぐらいの被爆者を突き止めて、500人の被爆者に証明書を発行しているということです。単に本人の登録だけでなく、被爆二世の問題もあるので、家族関係も登録しています。しかし、被爆二世の問題はどのように対応していくのかということは協議中で、証明書も未発行であるということです。

 北朝鮮では全国民が無料医療を受けられるので、被爆者が証明書を貰って、どのように優遇されるのかと聞いてみたのです。たしかに建前は全国民が無料医療を受けられるが、被爆者はなにかあると手厚く医療を受けられるという答えでした。ですから、わざわざ日本に行って治療を受ける必要はまったくないということを言っていました。在韓被爆者では、郭貴勲さんの問題のように、被爆者援護法を適用してほしいという要求があるのですが、北朝鮮の被爆者にとっては、援護法を適用するというような問題ではなくて、北朝鮮全体の謝罪と賠償の問題があるので、被爆者だけが援護法を適用してほしいという話は聞けませんでした。個人補償について、どのように思うのかということについて、私たちは非常に関心がありましたので、聞きました。それについても個人補償をやるのか、やらないのか、国家賠償などの段階ではなく、日本政府はそれ以前の段階ではないのかということでした。日本政府は本当に謝罪して補償するというような意志があるのか、ないのか。そのような意志がまったく見られないなかで、そういう話をしてもまったく無駄ではないかという、非常に原則的な答えが返ってきました。

 北朝鮮の被爆者の状況については、だいたい以上のようなことしかわからないのです。私の友人で韓国の被爆者の弁護をやっている弁護士がいます。それから最近、大邱(テグ)市の方で、韓国の被爆者を支援する市民の団体ができました。それは韓国では初めてなのだと大邱のグループは言っていました。韓国では日本政府が拠出した四○億円が、あと二年後にきれてしまうわけで、その後どうするのかということをにらんで、アメリカ政府を提訴するということを考えています。そういうことも頭にあったものですから、南と北が一緒になって、アメリカ政府を告発して提訴したりという考えはありますか、と聞きました。それについては否定するような答えも特になかったですが、いますぐ一緒に何かをやりましょうという対応もなかったです。

 いずれにしても被爆者も今年の夏に日本に来ますので、その時に皆さんも話をする機会があるのではないでしょうか。北朝鮮の場合は、例えば、従軍慰安婦の人たちに対しても補償はどうなのか、徴用被害者に対する補償はどうなのか、被爆者に対して補償はどうなのかという個別の問題を個別に要求するということではなく、一切がっさいまとめて、日朝交渉のなかでこの問題を取り上げてやっていくというのが、基本のようです。私たちの感覚から言うと問題ごとの個人補償を考えてしまうのですが、600万人が強制連行された、20万人の従軍慰安婦の被害者がいるといったような全体として、日本にどう要求していくのか、という非常におおざっぱな話になるのです。こういう立場が北朝鮮の立場でした。

(文責・笹本征男)

(被爆者・「従軍慰安婦」の証言をスライド上映し、説明していただいた)


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