秋の気配 1
(1999年7月30日〜8月1日)
今年は天候が良かったせいか
尾瀬の夏の花々は
7月20日前後に咲き競い、7月末には、もう秋の気配
例によって、朝の雰囲気からお伝えします。
夜明けは、原にかすかに靄(もや)がたつ時から始まる(山の鼻田代)。
暫くたつと、至仏山の山頂にわずかに赤みがさす。
太陽は燧岳(ひうちだけ)の方から上がる。靄(もや)は引き寄せられるようにそちらに向かい
眠っていた植物も、池塘(ちとう)も動きを始める。
ナガバノモウセンゴケ
しっとり露をかぶっている。
燧岳(ひうちだけ)に豪快に日が昇るのは、この時期、午前4時半前後(中田代)。
コバギボウシ
早朝の微妙な光に、尾瀬は黄金色の輝きを始める。
8月というのに、もう気が急くのか、紅葉を見せている。
至仏山に、今日一日の安全を願う。
今年(1999)は山の鼻からの直登が解禁されたので
麓はテンヤワンヤだっただろう。
その頃、尾瀬沼に、燧岳(ひうちだけ)が正面から朝日を浴びて勇姿を映す。
いつ見ても、ほっとする(三平峠側)。
カモは寄り添うように飛び立ちの前のくつろぎ
いつもなら、ニッコウキスゲが群舞する大江湿原も
今年は、秋への入れ替わりで、目に付くものは、ほとんど緑。
ワタスゲもすっかり影を潜め探すのに苦労する。
残った綿帽子が、トンボと行く先を話しているのだろうか。
春先に一番早く芽生えるせいか
紅葉も早い
せめてもの黄色も、草の中では、探すのに苦労する。
ガクアジサイと間違えるが、今が盛り。
ねじ花がポツンと、控えめなピンクで化粧して、草と一緒に揺れる。
「ヤナギランの丘」(右のこんもりした丘=平野家墓地)
に平野さん一家を訪ねる。
正面が燧岳(ひうちだけ)
ヤナギランは下の方、半分程まで咲き始めた。この丘を埋め尽くすのももうすぐだろう。
尾瀬の今日あるを、心から感謝する。
また来るからと、自分の小指に約束して
大江湿原を後にする。