Return from Witch Mountain ★★☆

1978 US
監督:ジョン・ハフ
出演:ベティ・デイビス、クリストファー・リー、キム・リチャーズ、アイク・アイゼンマン

左:ベティ・デイビス、中:アイク・アイゼンマン、右:クリストファー・リー

超能力兄妹が活躍するディズニーのファンタジー映画で、「小さな目撃者」(1971)、「ヘルハウス」(1973)のジョン・ハフが同じく監督した「星の国から来た仲間」(1975)の続編にあたる作品です。この作品、前作を見ていないといきなり円盤に乗って主人公の兄妹がやって来るので一体何のこっちゃと思えるかもしれませんが、実は彼らは他の惑星からやって来た異星人で色々な超能力が使えるという前提があります。まあそこまで言えばすぐに分かるように子供向けの映画と言えばその通りなのですが、実はこの2作にはそこそこファンがいるようですね。2作の間には3年の間があって、超能力兄妹を演じているキム・リチャーズもアイク・アイゼンマンも前作よりも遥かに大きくなっていて、前作ではまさに可愛らしいミニミニレディのようであったキム・リチャーズなどは今作の方では他のちびっこギャング達に比べても明らかに一回り大きく見え、雰囲気的にも半分大人になったような印象があります。ところで、この両作品はこの2人のキャラクターも悪くはないのですが、サポートするベテラン俳優達が実に素晴らしいと言えます。前作「星の国から来た仲間」では悪役を演ずるレイ・ミランドとドナルド・プレザンス及び超能力兄妹をサポートする役を演ずるエディ・アルバートが、続編の方では世界制覇を企む悪役を演ずるベティ・デイビスとクリストファー・リーが、仮に彼らを見るだけであるとしても十分に価値のあるいつもの彼らの堅実なパフォーマンスを見せています。ディズニーの子供向け映画であるといえども決して手抜きなどはしていないわけです。主人公がガキンチョであるようなこのタイプの映画ではこれは非常に重要であり、経験の浅いちびっこ俳優だけではどうしてもまとまりがないように見えてしまうのを裏で強力にサポートする必要があるわけですが、レイ・ミランドやベティ・デイビスがバックにいれば(フロントにしゃしゃり出て来ない限りという注釈は付きますが)まさに鬼に金棒というものでしょう。ところで話は変わりますが、前作と続編には1つ大きな違いがあります。それは、原題の「Escape to Witch Mountain」が示すように前作では主人公の兄妹達は彼らの能力を悪用しようとするレイ・ミランド演ずる悪漢達からひたすら逃れようとするのがメインストーリーであったのに対し、今回はベティ・デイビスとクリストファー・リー演ずる悪漢達に主人公達が敢然と立ち向かうストーリー展開になっています。というか実はアイク・アイゼンマン演ずる男の子の方は情けなくもクリストファー・リー演ずる悪漢にリモートコントローラーですぐに操られるようになってしまうのですが、キム・リチャーズ演ずる女の子の方が専ら活躍します。まあ、ウーマンリブの時代が到来したということでしょうか。いずれにしても前作ではまだ小さなガキンチョであった彼らも今作では思春期を迎えたので、内容自体もアドベンチャラスにする必要があったということかもしれません。従って続編の方がよりアクション色が色濃く出ていて展開もスピーディで、またこの手の子供向けの映画では考えられないようなスタントシーンが挿入されていたりします。それはロサンジェルスの坂の上でミニバンが引っくり返って坂の下まで上下逆さまになって回転しながら転がり落ちていくシーンです。音声解説によればこのシーン撮影時には、西海岸に住むスタントマン達がこぞって見にきたということですが、そのような子供向け映画ではあまり見かけないド派手なアクションシーンが含まれていたりもします。また結構この作品には前作には余りなかった(但しレイ・ミランドの乗ったヘリコプターが念力で逆さになって、しかも逆さまになったまま着陸してプロペラではなく胴体の方がクルクル回っているシーンは何度見ても可笑しい)ユーモアもかなりあって、たとえば私目のお気に入りは、欲の皮の突っ張ったベティ・デイビス演ずる悪漢が博物館から金塊を盗み出そうとして、待たせておいた車のところまでアイク・アイゼンマン演ずる超能力坊やの念力によって空中を運ばせるのですが、金塊がそのまま車に次々に激突して車がボコボコになってしまうシーンです。まあ悪いことは出来ないものです。他にもたとえば渋滞している車の屋根の上を山羊が走るシーンは、いかにもわざとらしいとはいえどもやはり可笑しいですね。ということで子供向け映画であることには間違いはありませんが、なかなか見て楽しい一家団欒的映画であると言えるでしょう。尚、ディズニー産のDVDプロダクトは画像クオリティがいまいちであることが多いのですが、このタイトルの画像クオリティは素晴らしいですね(前作「星の国から来た仲間」の方はビデオバージョンしか持っていません)。


2004/12/04 by 雷小僧
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