補正予算に注目

6月に入りました。各市町村共に定例議会が開催される時期です。
恐らく「予算の補正」が議事になっていると思います。

今は、そんなに緊迫感がありませんが
ここ数年、市町村にとって財政上最悪の事態が起こりそうです。

来年度以降、地方交付税を減額する動きが出てきました。
その前兆が、今年あらわれるかも知れないからです。

6月の議会では出ないにしても、次の定例会である9月以降には
何らかの動きが見受けられそうです。

その意味で今年は特に、「補正予算」に注目したいです。

「補正予算」=予算の補正

 市町村は、どんな仕事をするにも、議会が議決した予算を通して行います。「当初予算」とか「補正予算」とか「暫定予算」と呼ばれるものです。

 市町村は、会計年度(4月1日から翌年3月末日まで)の始まる前に、その年度を通ずる一切の収入(歳入)と支出(歳出)を計上して、市町村長が議会に提案し、議会の議決て予算を定めなければならないことになっています(地方自治法211)。この予算を一般には、「当初予算」とか「本予算」とか呼びます。

 そのこれに対して、市町村の仕事は動きが激しいですから、予算議決後に、既に定められている予算では処理しきれずに、追加や変更を加える必要が生まれます。そのときには、「補正予算」をつくって議会に提案することができることになっています(地方自治法218@)。

 見通しが甘いとか、最初の見積もりが不適切だとかの批判もありますが、最近のように経済状勢の見通しが不確実な状況や国や都道府県の動向に左右されやすい財政基盤の脆弱な状況では、むしろ、補正予算がつくられるのが普通になっています。

補助金や借金のために補正をすることが多い

 3月に当初予算を決めたばかりですから、6月に予算の補正をすることはあまりないはずですが、それでも起こります。国や都道府県の補助金、その裏打ちになっている地方債などの動きが始まって、その様子を見て、事業を一刻も早く軌道に乗せたいため、予算の補正をする場合が多いからです。

 その中で、今年はどうも、「地方交付税」と「補助金」について変化がありそうです。「地方交付税」は、小規模市町村にとっては命綱のような性格があり、世間並みの仕事をするための基盤になっています。「補助金」は国や都道府県が政策誘導的な面から市町村に交付して、市町村がそれに乗っかって仕事をしてきた経過があり、どれも市町村の日常の事業と密接な関係を持っています。

ハシゴをはずされる!?

 こんな関係にあるものが、最近の国や都道府県は変更を迫る動向を示しています。平成15年度からは、国では地方交付税、国庫補助金の見直しをすることが伝えられています。それに加えて、市町村合併を進める団体には手厚くする動きもあり、総額は増額されませんから、配分で差を付けることになり、全体に昨年とは違った状況が生み出されそうです。

 都道府県も見直しを迫られます。すると、まちづくりとかひとづくりなどに個別に行われたこれまでの「政策誘導」に基づく事業は終わって、今後も続けるなら、後は、『自己財源で自主的に選択を!!』などという事態も生じかねません。

決算と補正予算に映し出される

 これらに対して、市町村がどのように対応するかが、補正予算に映し出されます。特に、6月、9月、12月の定例議会に上程される補正予算は注目です。市町村が個別の事業の実施についての見直しが補正予算で行われるからです。そして、その理由が数字となって表現され、国都道府県との関係が明らかにされるからです。

 もっと参考になるのが決算です。普通、市町村の決算は5月31日の会計の締めを経て、6月に作成が始まります。余程早い市町村を除いて、多くが、9月の定例議会に報告されます。その際、一年前の動向がはっきりつかめます。最近は決算についての説明書類が豊富になってきたので、全体的な財政状況と個別の事業の状況が浮き彫りにされています。

 決算が発表されると、最低2年前からの比較ができ、特に1年前がどのような状況であったかがつかめます。そこで、6月の補正後の状況と比較すると、今、その市町村で何が問題なのかが大雑把ですがつかめます。そして、さらに注意すると今後どうするかがおぼろげにわかります。

 それは、短期の事業計画の補正が行われるからです。3カ年程度の実施計画をつくって行政運営をしている市町村では、6月から8月にかけて、決算や来年度以降の国や都道府県の動向に合わせて、実施計画の見直しが行われます。それを追ってゆくと全体としての制度の変更やあり方が浮かんでいます。早いところでは、6月定例議会にそのハシリの動向が出てきます。

ともかく注意を

 補正予算は書式の制約もあって、説明が少なく、一般にわかりにくいですが、何が載っているのか、ともかく注意が必要です。6月になくても、9月、12月にはほとんど出そろいます。さらに、来年度以降に影響がモロに出てくる国の概算要求(8月31日)には大目を開けて注目したいです。いずれにしても、6月から9月にかけての市町村議会の動きは要注意です。親しい議員さんがいたら直接聞くのが最も早道です。

 この時期、個人的には、うなされて「悪夢」を見ることがあります。ことによったら、市町村合併をしない限り、小規模市町村は現在の水準が保たれないなどという悲劇的な状況にまで追い込まれる背筋の寒い「悪夢」です。毎朝の新聞報道に、それが「正夢」かと冷や汗をかきます。ほんのいくつかを紹介します。 

現在こんな動きがある

(1)「経済財政諮問会議」で地方交付税の見直し、国庫補助金の見直し

  2002年6月7日開催された「経済財政諮問会議」で、小泉首相が改革方針として、地方行財政改革の方針を出し、論議が続けられています。

 内容については、経済財政諮問会議HPをご覧下さい。(6月7日朝日新聞)

(2)来年度予算財務省方針

 2002年6月6日、財務省は新たな財政再建目標として、一般歳出上限と一般会計全体に上限を定める方針を示し、地方交付税交付金を抑制することにしています。このことについて6月7日読売新聞は次のように伝えます。

 『一般会計のうち、地方交付税交付金は、今年度より約二兆円増え十九兆円規模に達する見込みだ。交付税特別会計から過去に借り入れた分の返済などが含まれており、財務省はこうした
特殊要因を除き、実質的な歳出の伸びゼロを目指す。

 一般歳出の伸びゼロ方針はこれまで財政制度等審議会(財務相の諮間機関)が打ち出していた。』
 (2002年6月7日読売新聞)

 
これからの新聞報道に要注意。


(3)地方制度調査会(27次)が小規模市町村の権限縮小・業務代行を議論

 
このことについて、2002年6月9日朝日新聞は次のように伝えます。

 『政府の第27次地方制度調査会(諸井度会長)の専門小委員会は、地方制度改正の論点をまとめた。

 合併しないまま小規模にとどまっている市町村の権限を縮小し、都道府県や周辺市町村で業務を代行することや、都道府県から政令指定都市を独立させる「特別市」構想などが、今後の議論のたたき台になる。7月1日の総会で正式決定される。

 人口が減少し、財政力の乏しい小規模市町村のあり方が大きなテーマとなる。合併特例法などで市町村合併が進む一方、様々な事情で合併しない自治体も残る。全国一律の公共サービスを市町村単独で提供できない場合を想定し、都道府県や近隣市町村が教育、福祉などを代行することなどを検討する。』(2002年6月9日朝日新聞)

 審議の内容については地方制度調査会HPに掲載されています。

                                       
(2002.6.10.記)

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