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◇控訴断念を求める声明文◇
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内閣総理大臣 小泉純一郎様
厚生労働大臣 坂口 力様 法務大臣 森山 真弓様 大阪府知事 太田 房江様 |
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6月1日、在外被爆者を法にもとづかずに切り捨ててきた日本の被爆者行政を完膚無きまでに断罪する完全勝利判決を勝ち取ることができました。私はその裁判の原告で郭貴勲と申します。私は1944年韓国の師範学校在学中に徴兵され、広島の西部第二部隊に送られ広島城北側にあった兵舎近くで被爆しました。九死に一生を得て祖国に戻り、教育者の道を歩みながら韓国原爆被害者協会を創設し、偏見と差別、病苦と貧困にあえぐ被爆者を一人一人掘り起こしながら、今日まで被爆者の人権回復のために微力を尽くしてまいりました。
かつて厚生省は、在韓被爆者に対して被爆者手帳の交付すら拒否していました。私が1974年に行った申請も門前払いされました。被爆者であるにもかかわらず被爆者として認定されない悔しさは、今も忘れることができません。孫振斗裁判の結果、在韓被爆者に対しても手帳を交付されるようになったものの、厚生省はすぐさま通達を出して、日本を出国したら「被爆者としての地位を当然のごとく失う」として、受給していた手当もうち切ることにしてしまいました。このたびの裁判では、被爆者はどこに行ってもどこに住んでいても被爆者であり、援護を受ける権利があるという当然のことを争う裁判でした。 日本に来ると被爆者として扱われ、健康管理手当を支給される。一歩外に出ると、日本政府は被爆者ではないという。同じ被爆者なのになぜ差別をするのでしょうか。私は、日本という国のあり方、被爆者としての権利を問うて裁判をしたのです。 判決は、被爆者援護法は人道的見地から被爆者の救済をはかるためのものであると明解に指摘し、日本政府のこれまでの取り扱いは、国内居住被爆者と海外在住被爆者とのあいだに、容易に説明しがたい差別を生じさせ、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する恐れがあるとまでいっています。この判決は、私たち韓国在住被爆者だけでなく、アメリカやブラジルにわたった日系の方々、そして中国や朝鮮民主主義人民共和国に暮らすすべての被爆者の人権回復のための大きな一歩だと確信しています。 しかし、私たち在外被爆者にはもはや時間がありません。もし、控訴されれば、多くの在外被爆者が、ふたたび深い失望の谷に突き落とされ、何らの援護も受けることができないまま亡くなっていきます。私も今年で喜寿を迎えました。 控訴を断念し、在外被爆者にも被爆者援護法適用の道を開くことこそが、被爆者援護法の人道的目的の求めるところであります。 この度の勝訴判決が、一刻も早く、日本政府による在外被爆者への援護策実施に結び付くことを、切に願ってやみません。 2001年6月4日 |
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