A Majority of One ★★☆

1961 US
監督:マービン・ルロイ
出演:ロザリンド・ラッセル、アレック・ギネス、レイ・ダントン、マドリン・ルー

左:アレック・ギネス、右:ロザリンド・ラッセル

日本を舞台とするマービン・ルロイの監督作品であり、クオリティが高いにも関わらず、日本劇場未公開であるようです。それには、1つ理由があります。というのも、「A Majority of One」には少なからず人種差別的な側面が見出されるからです。皮肉にも、主人公(ロザリンド・ラッセル)が人種差別の偏見を乗り越え、日本人を理解したかのように描かれるシーンによって、逆にそのような偏見の所在が浮き彫りになるのであり、ここにはどうしようもないジレンマが見られます。日本人を演じているアレック・ギネスが全編を通じて目を細くしている(上掲画像参照)ところなどは、いかにもあちらの人が日本人に対して抱きそうな偏見をものの見事に体現しているように見えます。狐のような目をした狡猾な日本人というわけです。そもそも、ロザリンド・ラッセルが演じている主人公はユダヤ人であり、ユダヤ人一般が西欧の歴史を通じて常に偏見に晒されてきたことはご存知の通りです。そのユダヤ人がここでは日本人に対して偏見を抱いているのであり、いわば偏見の転嫁とも称せる奇妙な構図が見出せます。とはいえ、そのような問題はあるとしても、内容の面白さはそれなりに評価できます。基本的にはロザリンド・ラッセル演ずるユダヤ人女性とアレック・ギネス演ずる日本人男性の静かで奥床しいラブコメディというようなところで、この新鮮なコンビが織り成す半ばコメディ調のロマンスドラマは、見る人を飽きさせません。国辱的な内容のゆえか、日本では劇場公開されなかった「ガンホー」(1986)の場合と同様、我々日本人が見て引っ掛かるものは何もないといえばそれは嘘になりますが、そのような側面は笑い飛ばした方が日本人の度量の大きさを示すことにもなるのではないかなどと楽観的に考えています。それから、主人公の娘を演じているMadlyn Rhue(マドリン・ルー?)は、サンドラ・ブロックに心持ち似ていてなかなかチャーミングです。


2001/02/25 by 雷小僧
(2009/02/04 revised by Hiroshi Iruma)
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