Crooks and Coronets ★☆☆

1969 UK
監督:ジム・オコノリー
出演:イーディス・エバンス、テリー・サバラス、ウォーレン・オーツ、シーザー・ロメロ

左から:イーディス・エバンス、ウォーレン・オーツ、テリー・サバラス

うーーーん。どんなジャンルにも、マテリアルは面白いのに、表現が実に稚拙だというような種類の作品があるのですが、この映画がまさにそれに該当します。刑務所を出所したばかりのテリー・サバラスとウォーレン・オーツがシーザー・ロメロ演ずるギャングに唆されてイーディス・エバンス演ずる大金持ちのおばあちゃんから大金を巻き上げなければならなくなるのですが、悪党とはいえ基本的に人のいいサバラスとオーツは、このおばあちゃんに対してどうしても悪事を働くことが出来なくなって、事情を知ってしびれを切らせたギャング達が押しかけてくるのを逆に撃退するようになるというようなストーリーで、ストーリー展開自体は非常に興味深いものがあります。要するに今時の言い方をすればいわばほのぼの系映画であると言え、ことにいかつい顔をしたテリー・サバラスやウォーレン・オーツが大金を騙し取ることが目的でイーディス・エバンス演ずるおばあちゃんの住む大邸宅に身分を偽って住み込むようになったのはいいけれどもこのおばあちゃんと仲が良くなるのにつれてだんだんと悪事を働くことが出来なくなってしまう様子が可笑しいのと、ギャンブルに嬉々として打ち興ずるイーディス・エバンス演ずるこのおばあちゃんが実に愉快で面白いのですね。しかしながらこの映画、最後のギャング達がしびれを切らせてこのおばあちゃんの住む大邸宅に攻めてくるクライマックスシーンが、まるでアマチュア映画のように稚拙なのです。そもそもこのシーンにギャングの親玉であるシーザー・ロメロが全く登場してこないのも変なのですが、まるで小学校の学芸会のようなアクションギャグシーンには見ていて思わずおいおい何じゃこりゃと思ってしまいました。もしこのようなガキンチョでも呆れてしまうような稚拙なアクションシーンを挿入するのではなく、純粋にストーリー展開の妙味でシーザー・ロメロ達悪漢どもに一泡吹かせるような表現になっていれば、マテリアル的には極めて面白いが故にこの映画は遥かに興味深い作品になっていたのではないかと思われます。題材は面白い上にイーディス・エバンス、テリー・サバラス、ウォーレン・オーツ、シーザー・ロメロのようなその題材を本来は生かせるはずのキャラクターアクターが顔を揃えているのにも関わらず、表現が稚拙でジャンク映画になってしまうのは実に惜しい気がして仕方がないですね。


2003/01/25 by 雷小僧
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